金沢城外周の一画に白鳥路と呼ばれる小径がある。
兼六園下から大手堀までわずか数百メートルばかりの、
うっそうとした木々が生茂る小径でしかないが、
ホタル観賞の名所であることを思うと
市街地の中心でありながら、街として栄える前の自然がそのまま残されていたのかもしれない。
その一方、木々の景観を損なうことなくいくつかの彫刻作品が置かれていて、
オアシスのような感覚とともに道行く人の目を楽しませてくれている。
そんな小径を兼六園下から入ると、まず出迎えてくれるのが彼ら。
手前から室生犀星、泉鏡花、徳田秋声で金沢の三文豪と呼ばれている。
最近、ここで記念写真を撮る光景をよく見かけるようになったが、
地元では見慣れた彼らなので、きっと観光客だろう。
新幹線開通以来、市民目線の散策コースさえ、
観光地化されたということかもしれない。
いつも清涼な空気に覆われている白鳥路、
とりわけ梅雨時期はその空気がさらにしっとりとして、
森林浴のような散策を楽しむことができるのだが、
さらに季節感を高めてくれる光景がもうひとつある。
小径脇を流れる水路に沿って咲く紫陽花だ。
かなり独断的だが…。
さんさんと陽が降りそそぐ下で咲き誇るのではなく
朝露や雨上がりなどしっとりとした空気の中で
どことなく内気に、そして可憐に咲いてこそ紫陽花…そう勝手に思っている。
さて、そんな白鳥路の紫陽花を彫刻のわき役に見立ててみた。
この時期、白鳥路に咲く遠慮がちな紫陽花。
その名わき役ぶりを金沢の情景のひとつとして感じていただけたなら幸いだ。
雨の季節。
なんとなく雨降りの情景が浮かぶスムーズ・ジャズナンバー。
...と、さも知ったように選曲したものの、
実はスムーズ・ジャズ、フユ―ジョン、クロスオーバー、AORの区別はつかない。
FOURPLAY Feat. PHIL COLLINS - Why Can't It Wait 'Till Morning