マッシュムラムラ(仮) ――クラ鈴が斬る!――

SINCE:2002.2.24
氷室京介、あぶない刑事、マンガ etc

さよなら絶望先生 第三十集

2012-08-19 22:00:00 | 久米田康治




最初にいっときますが、ネタバレ注意!


「まだ最終回(最終巻)読んでない」って人は、回れ右で。



ってわけで、絶望先生最終巻です。
思えば、7年前の2005年GW前でしたね、第一話が掲載されたのは。通勤時に読んだこと、いまでもはっきり覚えてます。
「へ~、久米田康治、マガジンに移籍したんだ」「(1P目の風浦可符香(ふうらかふか)を見て)久米田さんの描く女の子って、結構かわいいんだよな~」なんて思いながらページをめくった瞬間――





桜の木の枝にロープぶら下げて首吊ってる糸色先生。



それも、




「カラーページ一面に」でしたからね(笑)。




電車の中で噴き出しちゃいましたよ(笑)。

まあ、それはそうと、この三十集、個人的に特筆すべきトコを挙げていきたいと思うんですが・・・まずはアナグラム
文字の配列をシャッフルして別の意味にする言葉遊びみたいなもの(by まとい)なんですが・・・





やっぱ久米田さんの着眼点と発想はすごい! (笑)



ぬりえがすなあなに」→「あ●すにえなりが」なんて、久米田さんしか思いつかないし考えつかない!
ってか、ニートネタの多さに笑った(笑)。

お次は、「間のもたせ方」
倫ちゃんのいってた「間をもたせる天才」とは、そしてその直後の、その天才による「手法」とは・・・まあ、あだち充なんでしょう(笑)。こういうコマ割、たしかにありそう(笑)。

続きましては、「イン・ザ・クール」
はい、ええ~、








千里、最後の猟奇ネタ(笑)。




千里ちゃん、最後のヤンデレ顔です(笑)。

上の話(「イン・ザ・クール」)が終わった中盤で、普段は巻末にある絶望絵画館が載ってます。この構成に、「やっぱ最終巻なんだな・・・」といった思いが生じ、ちょっと寂しくなっちゃいましたね。
まあ、ファンのイラストを掲載するコーナーなんですが、




アサクラさんって方が描く絶望少女はホントかわいい。



カフカと奈美だったんですが、ホント上手。この人は「プロ志望なのかな?」って思っちゃうくらい上手い。
それらを始めとする多数のイラストに対する久米田さんのコメントも相変わらずで、ネガティブなものばかりでしたけどね(笑)。

で、「新・陳・人」。これおもしろかったな~(笑)。
「人間の細胞は大体1年で変わる(諸説あり)から、昨年の4月の奈美ちゃんに比べて、いまの奈美ちゃんは生まれ変わった別人の奈美ちゃんだよ」(by あびる)ってことで、まあ、いつものごとく奈美かいじられるんですが(笑)・・・

千里「ご先祖・・・いや、ご先自分(せんじぶん)の供養は、きちんとしないといけない」
奈美「や、やめてよ! 死んだみたいじゃん!」
千里「死んだのよ! 昨年の奈美ちゃんは死んだのよ!

これ、何となく「いかにも千里と奈美のやりとり」って感じがして、なんか好き(笑)。
それと、これは本誌(マガジン)で読んだときから爆笑! ――





奈美「左翼ゲリラが総理大臣になるわけないじゃん!



千里「(中身が)入れ替わっているからよ」
あびる「根っこはちっとも変ってないと思うけど

これはね、いかにも絶望先生らしい、エッジの効いたやりとりですよね~(笑)。「普通、小市民な奈美にいわせる→むしろこの子が口にしそうな千里による冷めた分析と解説→普段から冷めているあびるによる、やはり冷めたコメント」っていう台詞回しがお見事。
で、このエピソードは羅列ネタもおもしろかったです。

(テーマは「もう、中が入れ替わっているとしか思えない!」
・思い出させておいて「ふりむくなアムロ」と言ってる歌詞。
・前半と後半のユウナのキャラ。
・戦前の朝日→戦後の朝日。
・いたす前といたした後の男の態度。
・産んだ後の夫に対する妻の態度。


