マッシュムラムラ(仮) ――クラ鈴が斬る!――

SINCE:2002.2.24
氷室京介、あぶない刑事、マンガ etc

考察! フィクションにおける斎藤一 PART2

2021-07-17 17:24:49 | 時代もの(歴史系)
はい、以前もやったこの企画。そのPART2です。
以前の記事はこちら(考察! フィクションにおける斎藤一)になります。
まあ、斎藤って人は、(フィクションの)キャラクター化にあたっては、共通的なフォーマットがあるというか、「どの作品でも共有されているかのようなキャラ設定」を施されますよね。
簡単にいってしまえば、





「皮肉屋」「クールな戦闘狂」で、「任務については淡々とこなす男」。



これらの根幹があったうえで、「高圧的な性格、物言い」となっているか、あるいは「胸の内はともかく、表面上は寡黙な性格」となっているか、だと思います。
少なくとも、私が触れてきたフィクションの斎藤一は、上のいずれかが該当すると思います。
そんな前提があったうえで、各作品の斎藤について、語らせていただきたいと思います。
あ、前回同様、





「あくまで私、クラウド鈴木が読んだ、あるいは視聴した作品における斎藤一」



ですからね。「あの作品の斎藤は~」いわれても、それは「私が読んでない(視聴してない)ので書けない」ってことでお願いします(笑)。


闘鬼 斎藤一 (吉川氷青)

この作品の斎藤は、「胸の内はともかく、表面上は寡黙な性格」となっていますよね。まあ、主人公なんで、彼が意思表示しなければ、話が進まないことから、胸の内、心の中では案外、多弁ですけどね。独白も少なくなかったと思うし。
また、江戸の出身で、「近藤の試衛館には、少年時代から出入りしていた」という設定になっています。斎藤の出自等には諸説あり、作品によっても異なるので。
さらに設定を紹介すると、





この作品では、斎藤より沖田のほうが年上となっています。



まあ、史実では斎藤が最年少幹部で、沖田のほうが年上ですからね。史実に沿った設定を採用していますね(それぞれの性格によるものか、沖田が童顔に設定されるためか、『斎藤のほうが年上』とする作品のほうが多い気がしますが)。
沖田は斎藤のことを「一(ハジメ)くん」呼んで、やたらと彼に絡んでいく。斎藤はそんな沖田を鬱陶しいと思いながらも、たしかに友情を感じている――そんなふたりの関係が微笑ましいですね。
まあ、ふたりが互いに有している互いへのシンパシーは、「こいつは自分と同じ側の人間――“バトル・ジャンキー”だな」といったものが、根底にある気がしますが。
この作品の斎藤は、あるいは沖田、近藤、土方もそうかもしれませんが、





あくまで「戦闘」を好んでいるわけであり、「戦争」にはロマンを感じていない、



といったキャラクターとして表現されています。
刀と刀、あるいは肉体と肉体による命の奪い合いに、そして、それらによる恐怖心にさえ、生きる意義を見出しており、技術をさほど必要としない、また、「大した手間もなく、一瞬にして多くの人間の命を奪う」といった銃や大砲による「戦争」には、どうしても興味が出ない、というか。
あ、「技術をさほど必要としない」「大した手間もなく」というのは、「この時代の剣士から見れば」ね。銃(ハンドガンだろうがライフルだろうが)も大砲も、相応の技術はあるはすですが。
ともかく、自身が伊東以下、御陵衛士を討った油小路の変辺りまでは、淡々と任務をこなしながらも、どこか殺し合いを楽しんでいる彼の心理も読み取れるのですが、「戦」「戦争」といえる鳥羽伏見の戦いのころにもなると、明らかに疑問と失望を抱いています。「世の移り変わり――自分や沖田たち、あるいは芹沢鴨などが抱いていた剣客、剣士としての矜持など、無意味になっていく戦法の変化」に対して。
それでも、鳥羽伏見以降の彼は、奇襲を用いる戦術眼も見せつつ、すなわち、指揮官らしい所も見せつつ、戦っていましたけどね。銃も使ってたし。
まあ、「あまり好きでもない戦い方もできちゃう人」なんだろうね。ある意味、器用貧乏というか。
この作品、会津での戦いで終幕となっています。まあ、「年老いた斎藤が、それでも若き達人以上の剣捌きを披露する」といったエピローグもありますが。
正直ね、その後の苦難を時尾さん(奥さん)とともに乗り切ったうえで、西南戦争の活躍まで書いてほしかった気はします(ちなみに、時尾さんも最初の奥さんも出てきません/笑)。
まあ、続編に期待したいですね。って、あるのか? (笑)


