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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

ターコイズを使うインディアンジュエリーはなぜ生まれたのか

2022-02-25 | 先住民族関連
先住民の文化と歴史と美を訪ねに、米国ニューメキシコ州へ行ってみた
ナショナルジオグラフィック2022.02.24

米国ニューメキシコ州サンタフェにあるシップロック・ギャラリーの宝飾品。同州の先住民は、ターコイズ(トルコ石)を使った宝飾品で知られている。(PHOTOGRAPH BY WENDY MCEAHERN, SHIPROCK SANTA FE)
「魅惑の地」と呼ばれる米国ニューメキシコ州には、鮮やかな青があふれている。
 同州最大の都市アルバカーキでは、市バスや街灯、日干しレンガの家の扉までもが、ターコイズブルーのペンキで塗られている。そこから北東へ車で1時間ほど行った州都サンタフェでは、16世紀に建てられた総督邸の軒先で、ナバホ族とズニ族の職人たちが、ターコイズ(トルコ石)で作られたジュエリーを売っている。州のどこへ行っても、普段着から夜会ドレス、先住民の儀式衣装など、あらゆる場面の装いに、人々はターコイズをはめ込んだ銀のブレスレットを合わせる。
「先住民にとってターコイズは、単なる石というだけでなく、聖なる存在なのです」と、サンタフェにあるアメリカインディアン美術大学の先住民教養学教授ポーター・スウェンツェル氏は言う。「採掘し、加工することによって、石はさらに深い意味を持つようになります」
 ニューメキシコ州の先住民社会では、ターコイズは文化の一部であると同時に、商品として取引されてきた長い歴史を持つ。サンタフェにあるバーティ・インディアン・アート・ギャラリーのオーナーで、先住民の宝石作家に関する本をいくつか執筆しているマーク・バーティさんは言う。
「ニューメキシコ州は、ターコイズ工芸と商業取引の中心地です。サンタフェは、昔から交易路が交差する町として発展してきました。ですから、この町にはターコイズがいたるところにあるのでしょう」
ターコイズとは何か
 水酸化銅アルミニウム燐酸塩、すなわちターコイズは、酸性の水が銅に接触する場所で形成される。米国南西部のアリゾナ州、コロラド州、ネバダ州、カリフォルニア州南部、ニューメキシコ州で産出するほか、ロシアや中国、イランでも見つかっている。「ターコイズ(turquoise)」というフランス語の語源はそのまま「トルコの石」という意味だが、現代のトルコでターコイズはほとんど見つかっていない。
 色は、白亜から均質な青、クモの巣状の模様が入った青緑など様々あり、硬さは米国宝石学会の定めるモース硬度で10段階中5~6に位置付けられている(ダイヤモンドの硬度が10)。
ターコイズ採掘の歴史
 6世紀には既に、米国南西部の古代プエブロ人たちが、簡単な道具を使ってターコイズを採掘し、ビーズやペンダントなどの宝飾品に加工していた。ニューメキシコ州北部のチャコ・キャニオンからは、20万個以上ものこうしたターコイズが見つかっている。ここで発見された石造りの墓には、14人の遺骨とともに、ビーズや小さな彫刻など数多くの宝物が埋葬されていた。(参考記事:「古代プエブロに母系支配者、「世襲」の起源に光」)
 現在この場所は、チャコ文化国立歴史公園として、ユネスコの世界遺産に登録されているが、出土品はアルバカーキにあるマクスウェル人類学博物館やニューヨーク市にある米国自然史博物館に所蔵されている。
 一部のターコイズは分析の結果、アルバカーキとサンタフェを結ぶ「ターコイズ・トレイル」の中間に位置するロス・セリロスという小さな村で採掘されたものであることがわかった。「はるか昔、ターコイズ・トレイルは北と南を結ぶ交易路でしたが、今では景観が美しい田舎道となっていて、ターコイズはもうほとんど残っていません」と、スウェンツェル氏は言う。
 現在、ロス・セリロスも含め、ニューメキシコ州のターコイズはほとんど採り尽くされてしまった。20世紀初頭に、既に資源が枯渇して閉鎖された鉱山もあるが、その他の鉱山はより利益の高い銅の採掘に切り替えられた。
 現在売られているターコイズは、数十年も前に採掘されたものばかりだ。ニューメキシコ州を拠点に活動する先住民アーティストは、地元産のターコイズだけでなく、アリゾナ州やネバダ州、ロシアから石を取り寄せることもある。
「最近では、ニューメキシコよりもメキシコや中国産の方が多いです」と、アルバカーキにあるターコイズ博物館の創立者で学芸員のジョー・ドン・ロウリー氏は言う。「ここでは、以前から採掘よりも工芸の方が盛んでした」
スペインの銀細工と融合、19世紀に人気に
 ニューメキシコ州には、プエブロ族、アパッチ族、ナバホ族など23の先住民族が暮らしている。その職人たちは、数百年の間、ターコイズを使って宝飾品や工芸品を作ってきた。スタイルは多岐にわたり、例えばケワ族は、ターコイズを削って円盤状の小さなビーズにしたり、ズニ族は貝殻にちりばめたりする。
 宝飾品やオブジェは、特別な日に身につけたり、儀式で使ったりし、商品として取引された。「あなたが先住民であれば、ターコイズはあなたの遺産の一部です。あらかじめそう定められているのです」と、ニューメキシコ州ギャラップに住み、宝飾品や織物を作るナバホ族のモリス・マスケットさんは言う。「ナバホ族にとってそれは、霊的庇護と祝福を表しています」
 16世紀に、スペインの入植者たちによって米国南西部に銀細工がもたらされると、先住民はこれを自分たちの伝統工芸と融合させ、銀の腕輪や耳飾りに青いターコイズをはめこんだ新しいタイプの宝飾品を生み出した。
 19世紀半ばに、中西部とニューメキシコ州が鉄道で結ばれると、州のターコイズと先住民の工芸品は多くの観光客やトレジャーハンターの目に留まり、土産物としての需要が高まった。
「西部へ気軽に旅行に行けるようになり、旅先でシルバーとターコイズの腕輪やベルトを着けたナバホ族を見て、訪れた人々は興味を抱きました。それがきっかけで先住民の手工芸品ビジネスは急成長し、職人たちは伝統を後世へ残すことができたのです」と、スウェンツェル氏は言う。
思い出の一品を買うなら
 職人や買付人は、硬度や色を向上させる加工が施されていない天然の石を好む。しかし、天然の石は法律によって取り締まられているため、購入する場合は保証書があるかどうか確認することが望ましい。加工されたからといって偽物であるとは限らないが、天然石の方が価値が高く、真正であると考えられている。
「人の手が加えられていない天然の石は、母なる大地によりしっかりとつながっています」と、マスケット氏は言う。「柔らかい石は細工に影響を及ぼしますが、もし壊してしまっても、粉にして祈祷に使うことができます」
 サンタフェで毎年8月に開催される「インディアンマーケット」では、数百人もの先住民の手による陶芸品、宝飾品、織物の品評会が行われる。そこへ、熱心なコレクターたちも、ターコイズを求めて集まってくる。
 だが、ニューメキシコ州で思い出に残るターコイズを購入したいなら、サンタフェにある総督邸の軒先や、アルバカーキのインディアン・プエブロ文化センターの中庭で毎日販売している先住民職人から直接購入するのがいいだろう。職人たちは、自分たちの技術と伝統について詳しく話をしてくれるはずだ。
「ニューメキシコ州を訪れた人々は、いかに自然が私たちの文化に織り込まれているかを見て、その一部を手に入れたいと願います」と、マスケット氏は言う。「この地球の小さな欠片を購入し、身に着けてみると、平穏と心の安定を手に入れることができるかもしれません」
文=JENNIFER BARGER/訳=ルーバー荒井ハンナ
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/021000063/?P=1