これらはいずれも「久米田節全開!」ですよね~(笑)。
で、これに触発されて、久しぶりに、オレも絶望先生の羅列ネタをやってみました――

(テーマは「もう、中が入れ替わっているとしか思えない!」
・1番で「♪人には、やさしくできるのだから~」いっといて、2番では「求めないで、やさしさなんか、臆病者の言い訳だから~」歌っちゃってる「贈る言葉」の歌詞。
・あぶ刑事、初期のカオルと中期以降のカオル。
・やたら毒吐いてたマッシュムラムラ(仮)→すっかり吐かなくなったマッシュムラムラ(仮)。「守りに入った」とかいうな! 「守らなきゃならないほど立派なものなんて、持ってねぇだろ」ともいうな!
・斉藤一、「これが本人である」と伝えられている写真と、「いやいや、こっちの、西南戦争出征時の警視庁抜刀隊のが本人だ」とされている写真(後者であってほしい/笑)。
・リメイク前とリメイク後のシンジくん。
・TV版とDefineのクワトロ大尉(っつーか、後者の大尉はやたらカッコいい)。
・アニメ版とDefineのレコアさん(っつーか、後者のレコアさんはやたらかわいい)。
・原作とスパロボZのシン、レイ、ルナマリア(後者はキャラ立ちまくり)。
・イケイケで超攻撃的だったり、あるいはエロかったりするB0φWY初期→やたら内省的だったり、切ない失恋ソングだったりするB0φWY後期。 >ヒムロックによる歌詞。
・陰気で暗い桑田真澄→やたら多弁になった桑田真澄。
・加持さん、スパイク・スピーゲルな山ちゃん→「おっはー!」な山ちゃん。
・綾波な林原さん→フェイ・バレンタインな林原さん。
初期の羽美と中期以降の羽美。

び、微妙・・・(笑)

お次は、「(あと)五回の憂鬱」
まさか、縁兄さんが出てくるとは思いませんでしたね~。両親と同じく、最後まで出ないのかと思ってたわ。
っつーか、兄さん、目つき悪すぎ(笑)。
その兄さんが、糸色先生に生徒たちへ手渡すための卒業証書を持たせることから、物語は一挙にクライマックスに進みます。このときの先生、妙に真剣な面持ちを浮かべてます。

で、「籍替え」
時期外れの卒業式。絶望少女たち全員に、卒業証書が授与されます。
ってか、まといと霧の制服姿が、最終回近くにして新鮮です。
そして、全員、





鬼籍に入ります。



この卒業式のあと、絶望少女たちとお別れをした糸色先生は、いままで勤めていた高校をあとにし、小さな離島の小学校へと赴任します。

で、ラス前と最終回。
当初、交くんは「絶望少女たちは全員、すでにこの世にいない幽霊」「自分の叔父である望(糸色先生)は、彼女たちを成仏させるために教鞭をとっていた」と考え、ひとり衝撃を受けるのですが・・・これは「半分正解、半分誤り」でした。
真相としては、





「絶望少女たちは、イタコや巫(かんなぎ)、依代のような存在」(by 霧)



といったものでした。
じつは彼女たちは、自殺をはかろうとしたものの死にきれず、あるいは助けられてしまった、という過去の持ち主たちで、それとは逆に「生」を望んでいた者たちの魂と邂逅し・・・


