はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

女に生まれる

2009-02-16 12:31:32 | はがき随筆
 「女に生まれるのではない。女に育てられるのだ」と思っていた。
 息子2人だけだった我が家に孫娘が生まれた。福岡にいるので時々しか会えないが、その成長ぶりを見ていると、女に生まれているのではないかと思うことしきりである。
 まだ2歳半だが、朝ママに髪を結んでもらい服を着替えると決まって鏡の前に立ち「く-ちゃんかわいい」とにっこり。極めつけは「じぃじ抱っこ」とこびを売るような甘えた声でひざに乗っていく。普段、愛想なしの妻との暮らしでは味わえない幸福感にデレデレの亭主。
   出水市明神町 清水昌子(56) 2009/2/16 毎日新聞鹿児島版掲載

放置自転車

2009-02-16 08:21:22 | かごんま便り
 鹿児島に来て以来、移動手段にはもっぱら自転車を便っている。佐多岬を目指すなんてむちゃはやらない(できない!)が、鹿児島市中心部の行き来程度なら、これが一番便利だ。朝夕の渋滞時など、下手に車で移動するより早いくらいである。環境にも財布にもやさしいし、健康にもいい。
 もっとも、便利なだけに、時として安易で無秩序な振る舞いが問題になる。市がここ数年、対策に頭を悩ませている放置自転車もその一つだ。
 例えば、JR鹿児島中央駅近くの鹿児島中央郵便局。局舎前の駐輪スペースはしばしば「満車」状態で、利用客がまばらな深夜でさえ自転車やバイクがびっしり、というのが珍しくない。局に用のない、駅や周辺商業施設の利用者が、駐輪場に行く手間を惜しんで「失敬」しているようだ。
 日本郵便鹿児島支店に聞くと、長期間放置している悪質な例もあり、本来の利用客が止められないとの苦情は少なくないという。午後8時までは駐車場整理の担当者が目を光らせているものの「最終的にはお客さんのマナー頼み」(同支店総務課)が実情らしい。
 電車通りをはさんで反対側、キャンセビル前も似たような状況だ。店舗の営業が終わっているにもかかわらず、結構な数が並んでいる。一見して長期開置きっ放しと思われる自転車も目につく。
     ◇
 人通りの多い同駅周辺や繁華街の天文館地区は06年から順次、市が放置禁止区域に指定し、代わりにいくつか有料の駐輪場が設けられている。
 駐輪場まで行くのは多少遠回りになるし、お金がかからない方が誰だってありがたい。その施設を利用しないのに勝手に置いたり、長期開置きっ放したりする一部の不心得者さえいなければ、そもそも駐輪場なんてなくても済むんじゃないか。  駐輪場を利用するたびに、そんな思いが頭をよぎる。
   鹿児島支局長 平山千里
   2009/2/16 毎日新聞掲載