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民族楽器を紙で手作り 富士で親子が体験

2022-02-25 | 先住民族関連
静岡新聞2022年2月25日(金)
富士市のふじ・紙のアートミュージアムは20日、アフリカの民族楽器「レインスティック」を紙で作るワークショップを同所で開いた。親子15人が思い思いに作業に熱中した。

 レインスティックは乾燥させた円筒状のサボテンの内側の空洞にとげを打ち込み、穀物などを入れた楽器。上下させると雨に似た音が出て、アフリカの先住民が雨乞いに使ったといわれる。
 ワークショップでは、サボテンの代わりに、紙管とくぎでレインスティックを制作した。参加者は紙管の外側を色紙やペンで色づけた。しずくやカエルなど、雨の音から連想した絵を描く子どももいた。
 静岡市清水区の蒲原東小3年佐野美桜さん(9)と弟の佑真君(5)は「本物の雨の音みたいでびっくり。カラフルにできて楽しかった」と話した。
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1030394.html

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<釧根まち物語>第2部 釧路・元町かいわい (1)青年団 “発祥の地”観光資源発掘

2022-02-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/23 05:00
 釧路川左岸河口、太平洋に突き出た岬の高台に厳島神社はある。今月3日の節分祭は、厄払いを受ける人が続々と訪れた。権禰宜(ごんねぎ)の菊池吉史さん(35)は「コロナ対策で分散をお願いしましたので、節分当日としてはこれでも例年より少なめです」と話す。
 神社が立つ米町1丁目の一帯は“釧路市発祥の地”と呼ばれる。江戸時代の地名はアイヌ語の「クスリ」。アイヌ民族と和人が交易するクスリ場所があり、神社の北東にある「佐野碑園」(南大通8)の辺りにクスリ会所が置かれた。神社は1805年(文化2年)、佐野碑園辺りに創建され、91年(明治24年)に現在地に遷座した。
■「素晴らしい街」
 菊池さんは4代目宮司の次男として生まれ、米町で育った若き神職。このかいわいの活性化に取り組む「くしろ元町青年団」の団長という顔もある。
 東京の大学に進学し、学生時代にリュック一つで海外を旅した。故郷に戻って感じたのは「どこにも負けない景観なのに、地元が価値を感じていない」。道外からの長期滞在者にも言われた。「こんな素晴らしい街が寂れていくのに若者は何もしないのか」
 同世代を集め、2015年に青年団を結成した。釧路市に「元町」という住所はないが、米町、南大通、浦見、弥生、大町、入舟、港町、知人町、弁天ケ浜、宮本の10地区を総称して元町と呼ぼうと決めた。熱い思いと活動が市民に通じ、元町の名は定着した。
 結成の翌年、事務局長として加わったのが相原真樹さん(44)だ。神奈川県逗子市出身。大学を卒業し、2002年に大手メーカーに就職、初任地が釧路だった。「すぐに友だちができて、4年半たって札幌への異動を打診された時には、釧路を離れたくなくなっていた」と振り返る。
 釧路市内に転職。14年に太平洋を一望する米町の高台に家を建てた。「湘南海岸でこんなロケーションの土地を買ったら億単位ですよ」と笑う。以前から市民活動に携わってきた経験を生かし、青年団を支える。
■臨港線活用に力
 青年団員は現在16人。「若者・子育て世代も元町に来て、みんなで過ごしたくなるまちづくり」をコンセプトに、「元町MAP」の作製や、街歩きイベントなどさまざまな活動を展開してきた。
 現在、力を注ぐのは、19年に廃止された石炭輸送の専用鉄道「太平洋石炭販売輸送臨港線」の跡地利用を考える「つなぐ道プロジェクト」。20年、観光客に人気だった「弁天ケ浜踏切」を踏切跡地近くに再現。資金は全国からの募金を充てた。釧路出身のピアニスト木原健太郎さんに作曲を依頼してイメージソング「つなぐ道」も作った。
 目標は、臨港線跡地の遊歩道化。菊池さんは「釧路全体にとって貴重な観光資源になるはず。道も人もつないでいく活動にしたい」と力を込める。

 釧路、根室管内の街角の移り変わりと今の姿を描く「釧根まち物語」。第2部は、釧路市発祥の地と呼ばれる「元町かいわい」です。(大倉玄嗣が担当し、6回連載します)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648753

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沖縄の現状「植民地」 先住民族ネット 松島さん強調

2022-02-24 | ウチナー・沖縄
沖縄タイムス2022年2月24日 05:00
