はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

僕だけのチョコ

2015-05-01 22:51:12 | 岩国エッセイサロンより
2015年5月 1日 (金)

岩国市  会 員   山本 一

趣味仲間の女性からチョコレートをもらった。その後しばらくして花見会があった。宴たけなわの頃、「某女性からチョコをもらった」と1人が告白。すると「実は僕も」と2人目が。次々に続き、最後に「僕だけかと思ったのに」と残念そうに白状したのは唯一60代の″若手″。結局この女性から、何と居合わせた5人がもらっていた。「こっそり渡されたので、ホワイトデーにこっそり返した。もらったのは自分だけだと思った」と異□同音。それぞれが抱えていた甘酸っぱい思いが一瞬のうちに大爆笑の渦に消えた。それにしても、私だけがお返ししていないとは……。
  (2015.05.01 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載


友の竹やぶ 旬味わう

2015-05-01 22:49:55 | 岩国エッセイサロンより
2015年4月30日 (木)

 岩国市   会 員   吉岡 賢一

 竹冠に旬と書いてタケノコと読む。そんな竹やぶの旬の昧を、今年も存分に堪能させてもらった。
 竹やぶにイノシシ防護柵を巡らせ、肥やしを入れ、草刈りなどの手入れをして大事に守っている同級生がいる。今年も旬になり、そんな彼のもとに数人の仲間が招かれた。
 不慣れながらも急斜面に足を踏ん張り、くわを振ってタケノコを掘る。すぐに皮をむき、大きな釜でゆで上げ、湧き水で冷やす。
 それを土産にもらって帰る。木の芽あえ、煮付け、天ぷらなど、いずれも、おいしいこと、この上ない。まさに掘りたて、ゆでたての旬の味である。 
 タケノコは、人の口に入るまでに、掘る、むく、ゆでる、冷やすなどと手間がかかる。竹やぶを守っている彼もまた、多くの時間と労力を費やしているに違いないと思う。
 仲間たちは、感謝の気持ちをなかなか言葉に表せない不器用な男たちだ。タケノコシーズンが終わったらビアガーデンに彼を招き、「カンパーイ」と気勢を上げよう。

   (2014.04.30 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

再会を願って

2015-05-01 06:47:49 | ペン&ぺん


 九電川内原発1.2号機の再稼働差し止めを地元住民らが求めた仮処分申請で、鹿児島地裁は申し立てを却下した。高浜原発の再稼働を認めない福井地裁とは逆の判断だった。基準地震動や火山の危険性などについて争ったが、裁判官で判断が異なることを、改めて多くの人が感じた。
 南米チリ南部のカルブコ火山が43年ぶりに噴火、噴煙は高さ1万5000㍍に。ネパール中部でもマグニチュード(M)7.8の強い地震。時間の経過と共に犠牲者が増えている。桜島も連日、3000~4000㍍の噴煙を上げて活発だ。大正噴火から101年がたち、エネルギーが蓄積されているのだろう。
 私たちは東日本大震災でもう「想定外」の考えは、通じないことを学んだ。原発も火山も人ごとと思わず、自身の問題として考え、警戒も怠らないようにしたい。
 災害や病気などで親を亡くした遺児を支援する「あしなが学生募金」の活動が県版(19日付)に載ると、支局に2万円が届いた。心優しく、人ごとにできない読者に違いない。住所、氏名は無記名。分かるのは加世田の消印だけ。確かに学生募金事務局に送金しましたよ。
 弊社の人事異動(5月1日付)に伴い、土田暁彦記者が周南支局(山口県周南市)へ、私は報道部(福岡市)へ赴任します。代わって西貴晴記者(現・下関支局長)が新支局長、内田久光記者(現・報道部)が次長として着任します。二人も鹿児島経験者です。よろしくお願いします。
 私の鹿児島兼務は2回目で通算6年。20年前鹿屋通信部時代に長女が生まれ、両親を連れて県内を回っただけに鹿児島は思い出がいっぱい。支局長として、もっと何かできなかったか後悔ばかりです。今後は福岡から薩摩を見守っていきたいと思います。皆さんお元気で。お世話になりました。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2015/4/30 毎日新聞鹿児島版掲載