4巻は輝日さんが表紙です。
ただ、
背表紙の輝日さんのほうがかわいいかなぁ。
今後も、奇数巻は迅三郎、偶数巻は輝日で行くんでしょうか。まあ、鬼剛丸の表紙とかは・・・それはそれで見てみたい気もしますが(笑)。
今回は、まず迅三郎の回想(夢)シーンで出てきた北条時宗。いや、迅三郎とは面識なさそうですが(いまんトコ)。
それはそうと、いいですよねぇ、この時宗。かなりしたたかです。
身内人(みうちびと。執権の家来)の大蔵頼季が、時宗にとっては同族である名越時章が謀反を企てていると讒言したところ、「あのやさしい時章おじさんが・・・」「私は・・・どうしたらいい?」なんて怯えて、頼季の時章討ちを承諾しておきながら、実際に時章が頼季に討たれると、「よくも、時章おじ様を! 大蔵ぁ、そなたはなんてことをしてくれた!」なんて号泣したうえで、頼季と彼に協力した身内人すべてを処刑してね。
これで、時章の子の公時は許され、名越家の名誉は回復したんですが・・・
名越が持つ、九州の広大な領地は返還されませんでした。
これにより、時宗は九州への影響力を強め、
蒙古に対する防衛体制強化に乗り出すようになったわけです。
そう、最初から狙っていたかのように・・・
このあとの時宗がね、相変わらず優男ながらも、それまでの弱気な表情が消え、柔らかい物腰、丁寧な言葉づかいながらも、たしかに威厳のある口調で御家人たちに号令をかける彼が、やはり救国の英雄になる人だな、と。
これくらいのリーダーじゃないと、ユーラシアを席巻したほどのモンゴルを退けることなんて、できませんよね。
さて、ここからはメインキャラ。
まず輝日さん。
迅三郎たちと合流した際、「迅――皆の者。生きていたか」なんて、ついつい迅三郎の名を口にしそうになったところを、すぐに言い直した辺りがね、「颯爽とした女リーダーを気取っていながらも、ついつい『女』の部分が顔を覗かせてしまう」って感じで――こういうヒロイン、大好きです(笑)。
で、今回、輝日絡みで、一巻のとあるシーンとの対比になるようなシーンが。
一巻でも、迅三郎の寝姿見た輝日が、彼の寝首を掻くことを一瞬、考えながらも、その唇に自身の唇を重ねたりしましたが、そんときは「男として意識しておきながらも、同時に不信感のようなものも」って感じだったと思うんですよ、迅三郎に対してね。
それが、数日経ったこの巻では、「男としても戦士としても自分を惹きつけている迅三郎に、信頼をも寄せるようになっている」って感じでね。輝日の心情の変化が読み取れますよね。
ただし――
輝日「武士たる者が、ぶざまに寝込む事・・・」
輝日「なら良い。まだ戦働きをしてもらわねばならんからな」
今回は、未遂に終わりました(笑)。
輝日「なら良い。まだ戦働きをしてもらわねばならんからな」
今回は、未遂に終わりました(笑)。
っつーか、不敵な笑みを浮かべながら、吐き捨てるかのような言い訳を口にする輝日さんがかわいい(笑)。直後のテレた表情も。
それと、この4巻で自ら呟いていた、迅三郎の性分。
ちょっととぼけた口調で、他人を突き放すような物言いを見せつつも、この人は情が深いのかもね。
前述の夢の中での回想シーン(親の代から親交のある時章のために頼季と戦い、時章方が冤罪だったとはいえ、執権に弓を引く形となった迅三郎は流刑に)といい、対馬にきてからの対蒙古戦といい、いつの間にか名越家、そして対馬のために戦うようになっている自分がいる。
そして、それは自身の性分によるものであり、それを考えると、「自分の戦い」でもある・・・自嘲気味に笑いながらも、改めて覚悟を決める彼が、カッコよかったです。
で、この4巻の最後、安徳天皇が登場します。
輝日の曽祖父であるともいわれている安徳帝・・・老人とも幼児ともとれるような容貌の御仁。
正真正銘の安徳天皇なのか、はたまた・・・?
うん、続きが気になります。