 琉球先住民族ネットワーク会議は23日、県立博物館・美術館講座室で、先住民族への理解を深めるシンポジウムを開いた。会場とオンラインで約150人が参加。松島泰勝龍谷大教授ら12人が登壇し、国連での活動や世界の先住民族の権利回復運動などを紹介した。
この記事は有料会員限定です。
残り501文字(全文:620文字)
会員登録すると、続きをお読み頂けます。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/915291

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「琉球先住民族」考えるシンポ きょう午後2時から県博

2022-02-24 | ウチナー・沖縄
沖縄タイムス2022年2月23日 05:00
 琉球先住民族ネットワーク会議は23日、県立博物館・美術館講座室でシンポジウム「琉球先住民族でぃ言(い)せー何(ぬー)やいびーが? 一緒(まじゅん)、習てぃんだな!! ~みんなで学ぼう! 世界の先住民族と国連のあゆみ~」を開く。
この記事は有料会員限定です。
残り336文字(全文:447文字)
会員登録すると、続きをお読み頂けます。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/914803

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多様性の時代に学ぶ、織田信長の“差別なき人材登用”の話

2022-02-24 | アイヌ民族関連
ダイヤモンドオンライン2/24(木) 6:01
 「人種・民族に関する問題は根深い…」。コロナ禍で起こった人種差別反対デモを見てそう感じた人が多かっただろう。差別や戦争、政治、経済など、実は世界で起こっている問題の“根っこ”には民族問題があることが多い。芸術や文化にも“民族”を扱ったものは非常に多く、もはやビジネスパーソンの必須教養と言ってもいいだろう。本連載では、世界96カ国で学んだ元外交官・山中俊之氏による著書、『ビジネスエリートの必須教養「世界の民族」超入門』(ダイヤモンド社)の内容から、多様性・SDGs時代の世界の常識をお伝えしていく。
● 織田信長に学ぶ、人種差別のない社会
 日本人は幸か不幸か外国語が達者でない人が多いので、外国語での会話中に人種差別的な発言をするケースは少ないのが現状です。
 日本にはまた、人種や宗教、性的指向への差別によって生じる犯罪、ヘイトクライムは多くありません。
 黒人だから、イスラム教徒だからといっていきなり殴られたり、LGBTQ+だから暴力を振るわれたりする事件は非常に少ない。それでも、差別・偏見はゼロではありません。
 アイヌや在日外国人への差別、誹謗・中傷ともいえる書き込みがSNSにはたくさんありますし、黒人に対する偏見もあるでしょう。
 たとえば、私が教えているアフリカの学生は、来日当初は「日本人は差別や偏見はない」といいます。
 しかし、2年3年とつきあううちに、「黒人だとやっぱり避けられるし、積極的に交流しようとは思っていないだろう」とポロッと漏らしたりします。
 しかし、歴史を振り返ると、日本人のアフリカに対する偏見がいかに少なかったかを物語るエピソードがあります。
 戦国時代、黒人の武将である弥助を家臣として取り立てた織田信長です。信長はオランダ人宣教師が連れていた黒人を譲り受けて、弥助と名づけ、奴隷や見世物にするのではなく、家臣にした――もしも本能寺の変がなかったら、大名として取り立てていたかもしれません。
 そうなると、黒人系の大名の一族が日本に残ったかもしれず、歴史に“if”はないといいますが、想像すると何やら楽しくなってきます。
 信長のいた16世紀は、まだ奴隷貿易も本格的に始まっていませんが、この時期に黒人を認めて重用したのは、アフリカ以外の世界では、稀有な例だと思います。
 「人種」という概念は、さまざまな文献によると15世紀頃にできたと思われます。それ以前も民族は交流しており、肌、髪、目の色、姿形が違うことは、お互いに認識していたでしょう。
 しかし、それをいうなら衣服も髪型も食べ物も、今より大きく違います。弁髪もちょんまげも、初めて見る人にとっては肌の色以上に衝撃だったかもしれません。
 「遠くからきた人っていうのは、とにかく全然、違うものだ」
 これが近代以前のグローバルスタンダードで、人種というのはさまざまな違いの一要素にすぎず、ことさらに意識されなかったのではないでしょうか。これは私の仮説ですが、人種を意識するようになったのは、奴隷貿易以降ではないかと思います。
 「違っているから面白い」
 外国からの移民が増えていくこれからは黒人を家臣とした信長にならって、思い込みを捨てていく。そこから多様性の時代のなかで、日本らしい人種問題の解決法が見えてくるかもしれません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f10bfabd6318d96600e92c033a4fc04d12d6dcb

