はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

随友と共に

2009-10-30 23:08:39 | アカショウビンのつぶやき








 種子島から、お母さんコーラスに参加した随友Mさんが、はるばる鹿屋まで足をのばしてくれた。彼女は大規模な農業を営み、ご主人と二人で頑張っている。三日間が束の間の休息の時になってほしいと願い温泉に行ったりレンタカーで観光したり…。でも、チョー方向音痴の人間ナビと二人、知らない土地のレンタカー観光はかえってストレスになったかな? とちょっぴり後悔の念も。その上、大隅ブロックの随友と会食、ラジオ番組取材まで、本当にお疲れさまでした。

 鹿屋市の観光パンフを見ながら、Mさんは「鳴之尾牧場に行きたい」と。そこは高隈山の中腹にあり、舗装道路ではあるけれど、くねくね道の難所。なんで鳴之尾牧場なのよ…「バラ園もいまは見頃だよ-」と言ってみたが、やっぱり鳴之尾牧場だって…。
 
 道案内に自信のない私は市の観光振興課に彼女を連れて行きました(市役所は我が家の隣なのです)。応対した職員は親切だけれど
「観光牧場ではありませんから、何もないですよ」
「牛もいませんか」
「たぶんもう下りてるでしょう」と、あまりおすすめではない様子。それにもめげぬMさんは、曲がり角をしっかり確認してから、まだ不安そうな私に「大丈夫! さあ行くよ」と自信たっぷり。

レンタカー屋さんで、もう一度、道を確認したら
「カーナビに鳴之尾牧場が入っているかどうかわかりません」
「心配イランヨ、カーナビの操作なんて、私できんもん」と涼しい顔のMさん。そして二人の珍道中はスタートしました。

 車の離合が難しいカーブの多い道をはらはらしながら登り続け第1展望所につくと、視野がぱっと開け素晴らしい景色が広がっていました。そして牛がいっぱい。「おう、居るじゃん、やっぱり来てよかったねえ」。上り詰めた研修施設から見る景色がまた素晴らしい! 眼下に錦江湾、対岸の薩摩半島は少しかすんでいるが絶景。そこで食べたおにぎりのおいしかったこと。

 次はバラ園目指して下山。カープの真ん中で運悪く対向車…。でも「私、下手だからここで待つわ」とちっとも慌てないMさんには恐れ入りました。

 霧島ヶ丘バラ園は秋のバラが真っ盛り、鹿屋のオリジナルバラ<プリンセスかのや>の前では記念撮影。そしておいしいパラのソフトクリームを食べて一日観光終了。

 次は温泉。友人から<岩盤浴>のペアサービス券を頂いたので、好奇心旺盛な二人は、初体験の岩盤浴へ。滅多に温泉など行かない私だがとっても爽快な気分。最後は随友との会食。ここでまた、とんでもないハプニングがあったのですが、それはある人の名誉のため伏せておきましょう。こうしてMさんとの楽しい一日は終わったのでした。

美しい涙

2009-10-30 21:40:43 | はがき随筆
 彼女は泣いている。「悔しい」と。英語弁論大会の代表。彼女は1学期が始まるとすぐ「出場したい!」とやって来た。驚いた。今まで誘ったことはあっても自ら名乗り出た生徒はいなかったから。悩んで決めたテーマは「環境問題」。彼女は毎日、時間を見つけては練習に来、ALTにも教えを請い、原稿は赤ペンだらけ、紙もボロボロ。「まちがえました」と大粒の涙を流す彼女。この涙は何て美しい涙だろう。精いっぱい努力した者だけが流せる涙。「私はこんな涙を流したことはあるか?」。私は彼女の背中をそっとなでることしかできなかった。
  霧島市 福崎康代(46) 2009/10/30 毎日新聞鹿児島版掲載