裏山の山桜はすでに葉桜。その右隣のソメイヨシノが例年より早く咲ききった。
同居していた子が、新しい任地へ発つ四月一日、風もないのにしきりにはららいでいる。子の肩に、はらはらと降りやまないのは、初の離島への赴任を祝ってくれているようでもあり、別れを惜しんでいるようにも母には思えた。
花びらを背に載せたままの、子の運転で鹿児島南埠頭へ。「フェリー屋久島2」に乗船。七色のテープを弾きながら「蛍の光」の流れる中を出港した。いつまでも手を振りながら……。
鹿屋市 門倉キヨ子 2015/5/9 毎日新聞鹿児島版掲載