富有・次郎・筆は甘柿。
市田・蜂屋は渋柿。渋が邪魔して嫌われる。乾燥すると渋が抜ける。農夫はその不可思議に興味を示し、干柿にして皆に提供する。
伊那谷の市田には元善光寺があり、美濃の蜂屋には正眼寺がある。
江戸時代には天干し柿(あまぼしがき)と呼んでいた「あんぽ柿」は水分50%の半乾燥。
柿に陽が満遍なく当たる様にコロコロ位置を変える「枯露柿」は完全乾燥。
天竜川の河岸段丘の寒暖の激しい自然環境の市田柿は水分25%。表面に柿の糖分が析出して白くなる。
甘柿は自然のままで世間に通用する。渋柿は人間の世話で陽の目を見る。そして甘柿を超える甘露を醸し出す。
問題児を教育するのが農耕民族の心意気。
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