死にたかった魂と生きたかった魂。出会ってはいけない二つの魂が出会ってしまった・・・

絶望少女たちに乗り移った少女たちの霊。それは成仏できない昭和の霊たちであり、このため、(作中は)平成17年改め昭和80年としていた、ということになってたりします。
で、じつはここしばらく姿の見えなかった、メインヒロインといえるカフカ(本名・赤木杏(あかぎあん))についてですが・・・
彼女は、臓器移植のドナーでした。つまりは、すでにこの世にいません。
事故で死んで、自分のあらゆる体内器官を絶望少女たち(自殺未遂により器官を失った、あるいはその前に失い、未遂の原因となった)に移植することで、彼女たちの中に生きている、ということになっています。臓器移植に伴い、ドナーの記憶の一部も受容者たちの中に移ることもあり、このため、絶望少女全員の中に、カフカの記憶も存在するということになっているようです。
そういえば、この最終話、単行本で加筆されてますよね? 男子生徒について、久藤くんのことは本誌でも描かれていたけど、対象GUY(笑)や、木野くんの友達ふたり組――芳賀くんと青山くんについては描写がなかったと思う。
ちなみに、対象GUYも芳賀&青山も、糸色先生のバックアップメンバーだったようです。4,5年前に「二代目絶望先生、三代目絶望先生」なんてタスキを渡し合うネタがありましたが、それがこの伏線となっていたようです(って、これについては後付けかな?/笑)。
また、これも加筆と思われますが、カエレも久藤くん同様、この離島出身のようです(カエデでねぇか/笑)。
そんなこんなで、「本編」のラスト。生徒である小学生による「先生は結婚せんと?」のあと、





絶望少女たちのウェディングドレス姿。



「やっぱり、卒業だけだと、成仏できないと思うんです。死後結婚もさせてあげないと






「先生、私と・・・結婚してください! 死後結婚してください!」



いったときの千里の表情が、妙にいきいきとしてかわいかったです。上の猟奇(ヤンデレ)顔が嘘であるかのような晴れやかな表情でした(笑)。
それをきっかけに、「私も私も」とばかりに、絶望少女たちが糸色先生に結婚を迫ります。
この辺はやっぱり「萌えマンガ、ハーレムマンガのパロディ」ですよね(笑)。このことについては久米田さん本人も紙ブログで明記してますが、それはともかく、やはり先生も、萌えマンガ主人公よろしく、少女たちから逃げ出します。
そして逃げ込んだ先の教会で――



あなたは誰の中のカフカさんですか?






振り向きざま微笑を浮かべる、ウェディングドレス姿のカフカ。



と、本編は、本誌同様、フルカラーで描かれたカフカのウェディングドレス姿で終わっています。
ただ、ここからは「一つの可能性としての第30X話」。単行本のための描き下ろしです。
まあ、パラレルといっていいのでしょう。前述のとおり、それぞれカフカのあらゆる器官を移植され、同時に彼女の記憶も一部有している絶望少女たち。それゆえに、カフカを愛した先生が、彼女を愛するために、絶望少女たち全員を愛することになります。
横断歩道ですれちがう先生とカフカ。カフカが帽子を落とすと、それを拾い上げた先生が、彼女に帽子を渡そうと呼び止める。直後、カフカは・・・。それに責任を感じた先生の、彼なりのけじめ、彼なりの純愛というわけです。
そしてラスト。そんな先生を取材していた女性記者が、暴風の中、無理を押して船を出し、島をあとにしようとするも、船は座礁し、彼女の身は波によって先生たちの住む離島へと引き戻され、大けがを負ったことから、絶望少女たちの血液を提供され――そう、カフカの血や記憶を含んだそれを輸血され・・・



♪わが血がほしいか、わけてやろう。
♪明日は嫁入り、うれしいな。


――これについては、巻末の紙ブログで、久米田さん自身が「ギャグのつもりで描いたのに、想像以上に不気味なものになってしまいました」なんていってますが、たしかに、いつもの「単行本おまけマンガ」のつもりで読むと面食らいます。オレもビビリました(笑)。
ただ、久米田さんはこういう感じに、やっぱギャグ以外のジャンルも描けるんだろうね。それを実感できたのはうれしかったかな。

さて、今回のレビュー、ってか、ウチのサイトでの絶望先生レビューも、そろそろ終わりのときが近づいてきました。
巻末の紙ブログです。
これは、まあ、久米田さんによる後書きみたいなもんなんですが、貴重な話もあってね。
久米田センセ自身の言葉によると、





このオチ(終わらせ方)は、連載開始前が構想してたようだね。



この人、見栄っ張りなことはいわない人だから、多分、ホントだろうね。
それを考えると、すっげぇよな~。
長期連載にもなると、他の作品とのネタかぶりを回避するため、あるいは、(これは本人はコメントしてないけど)そのときのノリなんかで、想定していた流れから逸脱したりするんだろうけど、それでも軌道修正して(というより軌道を戻して)、当初のオチに持っていくんだからねぇ。
もちろん、「開始前から考えていた」というだけでもすごいんだけど、なによりそういった手腕に、ただただ頭が下がる思いです。やはりオレは久米田信者ですね(笑)。