るろうに剣心シリーズ (実写映画)

演じているのは江口洋介です。
江口さんの斎藤はレギュラーで、大抵は「物語の導入部分担当」って感じでしたね。
江口版斎藤は、無口というほどではないけど、どちらかといえば寡黙なキャラですね。
まあね、この作品といえば、





一作目の牙突なんですが(笑)、



正直、



なぜ「対空迎撃用の参式」をチョイスしたのか(笑)。



そりゃ、人間が再現しようとしたら、ああなりますよね(笑)。っつーか、牙突は、アクション自体はシンプルな技なんで、通常の壱式でよかったんじゃ?
「相手を殺さずに生け捕りたい、もしくは足止めしたい」というのはわかりますが、だったら、天井のシャンデリアを落下させるより、通常の牙突を相手の肩口辺りにぶっ刺しとけば、それでことが済んだ気も(笑)。
まあ、それでもね、この作品、





斎藤の「格」を最後まで落とさなかったのは、お見事ですよね。



あくまで剣心、志々雄と並ぶ三強の一角として、最後まで君臨し続けたのは、ファンとしてはうれしいですね。
ただ、幕末編といえるBeginningでは、「vs抜刀斎(剣心)」を少しでもいいから見せてほしかった。
その剣心との関係は、完全に「戦友、盟友」になっていきましたね。シリーズを重ねるごとに。
これは「よくも悪くも」というか・・・一作目はまだツンデレな部分もあったんですけどね。
このシリーズ、Beginningで完結しましたが、斎藤主役のスピンオフも見てみたいな。

あ、るろ剣実写映画のことは、この辺で(カテゴリー・『映画』)。


八重の桜 (大河ドラマ)

降谷建史です。
まあ、この作品はかなり前のものですので、また、斎藤はあまり出てきませんので、かすかな記憶をアテにして書いてます。いろいろとご容赦を(笑)。
この斎藤も寡黙ですが、随所で荒々しい口調というか、武士らしく厳しい口調を見せたりしてましたよね。個人的には、京の街で「隙だらけだ!」などと怒鳴りつけていたシーンが印象深いですね。
まあ、主人公の八重(綾瀬はるか)の友達である時尾さん(貫地谷しほり)の旦那でしかないですからね、斎藤は。物語の中心には立ちませんよね。
ほかに印象に残っているは、八重の旦那・新島襄役のオダギリジョーと、降谷版斎藤による、






新旧斎藤対談



なんかですかね。
この直後、あの強面、無愛想、高圧的な斎藤が、笑顔で「時尾」などと語りかけ、時尾さんが八重さんに「ウチの人が笑った」などと、これまた笑顔で語りかけていたシーンも印象に残ってます。


るろうに剣心特装版、北海道編 (和月伸宏)

私が初めて斎藤一という人物を知ったのは、このるろ剣(無印)でした。
まあ、その辺のことは、前回の記事をご参照ください。
で、特装版を経て、正当な続編である北海道編が始まったわけですが・・・この北海道編だと、斎藤と剣心の関係が微妙に変わっているんだよね。
無印のころは、薫殿にも嫌われてたり、警戒されてた(『大っ嫌い』『あなただって、半分は剣心の敵なんですからね』みたいなことをいわれてたような/笑)ことでもわかるとおり、最初はガチで剣心を殺すつもりだったし、その後も仲間意識はほとんどなかった(結果として共闘して、結果として双方、生き延びているだけだ、といわんばかりの)と思うんですが、この北海道編では「完全に仲間」なんだよね。相変わらず、突き放したような物言いもあるけど(笑)。
その辺のことは、北海道編の4巻のレビュー(飛天御剣流、健在! るろ剣北海道編・巻之四)を。
まあ、特装版はパラレル要素も強いので、理解できるんですが・・・正当な続編では・・・
とはいえね、時が流れれば、作者の中のキャラ設定やキャラ同士の関係性に微妙な変化が出るのは当たり前ですんでね。また、作中も5年経ってますし、現実の人間関係でも、そういうことはあり得るんでね。北海道編のふたりの関係性は、「これはこれでアリ」とも思ってますけどね。
最新6巻では、