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和太鼓や日本遺産「上川アイヌ」の舞踊ショーを開催! 第47回「層雲峡温泉氷瀑まつり」を開催中

2022-02-23 | アイヌ民族関連
アスキー2022年02月22日 10時00分更新

 本イベントでは氷像が色鮮やかにライトアップされる。メインはアメリカ・オレゴン州のマウントフッドをイメージした氷像だという。
 またメインステージでは和太鼓や日本遺産「上川アイヌ」の舞踊ショーを開催するほか、展望台からは氷瀑まつり会場と花火を一緒に見ることができる。
第47回 層雲峡温泉氷瀑まつり
会場:上川町層雲峡温泉(特設会場)
期間:3月13日まで
休業日:なし
時間:17時~21時30分
料金:500円(協力金として)
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行なわれている可能性があります。あらかじめ最新の情報をご確認ください。 またお出かけの際は、手洗いやマスクの着用、咳エチケットなどの感染拡大の防止に充分ご協力いただくようお願いいたします。
■関連サイト
* 層雲峡温泉氷瀑まつり
https://ascii.jp/elem/000/004/083/4083687/

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国連の気候変動報告書、生活への影響に言及へ 28日発表

2022-02-23 | 先住民族関連
BBC02/22 マット・マグラス環境担当編集委員

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、28日に温暖化が日常生活に与える影響について報告書を発表する。
14日に始まった今回のIPCCは、昨年11月に英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の終了後、初めてのもの。
IPCCは各国政府に代わり、6~7年ごとに最新の研究結果を元にした大規模な調査を行っている。基礎科学と影響の規模、問題解決の道筋の3つの部門の作業部会に分かれる。28日に発表される報告書はこのうち、影響の規模を調査したものとなる。
報告書は、多くの大都市と途上国の気候変動対策について、将来的な排出削減やネットゼロ達成ではなく、短期的な脅威への対応が中心になると指摘する見通し。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-60473762

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道の事業再委託 定義明確化を 外部監査人が指摘

2022-02-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/22 18:21
 道の包括外部監査人は22日、2021年度の定期監査の結果をまとめ、道の事業再委託のルールが曖昧として、明確な規則を整備するよう指摘した。
 道は、委託された業務の一部を第三者に委託する事業再委託について、効率性などが損なわれないよう委託内容や理由などの要件を満たしているかを確認した場合に承諾している。
 20年度のアイヌ文化魅力発信事業では、道から委託された事業者が別の事業者に一部業務を発注。道は委託業務が限定されることから再委託には当たらないとして承諾手続きを行っていなかった。道の包括外部監査人の板垣博靖公認会計士は記者会見で「どういう場合に再委託に当たるかが明文化されていない。規則の整備が必要」と述べた。
 包括外部監査は地方自治法に基づき外部監査人が特定のテーマを定めて毎年度行う。今回は20~21年度の道の産業振興策29事業を監査した。(内藤景太)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648742

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ベネズエラの先住民ワラオ編 せきらら☆難民レポート 第24回