最後に・・・久米田さんの新作って、どんなのになるんでしょうね?
さすがに、改蔵、絶望路線はないと思うんですよ。まあ、もはや芸風なんで、改蔵、絶望的ギャグや台詞回しはあるでしょうが(笑)。
この人はどちらかといえば鬼才であって、前述のとおり、着眼点と発想力で勝負する人なんだけど、それはストーリーものにも転用できるものだし、やはり前述のとおり計画性と軌道修正の能力にも長けてるんで、どんなジャンルでもやってけると思うんですよね。
個人的には、





「ちょっとシリアス、所々久米田ギャグありの歴史もの」



が読んでみたいかな(笑)。歴史パロディまではいかない感じね。
源平でもいいし、南北朝でもいいし、戦国でもいいし、幕末・明治でもいい。
正直いうと、新撰組ものを読みたい気もするけど・・・マガジンには「ばくだん!」があるからなぁ・・・(まあ、またマガジンで描くかはわからんけど)
ってわけで、





久米田流「坂の上の雲」とかどうですかね?



これも別の人がやってましたが、まあ、その人は途中で投げ出しちゃったんでOKでしょ(笑)。
豪気すぎてどっかズレてる信さん、電波な淳さん、ひとり常識人でツッコミ役なノボさん、ヤンデレな多美さん、カフカばりの超ポジティブ(かつ、大抵、事の黒幕)な季子さん、病気の兄を支えるためにヤバい内職までやっちゃってるお律さん・・・ダメですかね? (笑)

そんなこんなで、絶望先生もついに終わりのときを迎えました。私が書く絶望先生レビューも、おそらくはこれが最後でしょう。
この絶望先生は、最初の5,6巻はリアルタイムで買ってたんですよ。ただ、そのあとマガジン自体を読まなくなって、しばらくはこの作品からも離れてました(それまで揃えてた単行本も売っちゃった/笑)。
「復活」したのはアニメ化したころですね。何となくアニメのほうを見てたら、やっぱりおもろくってね(単行本も、また一から集めることに/笑)。
で、まあ、改蔵のほうも後追いで手出して・・・元々、南国のころも好きでしたが、それ以来、10数年ぶりに久米田ファンに(笑)。
で、この絶望先生には、いろいろ救われましたね~。現実逃避にすぎないんだけど、絶望先生で笑っちまうことで、どれだけ救われたことか・・・この作品なかったら、いまごろ精神的に病んでたかも(いや、大げさな言い方ではあるけど/笑)。
そんなわけで、この絶望先生という作品は、オレにとって特別な作品といってもいいと思います。





久米田先生、楽しい作品をホントにありがとうございました。そして、お疲れ様でした。



まあ、ご本人や関係者がこんなトコ見てるわけないけど(笑)、どうしてもいっておきたくて。



P.S.

この三十集収録の話は、全部アニメで見たい! 神谷さんや野中さん、井上さんらの演技で楽しみたい!
ブルーレイ1枚で、特典とかいらんので、どうですかね? (笑)
絶対、売れますって(笑)。
コメント (2)
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考察! フィクションにおける斎藤一

2012-08-05 01:39:32 | 時代もの(歴史系)

元新撰組三番隊組長・斎藤一


――この斎藤一なんですが、るろ剣で初めてその存在を知って以来、なんかやたらと好きになっちゃいましてね~(笑)。
「新時代を築くための戦い(幕末の動乱)で活躍」「でも、その戦いでは敗れる」「でも、しぶとく生き残り、新時代でも戦場(西南戦争)に身を置く」――これ、いかにも小説やマンガや、あるいは映画なんかにおける、決して主人公ではないけど、それに匹敵するようなキャラ、おもにダーティヒーロー、ダークヒーローなんかでありそうな設定じゃないですか。それが実在した人の経歴なんですよ! まさに、「事実は小説より奇なり」ですよ。こんなに、マンガ好きの感性を刺激させられる経歴はありませんって! (笑)
そんなわけで、るろ剣以来、いろんな媒体の斎藤を読んできました。そんな中、最近、「燃えよ剣」読んでたころから、「今回のような企画やりたいな~」なんて思っててね。
で、今号のSQのるろ剣リメイク(キネマ版)で、幕末のころの剣心vs斎藤があったんでね(普段は買ってないSQを、斎藤のためだけに買ってしまいました/笑)。それに刺激されてやってみようかな、と。