永倉新八とのコンビで、難敵に対してましたね。

まあ、「6巻の真の主人公は観柳」といえるでしょうが(笑)。
ってか、斎藤の刀が白也戦で折られたまま、というのは、何らかの意味があるんですかね?
無銘の剣ながら、斎藤が大切に扱っていたのはわかるんですが・・・彼の立場なら、新たな刀の調達なんて、すぐにできると思うんですが。
「永倉とコンビで戦わせたいが、二対一(相手はひとりの模様)にしてしまうと、斎藤の格が落ちる」「それを避けるためには、何らかの理由が必要だから」ってことで、「折れた刀」を理由にしたとか?
あるいは、「斎藤の刀探し」も、ストーリーに絡んでくるんですかね?
まあ、いずれにせよ、「楽しみな謎」ではあります。
それと、「二対一」にしたことについては、「斎藤の衰え」を表現したいのかもね。剣心も「衰え」が描写されてんでね。彼や斎藤のような年長組は、ね。
って、衰えたとしても、斎藤はカッコいいですが(笑)。

この6巻の最後では、斎藤と永倉の口から、新選組の概要が語られています。
ただし、

永倉「たしかに、新選組は幕末最強だった
斎藤「新選組は強くなるその過程で、なにかを誤ってしまった

――ふたりの言葉でもわかるように、あくまで敗軍であることを強調したかのような内容ではありました。まあ、彼らに対して狂信的な三島栄次を相手にしたものなので、それくらいで丁度いいとは思いますけどね。


賊軍土方歳三 (赤名修)


この作品の斎藤については、こちらなんかを(↓)。

賊軍土方歳三

歴史系マンガが好きだ! PART2

まあ、この斎藤も「クールな戦闘狂」で、「任務については淡々とこなす男」ではありますよね。ただ、「皮肉屋」成分は少ないかも。
土方や沖田といった目上の人間(この作品では、沖田のほうが斎藤より年上)を相手にやりとりすることが多いためですかね。るろ剣の斎藤も、永倉に対しては、皮肉はいわないし。
まあ、この作品の主人公は(タイトルどおり)土方なんでね。その相棒というか、腹心的な立場は沖田。
沖田の生存はともかく、ほかは史実に沿っていくと思いますので、斎藤の出番も少なくなっていくでしょうし。会津後はとくに出番もなく、最終回近くで「そうか、土方さんが・・・」的なことを呟いて、それで終わりかもしれません。
まあ、それでも作品自体がおもしろいんですが。
そういえば、最新4巻の巻末で、「ダンダラ」という読み切りが載ってましてね。
一話目は近藤がメインといってもよい話、二話目は斎藤メインの話でしたね。ただ、二話目は冒頭部分のみの掲載でしたが。
近藤回、おもしろかったなぁ。芹沢も悪役ながらも、いい味出してました。

そんなわけで、またも斎藤一を取り上げてみました。
ほかにもいろんな斎藤がいるんでしょうね。機会があれば、触れてみたいと思ってます。まあ、この企画のPART3ができるかは、わかりませんが(笑)。



ちなみに、現在放送されている「ハコヅメ」というドラマで、牧高美和という新任刑事が、新選組隊士のフィギュアや斎藤の写真(晩年の、それでも男前な写真のほうね)をデスクに飾ってましたね(笑)。
斎藤のファンなのか、新選組のファンなのかはわかりませんが・・・まあ、斎藤は警官として大先輩に当たりますからね(笑)。
牧高さん演じる西野七瀬は、以前からかわいいとは思ってましたが・・・私の中で、彼女の株が上がりました(←いや、牧高が新選組ファンなんであって、西野七瀬がファンであるわけではない)。
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三国志展

2019-08-12 09:40:31 | 時代もの(歴史系)
上野の国立博物館でやってる三国志展にいってきました。
画像なんかは、

こちらで。

まあ、思ってたより展示が多かったし、また、会場も広かったですね。オレらは半日で回ったけど、あるいは丸一日を想定しといてもいいかもしれない。
音声ガイダンスは、





吉川晃司



と、ゲーム「三国無双」の曹操を始めとする何人かの武将(それぞれの声優さん)。オレらは吉川を選びました。
まあ、三国均等に取り上げていたと思いますよ。吉川英治の小説からの引用が多かったせいかな? (吉川晃司が『吉川英治・三国志より』なんてガイダンスも/笑)

そういえば、会場にて、友人に「信長は曹操の影響を受けてたんじゃないかな。正史を聞かされて」「まあ、曹操は家康っぽいトコもあるけど」なんていったら、苦笑いされました(信長のファンなのかな?/笑)。
ともかく、この三国志展を見てたら、横山三国志や蒼天が読みたくなった。ってか、ゲームの三国志がやりたくなった(笑)。
あ、お土産コーナーでは、





横山三国志の曹操や仲達が、「げぇぇっ!」いってるイラストがプリントされてるティーシャツも売ってました(笑)。



いや、買わなかったけどね。
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日本のいちばん長い日

2015-08-16 22:20:07 | 時代もの(歴史系)

