風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

立つ鳥後を濁さず 371号

2008年09月29日 15時23分49秒 | ワーキングホリデー飯田
旅先での出会いは一生に一度の機会の一期一会と思うと「立つ鳥後を濁さず」となり、再度訪れないと思い、傍若無人の無頼漢に徹するのが旅の恥は掻き捨てである。

24日から4日間、飯田市座光寺での14回目の援農ボランティアとして、篠田農園を訪れた。直前に祖父がお隠れの知らせが有ったので、哀しみの極みと想像していたが、平穏な生活の雰囲気である。葬式当日は朝から桃の収穫をして出荷を終わらせ、野辺の送りをしたと言う。専業農家は自然のサイクルを優先し、その間隙に社会活動をしている。

収穫の時期は雑草の繁茂する時期でもある。快晴の初日は、愛称ビーバーの刈払機で梨園の草刈に没頭した。平面は乗用草刈機で主人が朝飯前に刈り終えている。樹の周りや土手は人力以外に策が無くおいらが担当する。広大な農園の草刈は名古屋から高速バスで到着し休憩後の10時から日没までの仕事である。遣り遂げ、近くの御大の湯の温泉と野菜豊富な夕食の接待を頂戴し8時に就寝、翌朝5時まで爆睡する。

6時半に朝食を頂き、最盛期の南水梨の収穫である。幸水・豊水は梨の熟成具合を見て選択的に収穫する専門性が必要で、素人では不可能な作業であるが収穫の終りの南水は総獲りだから素人でも出来る作業で午前中に終わる。翌日は降雨の天気予報だから翌日の出荷分も収穫する。雨が降り出した午後は出荷の準備を手伝う。遣り遂げ、温泉に行き、食事をして、8時に就寝、翌朝5時まで爆睡する。

6時を過ぎると東に位置する南アルプスの山並に顔を出す太陽を拝める。暗闇が徐々に明るくなり風景が現れる朝日、景色がフェードアウトする夕日。太陽に変化は無いが、人の心は動揺する。

病気に弱く、表皮の軟い南水梨は袋を被せて保護する。その為に八月初旬の雹被害から逃れることが出来た。しかしりんご「富士」は南アルプスの麓の豊丘村では全滅し、今年の収入が大幅に減少する悲劇が生じた。天竜川の対岸にある篠田農園も被害に遭い、4割程度は商品にならず甚大な打撃を受けている。野球の4割は賞賛される打撃である。

主人は自然災害の収入減を見越して普段から質素倹約し貯蓄をして備えていると言い、余裕がある。そして金欠病は家族の人間関係を破壊する原因で在ることを熟知している。

最終日はりんご園の草刈である。15時54分高森バス停発の名古屋行き高速バスに間に合うように懸命に働く。如何にか終了できたが、後始末を主人にお願いしなければならない。

親鸞思想に往還廻向がある。現世で精一杯精進努力して極楽浄土を目的地として旅をする。極楽で精進努力の暁に菩薩と成り、今度は現世に向かって旅をして、悩める衆生を救う活動をする。であるから将来の活動の場である現世を大切に保存しなければならないと考えるのである。

極楽の飯田篠田農園と現世の岡崎自宅を定期的に往来するのである。双方に気持ちよく迎えてもらう為には、その場で日の出から日没まで誠心誠意働く「立つ鳥後を濁さず」の親鸞思想が貴重だと思うのである。援農ボランティアは心身ともに健康にしてくれ、有り難い事である。

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