はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

恵み

2009-02-04 17:00:16 | はがき随筆
 昨年暮れの風邪が自律神経を混乱させて、治まる気配がない。
 つらいと、つらいだろう人々のことがしきりに思われる。
 夫の死で自分を責める人、親友の死で寝こんだ人、孫2人の嘔吐下痢、恋人と別れた若者、仕事を失った人々、イスラエル・パレスチナ問題……など。
 てんこ盛りにして祈っていると、吐き気を伴ういやな症状が、神からの恵みに思えてくる。「お前が幸せなときも、苦しみにあえぐ人々の痛みを忘れないように」というイエスからのメッセージが聞こえるからだ。
 喜びに満たされてうなずいた。皆に幸せあれ!
   鹿屋市 伊地知咲子(72)2009/2/4 毎日新聞鹿児島版掲載

新老人

2009-02-04 07:56:09 | アカショウビンのつぶやき
 日野原重明先生のお話を聞いた。
鹿児島市にある、日本キリスト教団・加治屋町教会の創立130年記念伝道集会に招かれた先生は、講壇に用意された椅子には、お座りにならず、にこやかな表情、張りのある声で、1時間にわたる講演を立ったまま終えられた。
おん歳97歳。前日は沖縄講演をすませて、東京にお帰りになり翌日は羽田から鹿児島へ…。その超ハードスケジュールは若い者でも真似できそうもない…。

「新老人の会」の普及につとめ、その哲学を実践して生き生きと生きておられるが、その哲学とは

1)いつまでも愛し愛される人間であること 
2)創意を持ち続けること。何か新しいことを常に考え、実行すること
3)苦難に耐えること。耐えることによって他人の苦しみに共感できる

とある。新老人の会の「シニア会員」とは、75歳以上。74歳までは、なんと「ジュニア会員」と呼ばれている、嬉しいではないか…。更に65歳未満をサポート会員と称する。

老いも若きも共に手を携え、過度に成長した不健全な文明に歯止めをかけ、与えられた自然を愛しその恩恵を感謝する、より良い生き方を次の世代に伝えて行こう、と結ばれた。


金ピカ?

2009-02-04 07:48:18 | かごんま便り
 当初、無投票かと思われた西之表市長選に告示直前、新人が名乗りを上げた。「通称の『金ピカ先生』で届け出るそうです。市選管も受理する方向です」。担当のF記者から報告を聞いて一瞬、絶句した。

 選挙に立候補する場合は本名(戸籍名)で届け出るのが基本だが、選管に申請して、本名の代わりに広く通用していると認められれば、通称で届け出ができる。共産党委員長・議長を歴任した不破哲三氏がペンネームなのは有名だし、参院議員だったコロンビア・トップ氏(故人)や参議から大阪府知事に転じた横山ノック氏(同)も芸名で政治活動を続けた。

今回のケースは少々悩ましかった。まず姓がどこまでで名がどこからなのか。最終的には「金ピカ」を姓と見なすという常識的?な線で陣営の了解を得た。次に困ったのが末尾の「先生」。普通は敬称・尊称として用いられる語だ。すると「~先生」氏の表記は明らかに変だ。だが「~先生」が丸ごと人名なら「氏」抜きは呼び捨てになる。議論の末、多少の違和感には目をつぶり通常の「氏」表記で落ち着いた。

 金ピカ氏は元々、大手予備校の名物講師。大学受験ラジオ講座も担当していた。当時は本名で活動し「金ピカ先生」はあくまでニックネーム。風ぼうから「やっちゃん先生」とも呼ばれ、やくざ映画にも出演していた。

 彼はその後、活動のすべてを現在の通称に統一し、商標登録までしているという。だからこそ市選管も使用を認めたのだが、果たして地元で「広く知られた通称」だったのかどうか。単なる冷やかしと受け止めた向きもあるとすれば、選挙戦略としてはどうだろうか。

 本名よりはるかに知られた「そのまんま東」の芸名を封印した東国原英夫・宮崎県知事。タレント業の延長ではなく、本気で政治に取り組む決意の表れならば、これこそ慧眼(けいがん)であろう。

鹿児島支局長 平山千里

2009/2/2 毎日新聞掲載