映画、観てきました。
ほとんど冒頭といっていいトコでね、総理大臣を拝命した鈴木貫太郎(山崎努)が、





「本土決戦になれば、桜が咲くことは、もうあるまい」



なんてね、満開の桜並木の下、車内で呟いてたのが、早くも印象強かったです。
これ、ホントそうだよなぁ。もし本土決戦なんてやってたら、日本全土が焦土と化し、日本人なんて、地球上から消滅してますよ。残ったとしても、ほんのわずかで、アメリカの一州の一部にいる少数民族として、インディアンのように文化も廃れていってたでしょうね。
ってか、もうひとつは原爆落とされたでしょうから、後にアメリカの核実験場になってたかも・・・
で、鈴木としては当然、そんな事態は避けようと画策します。というより、当時の閣僚はみな、同じ気持ちだったようです。
それは、陸軍大臣の阿南惟幾(役所広司)も海軍大臣の米内光政(中村育二)も同じでした。
これは正直、意外でしたねぇ。
ってのも、以前、松方弘樹が鈴木貫太郎を演じた再現ドラマ見たときなんかは、とくに阿南はポツダム宣言の受諾に強硬に反対して、本土決戦を声高に叫んでた印象があったんで(あるいは、私の理解力不足かもしれませんが)。
阿南としても、「受諾やむなし」「条件としても、外相らが主張する国体護持のみでやむなし」が本心だったようです。が、陸軍内部、とくに若手将校らが強硬に本土決戦を主張してて、クーデターも辞さない勢いだったんでね、それを抑えるために、ポーズで、「国体護持のみを条件にするのではなく、武装解除、戦犯の処罰は日本側にて、占領は最小限の兵力で」という条件を出していたようです。「それを連合国が飲まないなら、本土決戦」ってことで、若手将校らを抑えてね。
ってか、ほかの陸軍上層部(参謀総長、近衛師団長ら)も、阿南と同意見だったようです。陸軍って、とかく悪いイメージで見られがちですが、状況が見えている人たちもちゃんといたらしいですね。それも上層部に。
そもそも、対米戦始めたのは海軍であって、「陸軍としては寝耳に水」「余計な敵作ってんじゃねぇよ!」なんて思ってた、なんて話も聞いたことあるような気がします(無論、真偽はわかりません)。
ちなみに、その若手将校のひとりで、クーデター未遂の首謀者といっていい少佐畑中健二役が、松坂桃李です。自らの信念に狂信的な若き軍人を見事に演じてましたよ。
畑中の「ソ連は対独戦で本土にて決戦し、その後の勝利がありました。ドイツとて、ヒトラー生存時には本土決戦をやってます!」(概略)って台詞にはね、「ソ連は何人味方を殺してんだよ。ドイツはそのせいで蹂躙されたじゃねぇか」なんて思っちゃうほどに、松坂桃李も好演してました。
それと、本木雅弘の昭和天皇もよかったです。昭和天皇の人柄のよさ、それでいて威厳のある佇まいも、よく表現されていたと思います。
この昭和天皇と鈴木、阿南が昔馴染みでね。鈴木が侍従長、阿南が侍従武官だったのかな? この三人のつながりもよかったです。

で、数回の御前会議のうえで、ようやく昭和天皇が聖断を下し、「(国体護持のみを条件とする)ポツダム宣言受諾」を決し、玉音放送の収録を行います。
その決定のあと、阿南は鈴木のもとを訪れ、「反対意見ばかり述べて、申し訳ございません」(概略)と謝意を示します。対する鈴木は「みな、国を思ってのことです」(概略)と答え、阿南を慰め、その好意を受けたうえで、阿南は退室していきます。
このとき、鈴木が「阿南君は、暇乞いにきたんだね」と呟いてね。阿南のその後の行動を察していたんだろうね。
そして、阿南は自宅に戻り、部下と最期の杯を交わします。
その間、畑中ら若手将校は、阿南から聞かされた聖断に納得せず、クーデターを企て、実行のために皇居へ乗り込みます。ただし、それは結果として未遂に終わります。
このときの、阿南の最期はね・・・ちょっと、胸に来るものがありました。
杯を交わしていたところ、若い将校(クーデター組とは行動をともにしてなかった者)が入ってきて、阿南が「介添人がふたりになったか」といったところ、「自分も、あとからお供します!」なんて口にしてね。それを阿南が平手打ちかまして、将校を制してね。
で、クーデターが未遂に終わったころ、阿南は割腹して果てます。
前述のとおり、阿南という人は、状況が正しく見えてて、良識をもって決断、行動してた人なんですよ。少なくとも、この作品における阿南大臣はね。
そんなクレバーで良識のある人が、腹切って自害しなければならないなんて・・・
考えさせられるものがありましたね。
陳腐で当たり前なことしかいえねぇけどさ、