2022-02-23 | 先住民族関連
月刊ピンドラーマ2022年2月22日 08:01
#せきらら☆難民レポート
#月刊ピンドラーマ  2022年2月号 HPはこちら
#ピンドラーマ編集部 企画
#おおうらともこ  文と写真
◆飢えの危機から逃れて
「今年10歳になる娘は、飢えで病気になり、鼻血が止まらずに痩せて黄色くなってしまいました。それで、ベネズエラを出る決意をしました」
 レアニー・ガブリエラ・トレス・モラレダさん(31歳)は、近年の緊迫したベネズエラの社会情勢を逃れ、ブラジル最北のロライマ州の州都ボアビスタで暮らしはじめたベネズエラからの避難民の一人である。ベネズエラ危機による食糧難から家族の生命にまで危険が及び、2019年、娘と姪の3人で、ベネズエラを出ることを決意した。
「毎日、教師の仕事や文化活動の指導を行っても、一か月の給料で買えるのは米1kgとチーズ1kgだけでした。今も同じような状況が続いています」
 トゥクピタからバスでサンタエレーナに行き、そこから徒歩でトローチェと呼ばれる非合法の道を通ってブラジルとの国境を抜け、ブラジルの国境の町パカライマに到着。メルコスルの国の間では、身分証を示せば国境越えに問題はなく、合法的に居住や仕事もできる。パカライマで4日間を過ごし、書類手続きを行った後、そこからバスでロライマ州の州都ボアビスタまで移動した。
 ボアビスタでは2日間バスターミナルで寝泊まりし、その後、ベネズエラの先住民のリーダーがまとめる「KA UBANOKO」と呼ばれる占有地(Ocupação)で過ごした。後に両親と夫も到着し、昨年、ボアビスタ市内に数か所設置されたシェルター(Abrigo)の一つに居住地を移した。

レアニーさん
◆ワラオ族のリーダーとして
 レアニーさんは、ベネズエラの先住民ワラオ族のコミュニティであるナバサヌカで生まれ、12歳まで同コミュニティで育ち、その後は近郊の町トゥクピタで育った。
「ナバサヌカではワラオ語だけを使用していました。トゥクピタに行ったばかりの頃、スペイン語は聞けばわかるのですが、全く話せませんでした。徐々に慣れて勉強もできるようになりましたが、ブラジルに来てからはポルトガル語で、ナバサヌカからトゥクピタに移った時とまた同じことが起こりました。今もポルトガル語は得意ではありません」
と、言語の習得で先住民ならではの困難に直面してきたという。
 ベネズエラでは初等教育の教師を務め、「エコ・ワラオ」というグループでワラオ族の文化、特に伝統から現代スタイルのダンスを教えていた。現在、レアニーさんが暮らすシェルターは、「Abrigo Jardim Floresta」と呼ばれる場所で、このようなシェルターはボアビスタ市内に、ベネズエラ人の中でも先住民向けが4か所、一般のベネズエラ人向けが6~7か所ほど設置されている。このシェルターでも、レアニーさんはベネズエラでのキャリアを生かし、ボランティアでワラオ族の文化を子供たちに教え、講演活動や高齢者、女性を助ける活動を通じて、先住民の生活の改善を図ろうとしている。
◆インディオ問題の解決に向けた闘い
 レアニーさんは昨年から、ボアビスタ市にあるPADF(Pan American Development Foundation/汎米開発基金)に勤務し、先住民の問題解決に向けた仕事に携わる。同機関の地域マネージャーであるコロンビア人のヴィセンテ・クアワットさんや、活動家で、難民と移民を支援するNGO、PDMIG(Pacto Pelo Direito de Migrar)の副代表を務めてきたアブドゥルバセット・ジャロールさんと連携して、先住民問題を解決する啓発にさらに力を入れている。
 ベネズエラの先住民は、多くの人権団体があるということにも関心を持ち、ブラジルを避難先として選ぶ。ブラジルではひとまず食料や薬も購入できるが、雇用が乏しく、より良い生活を求めてきたにもかかわらず、実際には様々な偏見や差別に悩まされるという。例えば、会社に履歴書を見せても、「先住民だから」という理由で断られ、先住民でも肌が白くて背が高ければ雇用を得られるが、褐色肌で小柄であれば断られるなど。シェルターでは生活支援も得られるが、居住期間は限定されている。仕事がなければ、また別のシェルターに移り、いつまでも自立した生活ができないことを繰り返すケースも少なくない。
 ブラジルとベネズエラの先住民の権利にも差があり、ベネズエラの先住民はなかなか土地を得られない。医療機関へのアクセスも悪く、レアニーさんの父親(66歳)は新型コロナウイルスに感染したが治療を受けられず、先住民の民間療法で一か月以上かけて回復することができたという。
「私は恵まれている方です」
というレアニーさん。郷里は自然豊かで、川沿いに家が立ち並び、川が通りのような存在だったと懐かしむ。それでも、このままブラジルで生活し続けることを希望している。ベネズエラの国立大学で、ジャーナリズムと教育学を勉強していたが卒業できなかったので、ブラジルで改めて勉強し直したいという希望もある。夢は、「アメリカ大陸を縦断して、様々な先住民ゆかりの地を訪ねる」ことである。
(取材協力 アブドゥルバセット・ジャロール )
https://note.com/pindorama/n/nacc76e90832e

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まりも湯跡地に足湯新設 阿寒湖温泉、4月末に利用開始予定

