はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

1941年12月8日

2006-12-08 15:51:02 | アカショウビンのつぶやき
 今朝は郵便受けから朝刊を出すなり、隅から隅まで探した。あの忌まわしい「大東亜戦争」に関する記事があるものだろうかと……やっぱりなかった。もうニュースにもならない過去のことなのかなあ。
 
 1941年12月8日未明、無謀な真珠湾攻撃から始まった、この戦争は地球規模の争いにまで広がり、幾多の人命を奪い、原子爆弾の被害まで被る、悲惨なスタートとなったのに。人々はこの日を忘れ去ったのだろうか。
 あの日、私は国民学校2年生だった。兄は通信兵、義兄は医務兵として参戦し、共に「お国の為に」若い命を散らしてしまった。
 
 1943年秋のある日、私は近くの公園に写生に行っていた。「お兄さんが戦死したので、すぐお家に帰りなさい」と、小使いさんがしらせに来てくれた。「どうして兄ちゃんが戦死するの、毎日仏様を拝んで無事を願ってるのに、そんなはずはない」と、うち消しながら家に帰ったが、仏壇の前で泣き崩れる母の姿を見て、兄の死を認めざるを得なかった。
 
 マスコミは忘れても、悲しみを背負った人々は決して忘れない。
 地球上の争いは収まるどころか、日に日に拡大し、民族間の争いだけでなく、大国のエゴも見え隠れする。

今こそ平和を声高に叫ぼう!
ひとりひとりの心の中に許し合い、愛し合う思いを育てていこう。
地球上のすべての人々が、隣人となるために!
 (アカショウビンのつぶやき)

ここに咲く

2006-12-08 08:09:55 | はがき随筆
 川を通る度に思い出す。9月、川に行って、そこで見た彼岸花の命の輝きを。 川沿いに大きな流木が、どっしりと横たわっていた。こんな大木が、あの洪水で流されてきたんだな。じっと見ると、流木の枝と枝の間から、すくっと1本、真っ赤な彼岸花が。球根はむき出しになってはいるが、それでも鮮やかに咲いている。球根を挟んだまま流された大木。流れ着いた場所で、たくましく花を咲かせた彼岸花。
 与えられた環境で、精いっぱい生きるその美しさと強さを心に刻み、また来年も花を咲かせてねと語りかけた。
   出水市 山岡淳子(48) 2006/12/8 掲載

写真はJun♂さんからお借りしました。