やっぱ、戦争なんてしないほうがいいんだよなぁ。



「良識のある人間が~」なんてのは、当たり前に降ってくる理不尽ですからね。
人生なんてのは、理不尽だらけです。それが当たり前です。「生きる」っていうのは、常にそれとの戦いです。それは平和な時代においてでさえ、いえることです。
でも、戦争なんてのは、前述の阿南大臣の最期に限らず、平和な世の中に生まれ育ち、そして生きているオレらには想像すらつかないほどの理不尽に塗れてます。オレらが襲われたら、すぐに発狂してしまうほどかもしれません。
いやね、最近の世相を見てるとね・・・まあ、「ネットの中だけ」と信じてはいますが、戦前の世相同様、多くの人が「勇ましいこと」を口にしすぎてるような気がしてね。
もちろん、国防というのは必要不可欠です。それを真剣に論ずるのは、悪いことではありません。ただ、「自分たちは絶対に安全だ」という、根拠のない前提をもって論じてるような気がしてね。そして、その自覚もない。
戦前の人たちは、それでも戦って死ぬ覚悟を持ってた人もたくさんいたけど、いまの平和が続いてる時代を生きてるおまえらに、そんだけの覚悟あんのかよ? どうせ、いざとなったら、ぴぃぴぃ喚くだけで、何もできねぇくせに。
「自分たちは絶対に安全」という前提を持てるのは、映画やドラマや小説、マンガやアニメやゲームの世界だけですよ。視聴者なり読者なりでいられるからですよ。それらの中だけにしときなさいって。君たちの大好きな(あるいは、よく知る)シャア大佐だって、「戦いというのは、ドラマのように格好いいものではない」いってるだろ。
まあ、シャアの件(くだり)はともかく(笑)。
いっとくけど、米軍や自衛隊だけが殺されるわけじゃねぇぞ。徴兵制の有無など関係なく、民間人だって犠牲になるんだぞ。蹂躙されんだぞ。「世界の目」があるゆえに、あるいは日本にとっては同盟国ゆえにお行儀よくしてる米軍だって、一部には悪さしてる連中もいるんだよ。敵対する国の軍隊なんて、非戦闘員にもなにするかわかんねぇぞ。
仮に民間人は殺されないんだとしても、前述のような「平和な時代では想像すらつかないほどの理不尽」に襲われるんだぞ。
当然、覚悟のうえで、「勇ましいこと」いってるんだよな?

まあ、君たちよりはいくらか年取った人間による、ちょっとしたお節介でしたかね。でも、ちょっと考えていただけると幸いです。同胞の若い人たちが蹂躙される、あるいは想像もつかないような理不尽に襲われるなんて事態は、見たくもありません。もちろん、自分がそうなりたくないというのもありますが。

肝心の作品のほうは、見応えのある作品でしたね。って、だからこそ、感想書いてるんでしょうが(笑)。
ともかく、歴史、とくに近現代史も好きな人には、おすすめです。
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考察! フィクションにおける魏武曹操

2015-01-12 16:06:18 | 時代もの(歴史系)


魏太祖武皇帝・曹操(字・孟徳)


――まあ、三国志ではこの曹操が一番好きでしてね。
先日、久しぶりに三国志関連の書籍(三国志と古代中国の歴史)を買って読んでみてね、ちょっと彼のことを取り上げてみようかと。
あ、最初にいっておきますが、





「あくまで私が読んだ作品における曹操」



ですからね。「あの作品の曹操は~」いわれても、それは「私が読んでないので書けない」ってことでお願いします(笑)。それと、今回挙げる作品は、いずれも10年以上は読んでない、あるいは、最後に読んだのは20年、10年近く前、ってものだったりしますんで、その辺もご理解ください。


三国志 (吉川英治)

日本の三国志作品のスタンダードというか、三国志作品のベースになっているものかと思われます。
この作品の曹操は、作者も後書きで述べてますが、





孔明が出てくるまでは、すなわち物語前半は事実上の主人公です。



劉備三兄弟より主役してます(笑)。まあ、三国志演義だって、史実がベースになっているわけなんで、天下の三分の二を制した曹操を中心に展開されていくのは当然ですけどね。史実においても、後漢末から三国時代の初期までの中心人物は曹操なわけですし。
で、この作品の曹操なんですが、