あ、最初にいっておきますが、





「あくまで私、クラウド鈴木が読んだ、あるいは視聴した作品における斎藤一」



ですからね。「あの作品の斎藤は~」いわれても、それは「私が読んでない(視聴してない)ので書けない」ってことでお願いします(笑)。


燃えよ剣 (司馬遼太郎)

まあ、これは土方歳三が主役であり、斎藤はちょっとしか出てきません。
ただ、「維新後も生き残った新撰組幹部の土方評」ってことで、晩年の斎藤の土方評――「妙な人だった」なんて台詞も紹介されてます(ただ、その内容が事実であるのか司馬先生の創作であるのかは、わかりません)。
この作品での斎藤は、さすがに多摩のころからの同士というわけではありませんが、近藤が江戸で開いていた道場には出入りしてたようで、新撰組の前身の浪士組結成の際、

「加盟します。ただ、整理することがあり、明石に戻らねばならないので、結盟には遅れるかもしれません」

といった言葉を口にしてます。
まあ、ほぼ初期メンバーですよね(作品によっては、新撰組が京都にいってからの加盟だったりもするようですが)。
もっとも、斎藤の出生地は南多摩となっており、「明石は本籍」といったところでしょうか。
で、肝心の「この作品における斎藤像」ですが、




「京都にいたころはまるで面白味のない男だったが、(戊辰戦争以後か)次第に愛想のあるひょうきんな男になっていた」



みたいなことが書かれています。
実際、土方らと北海道に転戦したころには、どっか飄々としたトコも描かれていて、


土方「斎藤にいえ! 京都を思い出せ、と伝えろ!」
斎藤「京都のころでも、鴨川を泳いだことなどなかった! あの人(土方)にそういってくれ! 蝦夷地の冬に川泳ぎをするとは思わなかった!」


なんて減らず口にも似た言葉を、戦闘中に叫んでたりします(笑)。
るろ剣の斎藤も、クールでありながらどっかとぼけたトコもあったりしますが、おそらくはこの影響もあるのかと。
ほかに興味深いのは、この作品の斎藤は、前述のとおり北海道まで土方につき従って戦ってたり、あるいは、会津辺りからは銃も使ってるってことですかね。後者はともかく、前者は司馬先生の創作でしょうか?
余談ですが、この「燃えよ剣」は、主役なだけあって土方がめちゃめちゃカッコいいです。
まさに、





「ケンカのプロ」「永遠の不良少年、永遠のバラガキ」「それを最後まで貫いた男の美学」



といったものを読み取ることができます。銀魂やばくだんの土方は、この作品の彼がモデルでしょう。


一刀斉夢録 (浅田次郎)

斎藤という人は、どの作品においても、「クールで横柄な性格」として描かれているように思えます。
ただ、その共通項がありながらも、「人を突き放すような物言いを見せる高飛車系」と、「なにを考えているのかいまいちわかりにくい、ムッツリ系」の2パターンにわけられると思います。
この「一刀斉夢録」の斎藤は、後者といえるでしょう(「燃えよ剣」の斎藤も、前半はそんな感じかと)。ただし、晩年の、語り部である彼は、酒が入っていることもあり、かなり饒舌ではありますが。
ってかね、はっきりいって、「いじけたじいさん」(笑)。やたらひねくれてて、敵対した人間はもちろん、近藤、土方、沖田らのことまで、皮肉じみた言葉で評しています。
とくに、近藤、土方のことは、自分が(最下層ともいえる、貧乏御家人とはいえ)曲がりなりにも生まれついての武士であるゆえに、彼らのことを「百姓上がりの見栄坊」「俄か侍」などと評してます(笑)。
しかも、それらは新撰組時代から、胸の内に秘めていたようなので・・・





