瓦がずり落ちそうな親の廃屋がある。私は少年時代、天井のないその荒屋で過ごした。冬は目が覚めると、時には粉雪が枕元に舞っていた。
とうに、父母は亡くなり、屋根や戸板も苔むして、粗末な埴生の宿だけがひっそりと残っている。
廃屋を訪ねると、まだ、柱には妹や弟の背丈を測った傷跡がある。父母、妹、弟の5人家族が食べ、笑い、喧嘩し、叱られた思い出が一瞬に蘇る。
仏壇に花を供えに行ったり、イギリス民謡「埴生の宿」を聴くと、懐かしい思い出が込み上げるのはそのせいかも知れない。
出水市 小村 忍(63) 2006/12/21 掲載
とうに、父母は亡くなり、屋根や戸板も苔むして、粗末な埴生の宿だけがひっそりと残っている。
廃屋を訪ねると、まだ、柱には妹や弟の背丈を測った傷跡がある。父母、妹、弟の5人家族が食べ、笑い、喧嘩し、叱られた思い出が一瞬に蘇る。
仏壇に花を供えに行ったり、イギリス民謡「埴生の宿」を聴くと、懐かしい思い出が込み上げるのはそのせいかも知れない。
出水市 小村 忍(63) 2006/12/21 掲載