長短所がいずれもはっきりと、わかりやすいくらいに描写されています。



ゆえに、戦においては大勝か大敗の両極端です。




ホントに、勝つときは鮮やかに勝ちますが、負けるときは命からがら逃げ帰ります(笑)。
私としては、なんだかんだで、この作品の曹操が一番好きですね。こういう「三振かホームランか」って感じのトコが(笑)。
史実の曹操もある程度はそうだったように思えますが、この人は感情と理性といった相反するもの双方が、いずれも過剰なまでに強かったんでしょう。
まあ、詩人でもあり、軍人、政治家でもあるわけですからね。詩などの芸術方面では感情の強さ、感受性の豊かさが、戦や政においては強い理性が必要ですからね。
で、自身もその性分わかってて、感情の強さが戦や政の際に顔を覗かせそうになると、努めて理性で抑えようとする、でも、ときに抑えきれず・・・いかにも英雄らしいじゃないですか。周囲にはいてほしくないタイプだけど(笑)。
それと、この吉川三国志の曹操、何気にイケメンとして描かれているんですよね。

白面郎曹操。少年時代には、色が白く、髪は漆黒で単身明眸、中肉の美少年であり(略)

なんて描写があったうえに、死の直後、晩年の曹操の風貌に触れた際も、「玄徳(劉備)のように肥満することもなく」なんて書かれてたもんね(劉備ファンの方、まあまあ/笑)。
まあ、実際の曹操はチビで風采の上がらない男だった、ともいわれてますが(笑)。
あるいは、吉川英治さんが、「劉備、孔明のライバルで、事実上の主人公」ってことで、創作としてのキャラ設定を曹操に加えたのかもしれませんね。
って、これ、戦前の作品なんだよね。やっぱ「主役を食っちゃうようなライバルキャラは美形」って風潮は、昔からあったのかもしれません(近年のマンガやアニメだけの話じゃないのかも/笑)。


秘本三国志、曹操――魏の曹一族――、諸葛孔明 (陳舜臣)

「秘本~」と「曹操」は、名実ともに曹操が主人公です。
この陳舜臣さんって人は、曹操と孔明が好きなようで、とくに曹操はお気に入りのようですね。
ただね、曹操像について、いわゆる岡惚れっぽいトコが、結構見受けられた記憶があります。ちょっと身びいきがあるかな。
ってか、陳さんの曹操は、結構人情家というか、ぶっちゃけていえば、





普通のおっさん



っぽいトコも(笑)。手の内を知ってる陳宮呂布側についた際、おもわず「やりにくい!」とか叫んだり、あるいは、烏丸の王に対して見せた思いやりとかね。
ですんで、「中国史の英雄」というよりは、「執筆当時の日本の政治家」っぽい、といえるかもしれません、陳さんの曹操は(笑)。日本の政治家は、「普通のおっさんっぽいトコ」も演出してみせたりするでしょ。
っていうかね、陳さん作品は曹操の息子の曹丕(「曹丕」も一発変換できるんだね/笑)のほうが魅力的に描かれてるかも。
甄皇后とも(ラブラブってわけじゃないけど)普通に夫婦してたし、弟の曹植(「曹植」も一発変換できるんだね)とも、「兄弟同士は不仲ではない」なんて書かれてたり。
「諸葛孔明」という作品はタイトルどおり孔明が主役なんですが、曹操、曹丕も印象強く描かれていて、曹丕の言動として、赤壁の戦いの直前、「ただでさえ、曹軍の主力は陸兵であり、水上戦は不慣れなうえ、兵たちの中で流行病が蔓延」ってことで、「どうせ退却するんでしょうから」と、道を整備しながら進軍してきた、なんて描写もあったり。
まあ、曹丕も後の文帝、ってか、魏の初代皇帝ですからね(曹操の「武帝」は諡。生前、彼は帝位には就いていない)。ときに好漢として、ときに英雄らしく、クールな人物として描かれるのもおかしくはありませんが。


三国志 (横山光輝)

横山光輝のマンガ版です。まあ、吉川三国志が事実上の原作といえるでしょうが。
ですんで、曹操像も、基本的には吉川三国志のものを踏襲しているように思えます。
ただ、こちらでは、前半はクールなライバルキャラとして描かれているものの、後半の情けなさはより強調されてるというか・・・





「げぇっ! 関羽!」とか「ひいぃぃぃぃ!」なんて口にする曹操は、横山版だけです(吉川三国志では、そんなこと言ってません/笑)。



それでも、曹操の長所は長所として、とくに前半の鮮やかな勝ちっぷりなんかはしっかり描かれていたと記憶してます。
ただ、





官渡の戦いをカットしたのが・・・(笑)



なんか、丁度、官渡直前で掲載誌が変わって、「新規読者に対し、劉備が主役であることをわかりやすくするためでもある」なんて話を、昔、ネットで読んだ気はします。
それは理解できるけど、曹操ファンとしては残念(笑)。