「いじけた若者、いじけたおっさん、そして、いじけたじいさん」


というべきか? (笑)
この作品で興味深いのは、「坂本竜馬を暗殺したのは斎藤」となっていることと、西南戦争での活躍も描かれていること、そして、「じつは『生き延びた』というよりは、『死に損なった』と描かれている」ところですかね。
まあ、竜馬の件は完全に、西南戦争での活躍もかなりの部分が浅田先生の創作なんでしょうが、その辺は小説家の特権。結果としておもしろく描写されてんで、それでいいのでしょう(笑)。
また、「左利き」と明言されてます。実在の斎藤も「左利き説」があって、るろ剣の斎藤も、牙突が「左片手一本刺突(づき)」なんて書かれてますが、明白に左利きとされているのは、私が知る限りではこの作品のみですかね。


新撰組! (大河ドラマ)

オダギリジョーです。別にこの人、好きでも嫌いでもないんですが、斎藤はハマリ役でしたね。
このドラマの斎藤はムッツリ系だと思うんですが、「ムッツリなイケメン剣士」「ひたすら寡黙な、仕事人的な斎藤」という役どころを好演してたと思う。
普段は「・・・斬りますか?」「殿はオレが守る」なんて、ボソッとした物言いなんだけど、そんな彼が「オレが生きている限り、新撰組は健在だ!」「新撰組三番隊組長、斎藤一!」なんて叫び声を上げたりしてたギャップなんかもよかったかと。
ちなみに、実写版るろ剣では江口洋介が斎藤を演じるようですが・・・江口さんは好きだし、カッコいいと思うけど、どうしてもカラッとしたワイルドさがイメージとしてくっついちゃってんですよねぇ・・・
ですんで、オダギリジョーの「再登板」もアリだったかと(笑)。


るろうに剣心 (和月伸宏)






私が初めて斎藤一という人物を知ったのは、このるろ剣でした。
それまで全く知らんかった(笑)。新撰組いわれたら、近藤、土方、沖田しか知らんかった(笑)。
もう、めっちゃハマリましたね。その突き放した物言いに、自信に溢れた言動に、そして確かな実力に(この斎藤は、言わずもがな、高飛車系でしょう)。
「vs左之助」における圧勝、「vs剣心」における激闘、





「vs宇水」における「何が可笑しい!!!」 (笑)


まあ、最後のは宇水さんの台詞ですが(笑)。
ともかく、これぞライバルキャラ、これぞ第三局、って感じで、速攻で好きになりました。
正直、るろ剣って作品自体は、それほど好きでもなかったんですよ(笑)。リメイク(キネマ)版は好きですが。
絵柄も、当時はなんか少女マンガっぽくって・・・やはり、リメイク(キネマ)版はそういう雰囲気が抜けてて好きですが(なんて、いまの絵柄なら普通にかわいいと思えるし)。
ただ、斎藤だけは別。彼だけは、絵柄も当時から異彩を放ってて、そんなわけでビジュアル的にも好きでしたね。
それと、





タバコの吸い方! これがまたカッコいい(笑)。


斎藤のタバコの吸い方は、マジでカッコよかったですね~。「じつは和月さん、ヘビースモーカーなんじゃない?」なんて思っちゃうくらい(いや、多分、吸ったことないでしょうが/笑)。
なんつーか、明治10年前後のお話なのに、ハードボイルドなんだよね、タバコ吸ってるときの佇まいが。
ちなみに、今号(SQ)のるろ剣では、江戸のとある問屋のみで扱っている舶来品のタバコを吸っており、これが何気に物語のキーにもなってたりします。
それと、今号の斎藤は(剣心も)「リメイク前とちがう」「剣心との戦闘中のやりとりは、なんかコミカルにも思えなくもない」という印象もたしかに受けましたが、これはこれでアリなのかな、と。
これは「続きもの」やリメイクの宿命でしょう。まあ、アマチュア、それも自己満足でやってるだけのオレなんかがわかったようなこといっちゃうのもおこがましいんだけど、拙著小説・「Lunarian Game」の主人公であるキタノとマリノだって、10年前の彼らとは微妙にキャラ変わってきちゃってるだろうし、あるいは、いまFFA書いたとしても(いや、書かんけど/笑)、マサキもレイナも当時の彼らを再現することなんてできねぇし。
それはともかくとして、斎藤のほうに話を戻すと、絵柄もキャラも微妙に変わっちゃったけど、それでも、自信に満ちた態度と、それゆえに人を突き放したような物言いは健在だったんで。
また、今号のリメイク版るろ剣では、前述のとおり、(リメイク前は描かれなかった)幕末の京都における剣心vs斎藤であり、マジで互角、伯仲で描かれてます。
このふたりのバトルは文句なくカッコよかったです。時代が明治に戻ったうえでのふたりの再戦も楽しみです(って、あるのかな? 「有耶無耶なまま共闘」になったり/笑)。


