はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ハナゴミ

2006-01-09 19:01:26 | はがき随筆
1月9日
 私が小さいころは川がよく氾濫して、流域の住民たちは一方ならぬ難儀苦労をしていたが、洪水の後には川岸の小灌木や竹やぶに流木や枯れ竹が流れ着いていた。川沿いの人々は、それをハナゴミと称して拾い集めて煮炊きや風呂炊きに利用していた。母たちはハナゴミと言っていた。「大隅肝属郡方言集」(野村伝四著)には、洪水の時、地上や床の上などにたまった塵芥と説明してある。近年、燃料はガスや電気に切り替えられ、ハナゴミなど見向く人もなく、いつまでも放置されている。つつましく、物をを大切に利用していた人々の暮らしを思う。
  肝付町前田 竹之井 敏(80)