2022-02-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/22 05:00

【阿寒湖温泉】2019年12月から休業していた人気の公衆浴場「まりも湯」(釧路市阿寒町阿寒湖温泉1)の跡地に、鶴雅リゾートが出資する会社「阿寒温泉土地」が建物の柱などにアイヌ文様を施した新たな足湯施設をつくる。4月末から利用を始める予定で、今月末まで足湯の名称を公募している。
 まりも湯は地元のホテル経営者らが出資する阿寒温泉土地が1957年に営業を開始。地元の常連から観光客まで幅広く愛されていたが、管理人の不在や建物の老朽化で休業が続き、昨年10月に廃業した。
 同社は昨年12月から建て替え工事を開始。建物は2月中に完成予定で、雪解け後に緑地化など外構工事を行う。事業費は約7千万円で、環境省や観光庁の補助金を一部利用した。
 足湯は敷地面積460平方メートル、建物面積189平方メートル。木造屋根付きで、掘りごたつ風のテーブルを設け、入り口の階段や足湯の周囲に小型のあんどんを置く。入り口と広場に大小アイヌ文様を彫刻した柱「カムイニ」を計5本配置するほか、木造屋根の柱やあんどんにもアイヌ文様を施し、阿寒湖地域ならではのデザインにする。
 足湯利用は無料で、一般客への温泉販売を検討する。飲食やテレワークができるよう広場内に公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」環境を整備する。鶴雅リゾートの金子力社長は「温泉街の景観を良くし、インバウンド(訪日外国人客)を含む観光客にくつろいでもらえる空間を提供したい」と話す。
 足湯の名称は10字以内。住所・氏名・電話番号と名称案を記し、メール(koubo@tsuruga.com)か、鶴雅グループ営業戦略部に郵送で応募する。採用された人にはあかん遊久の里鶴雅のペア宿泊券をプレゼントする。(伊藤美穂)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648444

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アイヌ文様と有田焼コラボ、多彩な12皿 ネット限定販売

2022-02-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/21 22:27 更新
 【阿寒湖温泉】釧路市阿寒町阿寒湖温泉の工芸作家と佐賀県の伝統工芸品である有田焼の二つの窯元がコラボした皿がクラウドファンディング(CF)サイトで販売されている。アイヌ文化の知的財産保護などに取り組む一般社団法人「阿寒アイヌコンサルン」(釧路市阿寒町)の監修でアイヌ文様のデザインを施した12種類が完成し、アイヌ文化の魅力を発信している。
 国のアイヌ政策推進交付金を活用する「阿寒湖アイヌアーティストのブランド化」事業の一環。阿寒湖アイヌコタンの工芸作家5人が協力し、有田焼の二つの窯元が製作した。
 窯元「久右エ門窯」は女性工芸家2人によるアイヌ文様の絵柄を藍の染め付けで表現し、青と白のコントラストが美しい6種類を製作。それぞれ直径12センチで、6枚セット1万1600円(送料込み)など。
 窯元「やま平窯」は男性木彫作家3人による文様の木彫りから型を写し取り、凹凸を釉薬(ゆうやく)の濃淡で表現した。
 3人それぞれのデザインで透明感のある青色とあめ色があり、各色3枚セット(直径21センチ1枚、同15センチ2枚)で8940円(同)。
 同法人によると、阿寒湖畔一帯の森林を保有、管理する前田一歩園財団初代園主の前田正名氏が阿寒湖畔に居を構える以前、1878年の第3回パリ万博で有田焼の紹介に尽力したことが史実として残る。担当者は「阿寒湖温泉と有田焼というそれぞれの発展を前田正名という人物が支えたという不思議な縁も感じている」と指摘する。
 プロジェクトリーダーの木彫作家斉藤政輝さん(64)は「彫った文様のデザインがきれいにお皿に出ていてよかった。歴史ある有田焼とのコラボでアイヌ文化に興味を持ってもらうきっかけになれば」と期待する。3月13日までCFサイト「エンニチFUNDING」(https://www.ennichi-funding.com/)で販売。問い合わせは同法人(電)0154・65・8973へ。(伊藤美穂)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648396

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<今日の話題>唯一無二の芸術

2022-02-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/21 16:00
 美術史に明るくなくとも最近、渡辺省亭(せいてい)の名前を耳にする機会が増えた。明治から大正にかけて活躍した花鳥画の名手だ。知名度がこの20年で飛躍的に高まった江戸中期の画家伊藤若冲(じゃくちゅう)に続く、日本美術の新スターと目される。
 繊細かつ巧みな画技は当時の画界で群を抜き、20代後半でパリ万博出品作に選ばれて渡仏し、印象派の画家とも交流。欧米の有名美術館が作品を数多く所蔵する。
 ただ若冲と同様、その名は長く忘れられ、知る人ぞ知る存在だった。注目されるようになったのは2017年に開かれた没後100年記念の展覧会が契機とされる。
 省亭は晩年、画壇に背を向け展覧会に出品せず、美術全集に載ることもほぼなくなった。一方、小説の挿絵や雑誌の口絵も手がけた。
 美術史家の山下裕二明治学院大教授は、美術史の主流から外れたのは画壇との距離だけでなく、商業美術的な領域に身を置いたことも一因とみる(「商業美術家の逆襲」NHK出版)。そんな独自の世界で生きた芸術家に光を当てる機運は日本画にとどまらない。
 同著は再評価が待たれる作家として、釧路市阿寒湖畔に民芸店「熊の家」を構えたアイヌ民族彫刻家、藤戸竹喜(ふじとたけき)さん(1934~2018年)を挙げ、「北海道土産の定番である木彫りの熊を唯一無二の芸術にした人」とたたえる。
 東京で昨年開かれた回顧展を機に熱い視線が注がれ、道外から熊の家を訪れるファンもいる。時に権威的でとっつきにくいとも見られがちな美術の世界がぐっと身近に思えてくる。(西山由佳子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648257