ばくだん! (加瀬あつし)






まあ、「カメレオン」の加瀬先生による新撰組作品ってこともあって、かなりお下劣なギャグも満載です(笑)。ってか、人斬り以蔵が、現在にタイムスリップしてまた幕末に戻ってきたら、





すっかり萌えオタになってた


なんて設定が素敵です(笑)。
斎藤も涙ながらに「だ~、オレの畳がー!」なんてことも(笑)。
ただ、基本、この作品の斎藤もカッコいいです。この作品ではムッツリ系でしょうか。
まさに「寡黙な仕事人」っていう感じで、でもマコト(主人公)のやり方を段々認めていく感じで・・・ある意味、「ツンデレな斎藤」というべきか? (笑)
ってか、近藤とのやりとり――

斎藤「へっ・・・冴えなねぇ遊女を囲ってる局長にしちゃ、こいつ(マコト)は拾いモンでしたね」
近藤「がっはっは! こいつ、はっきりいう」


ってのがよかったですね。
斎藤の、上を上と思わない物言いはもちろん、それを笑い飛ばす近藤さんの器のデカさもね。
また、この斎藤も、ザコ戦では瞬殺、vs以蔵でも圧勝といった感じに、作中最強クラスで描かれてるのが、ファンとしてはうれしいですね。
まあ、たしかにも実際に強かった人ですからね。実在の斎藤も、沖田と並ぶ新撰組の二枚看板、これに永倉も交えれば、「新撰組3トップの一角」ですからね。

ちなみに、この作者の加瀬さん、ヤンキー上がりでありながら画力も高く、そんなわけで、斎藤を始めとする(いや、ダジャレじゃないよ/笑)新撰組の面々、とくに土方、沖田、原田なんかは、絵柄からしてカッコいいです。
ってか、山南敬助が女性として設定されてて、めっちゃ美人さんです(笑)。
ってか、オリキャラのレンちゃんも青葉もめっちゃかわいいです。オレにとっては、下手なラブコメや萌えマンガの女の子よりかわいい(笑)。
ただ、男性キャラは、江戸時代なのにリーゼントが多いのが玉に瑕(笑)。まあ、斎藤はロン毛のセンター分けですが。
それと、さらに余談ですが、加瀬作品お馴染み、もはや“加瀬節”ともいえる、




「踊れオラァ!」は健在(笑)。



しかも、京都の商人が口にしてました(笑)、まあ、長州の息がかかった、彼らのために武器を売買している商人でしたが。


と、まあ、最後は話がそれてしまいましたが(笑)・・・
そんなわけで、斎藤一を取り上げてみました。
最初のほうでも書きましたが、やっばこの人の「経歴」ってのは、マンガ好きの感性を刺激されちゃいます。
Zガンダムのクワトロ大尉(シャア)の「経歴」にも通じるものがありますよね。斎藤といい、クワトロといい、私はこういう経歴、設定が大好物のようです。
拙著小説の主人公・キタノも、立ち位置という意味では斎藤(やクワトロ大尉)の「経歴」から影響を受けてます。
自己満足作家、素人の私ですらそうなんですから、やっぱプロの作家さんから見たら非常に興味深いものなんじゃないでしょうか。
最近では、私が読んだことのない新撰組作品でも、主要キャラとして斎藤を取り上げているようですから、やっばり魅力的なものなんだと思います。
るろ剣以来、すっかり新撰組の顔のひとりになりましたね(笑)。
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