花ごよみ

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ユリゴコロ 沼田 まほかる

2012-02-04 | 本 ま、や行(作家)


ユリゴコロ

主人公である亮介が、
実家の父親の押し入れで、
偶然目にした「ユリゴコロ」という、
タイトルの4冊のノート。

そこに書かれた手記の内容は、
異常な心の持ち主である人物が記した、
怖ろしい告白だった。

人の命が消滅するときに
発生する心の現象であるユリゴコロを
感じるのは誰なのか?

この手記の作者は?
事実あるいは単なる創作なのか?

ノートに書かれていた
驚くべき亮介の過去の真相は?

明るい未来を疑わなかったのに
彼女の失踪から次々に亮介に
降りかかる得体のしれない、
不幸な出来事。

実際読んでいてノートの内容は
気持ちが悪くなります。
ででも主人公の亮介と同じく、
早く先を知りたくなります。

手記の中身は、
少しずつ明かされていくので
先の展開がとても気になって
本を途中でなかなか、
閉じることはできません。

この家族、とても仲がよくて、
父と血縁関係のない祖父母との強い絆、
すべてを知ってからも
兄に対してなんら変わらない、
弟の様子などは、
なんだかすがすがしいほどで
現実的ではないです。

極めて陰湿で残忍な過去の上に、
成り立った家族、
でも今はごく普通の家族で、
それも家族愛で包まれた一家というのが
なんか腑に落ちないというか、
奇妙で心地悪さが残りました。

2005年に読んだ、
沼田まほかるのデビュー作、
「九月が永遠に続けば」から
7年を隔てて今回が2冊目の本です。



 




コメント (6)
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