蒼天航路 (イ・ハギン、王欣太)

これは初めて読んだとき、うれしかったなぁ。





オレにとっては、初の曹操主役作品でしたので。



「秘本~」なんかは、この作品読んだあとに知ったような気がする。
それまで、曹操いったら、三国志知ってる奴とその話をすると、「悪役だから嫌い」とかいわれちゃって、曹操ファンとしては肩身が狭い思いを(笑)。
ちなみに、オレの周りで三国志知ってる奴らには、趙雲や馬超が人気あったような気がしてます。やっぱ、「華やかな武人」というイメージがあるからでしょう。って、曹操も個人的武勇もある人なんですが(笑)。
ともかく、蒼天の曹操に話を戻すと、この作品の彼は、






完璧超人です(笑)。



(王欣太の圧倒的な画力のうえでの)超美形であり、女遊びにも長け、政治、戦争、芸術(詩や踊りなども)、どれをとっても超天才であり、また、個人的武勇も有している、まさに超世の英傑です。そりゃ、カリスマにもなりますよ(笑)。
ただ、





完璧すぎるんだよね、蒼天の曹操は。



もう、「軍師も将軍も護衛もいらないんじゃないか」ってくらい(笑)。
負けるにしても失敗するにしても、「曹操にはこんな思惑があり、それがゆえに」って描写になりすぎちゃってるトコが残念かも。対徐栄戦にしても徐州での大虐殺にしても。まあ、徐栄戦の負けっぷりはカッコよかったですが(徐栄「あれが、曹操か・・・」)。
もちろん、蒼天の曹操も好きですし、赤壁以降はかなり情けなくなってはいましたけど(それでも「老い」が理由になってたけど/笑)、ちょっとカッコよすぎるかもね。
ってか、





蒼天は劉備が一番好きだったかも(笑)。



劉備か夏侯惇ジュンイクか曹丕か、といったところですかね。
とくに劉備は「蒼天で最も再評価されたのは彼かも」ってほど、魅力的に描かれてます。
本来、劉備って人は「高祖劉邦の風あり」なんていわれてて、簡単にいっちゃえば「任侠の徒」「人情家なヤクザの親分」なんですよ。
素行も口も悪くて、でも個人的な能力はどれもさほどでもなく(ってか、器用貧乏な人といえるかも)、言葉と実力がまるで伴ってないんだけど、粋でいなせなトコがあるせいか、妙に憎めなくて・・・って、そんな人だったようです。誤解をおそれずにいえば、「高祖の劣化版」とでもいえるんでしょうか。
曹操が完璧すぎるせいか、そんな劉備が妙に魅力的に映りましたね、私にとっては。
ってか、この人、基本、負けっぱなしな人なんですが、その負けっぷりもいいんだよね。負けてもハッタリかましたり(笑)。まさに「高祖の風あり」。
さらに余談になりますが、この蒼天、曹操が標準語、劉備が江戸弁、孫一族が関西弁なんだよね(笑)。まあ、一大勢力を束ねる立場にある孫堅、孫策、孫権は標準語ですが、孫夫人(孫策、孫権の妹。一時期は劉備の妻)や一族の孫喩なんかはバキバキの関西弁でした。
って、やはり中国の古典を原作としている西遊記(夏目雅子版)も、三蔵法師=標準語、孫悟空(マチャアキ)=江戸弁、猪八戒(西田敏行)=東北弁、沙悟浄(岸部シロー)=関西弁だったりするわけでね(笑)。そういう演出もおもしろいと思います。
ともかく、この作品の劉備は、ホント好きですね。いまでもあのべらんめぇ口調の台詞が印象に残ってます(笑)。
ってか、この蒼天は、曹操と劉備に限らず、みんな魅力的ですからね。董卓にしても呂布にしても袁紹にしても張角にしても。あるいは、劉璋劉禅といった人たちまで。
それと、曹丕のクールっぷりもカッコよかったですね。曹操不在時に許都でクーデターが起きて、献帝が奪われそうになった際、劉曄とともに待ち伏せしててね。
それでも漢朝への敬意を忘れることのできない親父さんとちがって、世代的にそんなものはないから、玉座にどっかり座っててね。反乱分子たちが揃って自分を批判しても涼しい顔して、やがて華麗に反乱分子を斬って捨てるトコなんて、震えました。
それと、奥さんの甄氏(甄皇后)も美人だったし(笑)。
そんなこんなで、蒼天における英雄たちに触れてきたわけですが・・・蒼天といえば、この人たちを忘れてはいけません。





