はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

又もや へまを

2015-05-11 16:47:25 | はがき随筆
 往復はがきの返信用の部分を切り離すのに、いつもなら折り目をもう1度しっかり折って手で切る。その日はたまたまカッターが近くにあった。手でするよりきれいに切れるハズだったのに、手元を見ずテレビに視線がいっていたのと、本来の不器用がたたってカーブ状に切れた。
 「どうすればそんなになる?」と夫が不思議がったが、私自身もたまげた。
 四角形をなさぬ変形はがきを封筒に入れて投函しようとする寸前だった。切手を上下反対に貼っている、と気づいたのは。
  鹿児島市 馬渡浩子 2015/5/11 毎日新聞鹿児島版掲載

社会科見学

2015-05-11 16:41:55 | はがき随筆
 中学校の同窓会が1泊2日であった。宿泊先は指宿の有名旅館の白水館であったが、ここの泊まるのは最初で最後であろうと話すことであった。
 2日目は貸し切りバスで焼酎工場、そして山川の地熱発電所や他の観光地を巡って、締めは知覧の特攻基地記念館だった。若かりし頃を思い出したか、同級生は涙を流しており、中学校の社会科見学の様相を呈していた。
 別れ際、バスの中で廃校になった中学校の校歌を歌い、惜別の解散になった。
  鹿児島市 下内幸一 2015/5/10 毎日新聞鹿児島版掲載

弔辞

2015-05-11 16:35:49 | はがき随筆
 朝方、山口の里の甥から姉の訃報を知らせてきた。急ぎ身支度を整え新幹線に乗った。
 義兄にお願いして姉妹を代表し弔辞を述べた。 4人姉妹で1人器量が良く、7.8歳ごろの写真は長女の自覚か子供ながら凜とした佇まい。22歳で兄上をお婿さんに迎え、教育者の妻として矜持を保った。毎日新聞の「はがき随筆」や「女の気持ち」で高い評価をいただいた作品もあった。早く夫を亡くした末の私をいつも心にかけてくれた。姉妹の縁に万感胸に迫った。
 兄弟姉妹のように育った甥が「弔辞よかったよ」と言った。
  鹿児島市 内山陽子 2015/5/8 毎日新聞鹿児島版掲載