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<カムイの大地 風景編>21 冬の知床チャシコツ崎 氷の世界 春はまだ遠く

2022-02-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/21 16:00
 オホーツク管内斜里町ウトロのチャシコツ崎。オホーツク海を覆う流氷と岬のつららが氷の世界をつくる。
 太陽光の力が増し、一日中氷点下の真冬日から解放される日が増えてきた。しかし、知床半島は大地も海も氷と雪で白一色。低気圧は雲を、雲は雪を誘う。春の訪れはもう少し先だ。
 チャシコツ崎の先端は波に岩盤が削られオーバーハングしている。波しぶきがつららとなり、吹き付ける雪が付着。氷瀑(ひょうばく)のようだ。むき出しの岩場はただでさえ歩きにくいが、氷のよろいをまとい、人間の接近を容易に許さない。
 厳しい季節がシリ(アイヌ語で陸地)エトク(突端)に手つかずの自然を残したと実感した。(茂忠信、写真も)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648178

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北大 「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」制定記念講演 多様性推進へ提言

2022-02-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞02/21 10:37
 北大は、人種や言語、性別、障害などあらゆる差別をなくし、多様な人々との共生を進めることを目的に、「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂)推進宣言」を昨年12月に制定した。オンラインで同月に4回行われた記念講演では大学との関わりをテーマに、京都精華大のウスビ・サコ学長が「民族」、東京電機大の山田あすか教授(建築計画)が「ユニバーサルキャンパスデザイン」、奈良女子大の三成美保教授(ジェンダー法学)が「セクシュアリティ」、東大の大沢真理名誉教授(社会政策)が「ジェンダー」の視点で語った。4人の講演要旨のほか、共生社会について意見を交わしたサコ学長とアイヌ民族の芸術家集団「アイヌ・アート・プロジェクト」の結城幸司代表の対談を紹介する。
■民族 違い認め合う社会に 京都精華大 ウスビ・サコ学長
 私は2018年4月から京都精華大の学長を務めています。最近は留学生が増え、学長になった時は10%近くだったのが、27%に伸びています。大学の教員、職員、学生が同等に人間であるということを実現するため、(学長に就任した年に新たな)「ダイバーシティ推進宣言」を制定しました。
 宣言を掲げるだけの単なる言葉ではなく、さまざまな取り組みも行っています。一例として、学生名簿は「男」「女」の区分けをせず、学生の呼び名は「さん」に統一。誰もが使えるトイレを設置しました。LGBTQをはじめマイノリティー(性的少数者)を尊重する制度もつくりました。
 まだまだ十分ではないと思いますが、同様に推進宣言をした北大とも連携していきたい。多様な社会の実現に向けては、個々の大学だけで対応するのではなく、日本社会が変わることが大切です。
 私は23の民族で構成されるマリ共和国に生まれました。民族が異なれば文化や言語も異なります。一人の人間がさまざまな背景を持ち、多様化しているのは日本でも同じでしょう。ただ、日本では異なる文化圏に属する他者を一定の枠にはめようとする。互いに認め合わなければ、共生社会は実現できないと思います。
 ダイバーシティーとは、さまざまな背景や属性を持ち、それぞれ違うということを認識することです。日本社会では空気を読むことを求められますが、多様化する社会の中で、それぞれが思っていることを言わないかぎり、社会は協調されないのではないでしょうか。
 人権問題に関して、日本はグローバル化(地球規模化)の基準にあるのか非常に疑問です。「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」問題(米国で20年、白人警官が黒人男性を押さえつけ、死亡させたことから起きた抗議デモのスローガンにちなんだ)で私が日本のテレビでコメントした際、「黒人大学長」と紹介されました。「(アフリカ生まれを意味する)アフリカンボーン」とは言われても、黒人大学長はありません。放送用語として普遍化されているのは、日本で構造的な差別が残っているからだと思います。
 グローバル化が進み、暮らしや学び、仕事の中に、あらゆる国の人や物、仕組みがあふれ、自国の常識だけで生活していくことは困難になっています。真のグローバル人材というのは、自分の足元をしっかりと見つめ、出身地域の文化、さらには他地域の文化を持つ人を大切にすることではないかと思っています。
 不確かな社会の状況下で大事なのが、論理的な「答え」だけではなく、そもそもの「問い」を立てることです。何でも答えや結論を出そうとしがちですが、問いにたどり着き、「再設定」する勇気が必要です。社会の中にはさまざまな課題がありますが、共生社会の実現にたどり着くことができると私は信じています。
■対話からの学び重要 次の時代へ変化の時 サコ学長、アイヌ・アート・プロジェクト結城幸司代表対談
 結城 先住民がいる土地の大学という意味では、北大の今回の宣言は遅すぎました。サコ学長が違いを認め合う社会を目指して日本を見ている姿は感動的で、僕たちアイヌもこれまでのことを受け止めながら、次の時代に向かう変化の時を迎えていると感じました。
