風が頬を撫でてゆく。テラスで時間がゆっくりと流れる。
ばらの花柄のティーカップはこんなひとときのために通販で買い求めたお気に入り。古いカップは捨てた。もったいないという考えを捨てた。古びていく自分が新しくされていくような錯覚でいい。頭の中は空っぽで、ただ、座っている。
チュンチュンとスズメが楽しげ。かすかに漂う初夏の匂い。花壇の春は終わった。初夏へバトンタッチだ。山吹、黄モッコウバラ、ネムの木にかわり、紫陽花の蕾が膨らんできた。そして、淡いブルーの花咲くルリマツリへと季節は移ってゆく。
鹿屋市 田中京子(59) 2010/5/23 毎日新聞鹿児島版掲載
ばらの花柄のティーカップはこんなひとときのために通販で買い求めたお気に入り。古いカップは捨てた。もったいないという考えを捨てた。古びていく自分が新しくされていくような錯覚でいい。頭の中は空っぽで、ただ、座っている。
チュンチュンとスズメが楽しげ。かすかに漂う初夏の匂い。花壇の春は終わった。初夏へバトンタッチだ。山吹、黄モッコウバラ、ネムの木にかわり、紫陽花の蕾が膨らんできた。そして、淡いブルーの花咲くルリマツリへと季節は移ってゆく。
鹿屋市 田中京子(59) 2010/5/23 毎日新聞鹿児島版掲載