変態孔明と、ファンキーな風貌の魯粛(笑)。



とくに、魯粛は横山三国志のビジュアルがイメージとして強かったから、初めて蒼天の彼を見たとき、噴き出しちゃったよ(笑)。赤壁の主役である周喩が正統派イケメンだったせいもあって、その対面にこのファンキーな魯粛が座していると、余計に(笑)。
この魯粛は、もうちょっと活躍してほしかったかなぁ。周喩死後、彼の活躍は描かれずに、いきなり呂蒙が呉の司令官になってたからね(この呂蒙も魅力的だった。正統派イケメンで威風もある陸遜に注意されていじけてたトコなんかも/笑)。


なんか、最後は曹操からは離れちゃった気もしますが(笑)、曹操について書いてみました。
「龍狼伝」「覇 ―― LORD ――」については、読んだことはあるものの、追いかけたことはないんですが・・・前者は魏で一番強いのが曹操か仲達かもしれないのがすごいですよね(キョチョでも張遼でも徐晃でもなく/笑)。
「覇」はね・・・曹操云々以前に、全体の設定、発想がぶっ飛びすぎさすが武論尊!/笑)。

※ 三国志ファンなら察していただけてると思いますが、ジュンイク、キョチョについては、どうせ字化けするであろう字なので、カタカナ表記してます。
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土方歳三生誕の地にいってみた

2013-05-05 22:51:22 | 時代もの(歴史系)
ってわけで、行ってまいりました、日野市。
去年の夏にね、斎藤一(藤田五郎)住居跡(根津)や、鳥羽伏見で敗れた新撰組が船で江戸に帰ってきた際、下船した隊士たちが宿泊した釜屋跡(土方の肖像もありました)、維新後に永倉が建立した板橋の新撰組慰霊碑なんかにいったんで、今回は土方所縁の日野にね。

で、




まず高幡不動尊。


ここも、土方所縁の地といっていいでしょう。
表参道の蕎麦屋で腹ごしらえ。その店で売ってました。







土方歳三の涙サイダー(笑)。


味は・・・普通のサイダー。つまりは、普通にうまい。
そのあと、お土産屋さんでタバコ吸えるトコを聞いたんですが、その際に答えてくれた、新撰組の羽織をひっかけてたお姉さんが何気にかわいかったです(笑)。
それはともかく。
不動尊の境内に入ると、




土方副長の勇姿が。



ってか、この不動尊、土方像だけでなく、全体的に雰囲気あってよかったです。

そのあと、いよいよ、土方生誕の地へ。




多摩モノレールに乗り、万願寺へ。



モノレールだからといって、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」の千葉モノレールではありません(笑)。まあ、千葉モノレールも、そのうち乗ってみたいけどね。
ともかく、そんなこんなで万願寺駅到着。






そこから徒歩で、土方歳三資料館へ。








ここの受付の姉ちゃんもかわいかったなぁ(笑)。
中では、土方の愛刀・兼定や、土方・佐藤家の地元での名士ぶりなんかを紹介してました。残念ながら、撮影は禁止。
ただ、これはOKなので撮っておきました。







土方が植えた矢竹です。なんか、颯爽としているようで、天に突き刺さるかのような立派な竹だった気がします。ってか、オレの背丈(177cm)より高かった。

その後、土方歳三の墓のある石田寺まで徒歩にて。




石田寺のカヤ。立派です。



ちなみに、この寺で引いたおみくじ、大吉でした(何気にうれしい/笑)。

そこから、また徒歩で高幡不動の駅まで戻ります。
途中、




浅川の姿が。




司馬遼太郎の「燃えよ剣」で、土方が沖田らを従えてケンカしてた川原って、たしかここだったと思います。
で、高幡不動駅からタクシーで新撰組ふるさと歴史館へ。
タクシーの運ちゃんが「どこにあるんだっけ?」いってきたときはちょっと不安になったけど(笑)、なんだかんだで現地に到着。











ここで、私はとある初体験を――




生まれて初めてコスプレをしました! (笑)





齢40にして・・・正直、めっちゃ恥ずかしかった(笑)。ただ、せっかくだし、まあ、「旅の恥はかき捨て」ってことで。
こんとき、羽織を選んでたお姉ちゃんをスタッフさんと勘違いして「写メお願いしていいですか?」いってしまったのは内緒だ(この姉ちゃんもかわいかった)。
・・・・・・この画像、しばらくしたら消そうかな・・・(笑)

そんなこんなで、土方歳三生誕の地巡礼でした。
最後に、新撰組ふるさと歴史館の土方歳三を――






やっぱ男前だよなぁ、土方さん。
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