 サコ さまざまな背景を持つ人が一緒に住めば互いの文化から学習し、新しい社会が生まれます。北海道の文化はアイヌ文化であり、開拓者の文化でもある。(アイヌ民族の存在を認めてこなかった)歴史的事実を反省しながら、インクルーシブ(包括的)に学び合うことが重要です。
 結城 北海道はアイヌ語に由来する地名がありますが、多くの子どもは自分が住む土地の本当の意味を知らずに生きている。サコ学長がマリの文化を正々堂々と語る姿はうらやましい。宣言が遅すぎたと言いましたが落胆はしていません。そこから何を行っていくかを考えていきたいです。
 サコ 私は日本に来たことによって、より「マリ人」になったと感じています。自分が当たり前と思っていたものが当たり前じゃないことに指摘されて初めて気がつきました。こうした機会が非常に重要で、大学がその場をつくればいい。それぞれの違いもぶつけ合うべきだと思います。
 結城 僕らがやらなければいけないのは、(アイヌ民族と他の人たちが)もう一回出会い直し、(互いを)捉え直すことを堂々とやること。宣言を「偽物」にしないためには、(文化や歴史を)つくり上げていく覚悟が必要です。
 サコ 宣言は「始まり」であって「完成形」ではない。「知っているつもり」はいけません。対話の中でいろいろなことを学び、真摯(しんし)に受け止めていくことが重要です。
<略歴>ウスビ・サコ 西アフリカに位置するマリ共和国生まれ。同国の派遣で中国の北京語言大学と南京東南大学で学ぶ。1991年に来日し、99年に京大大学院工学研究科建築学専攻博士課程を修了。専門は空間人類学。京都精華大学(京都市左京区)人文学部教員、学部長を経て現職。55歳。
■ユニバーサルキャンパスデザイン 学生以外の姿当たり前に 東京電機大 山田あすか教授
 あらゆるデザインはアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を含む「思想の塊」と言えます。ユニバーサル(普遍的な)デザインも、誰かにとってのバリアフリーが、他の人のバリアーになる可能性もある。状況に応じて調整や選択ができることが必要です。ユニバーサルデザインのキャンパスをつくるには、常にそれらが実現できているか問い続ける姿勢が大切です。
 北大のような国立大は「公的な社会資本」と位置づけられています。「大学はこういう所」「こんなことはできない」といった限定的な見方もされますが、社会のための実験場として、新たな技術や価値が生まれる場とも解釈できます。開かれた場であると同時に、部分的に閉じられている。そのバランスが大切です。
 共生社会を考える時に、大学キャンパスができることは「ただいることができる」という新しい当たり前をつくることだと思います。キャンパスに学生だけではなく、さまざまな人がいるという姿が、ダイバーシティーや共生につながっていくと思います。
■セクシュアリティ 「無意識の偏見」気付きを 奈良女子大 三成美保教授
 北海道は(LGBTQなど)性的少数者への関心が高い地域です。北大には全国でも珍しい大学公認の性的少数者らによる学生サークル「虹の集い」があります。札幌市は(2017年、同性カップルを公的に認める)パートナーシップ宣誓制度を政令都市で初めて導入しました。
 そもそも性の多様性は特定の人の特別な問題ではなく、全ての人に共通する尊厳、人権の問題。海外でLGBTQなどへの法的権利が保障されている国は社会としての受容度も高い。
 日本には性的少数者の割合に関する統計がなく、国の政策として進みにくい。自治体や大学が個別に理解促進に取り組んでいるのが実情です。世代によって理解に格差もあります。無意識の偏見に基づく(肉体的、精神的)暴力は日常的で、全ての人が気付くための研修を受ける必要があります。大学での事例をみると、心と体の性が一致しないトランスジェンダーは使うトイレに困るなど生活上の支障が多い。(性的少数者の)権利保障だけではなく、大学全体でジェンダーの視点を踏まえた施策が必要です。優れた人材の確保につながり、経済的、社会的な効果が高まるでしょう。
■ジェンダー 女性の貧困 コロナで露呈 東大 大沢真理名誉教授
 政府は「人への投資」と言ってますが、本気度については疑問です。世界を見渡すと、社会的な投資戦略は貧困と社会的排除を防ぐために行われています。欧州連合(EU)が20年以上進み、アジアでは韓国が先行しています。
 日本は社会保障機能の強化が急務です。政府の社会保障制度改革国民会議が2013年に提出した報告書では、社会保障制度を(終身雇用の夫と専業主婦による家庭を前提とした)「1970年代モデル」から、(超高齢社会に対応できる)「21世紀日本モデル」に転換する必要を説きましたが実態は変わっていません。
 日本は人への投資が弱い中、教育機関への支出が低い。政府支出に占める教育の割合は、経済協力開発機構(OECD)諸国で最低の部類で、女性研究者の比率も低いまま。社会人の学び直しも同様に最低レベルとなっています。
 社会保障の機能強化が進まない中、貧困問題は深刻です。特に就業するひとり親の貧困率はOECDにインド、中国を加えた中で日本が最低です。女性が働くことや子育てをすることに罰を科されているような状況です。以前からあった問題ですが、コロナ禍で露呈し、政府がもたらした「コロナ対策禍」とも言えます。(光嶋るい、田口博久)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/648147

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