はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

初夏の匂い

2010-05-23 19:10:36 | はがき随筆
 風が頬を撫でてゆく。テラスで時間がゆっくりと流れる。
 ばらの花柄のティーカップはこんなひとときのために通販で買い求めたお気に入り。古いカップは捨てた。もったいないという考えを捨てた。古びていく自分が新しくされていくような錯覚でいい。頭の中は空っぽで、ただ、座っている。
 チュンチュンとスズメが楽しげ。かすかに漂う初夏の匂い。花壇の春は終わった。初夏へバトンタッチだ。山吹、黄モッコウバラ、ネムの木にかわり、紫陽花の蕾が膨らんできた。そして、淡いブルーの花咲くルリマツリへと季節は移ってゆく。
  鹿屋市 田中京子(59) 2010/5/23 毎日新聞鹿児島版掲載

収穫

2010-05-23 18:55:23 | はがき随筆
 家庭菜園を始めて十年過ぎた。さまざまな野菜の収穫に与り、野菜作りが楽しい。
 この春、玉レタスを収穫した後、いつもは株を抜き耕すが、ふと、この株はこのままにしたらどうなるか試してみたくなり、そのままにした。
 しばらくすると古株に三つの芽が出て、そのうち葉を増し、固くしまった玉レタス3個になった。その成長は苗からより早い。1本の苗から2度収穫、しかも後は3個の大収穫に驚くやら嬉しいやら。ますます家庭菜園にはまった。今朝取れたレタスをサラダにした。その瑞々しさとうまさに大満足。
  出水市 年神貞子(74) 2010/5/22 毎日新聞鹿児島版掲載