時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

罪と罰

2019-02-02 | 舞台/役者
~ Story ~
舞台は
帝政ロシアの首都
夏のサンクトペテルブルク
頭脳明晰な貧乏青年
ラスコリニコフこと
ロージャ(三浦春馬)は
自分が‘特別な人間’として
人類が救われ その行為が必要ならば 法を犯す権利がある
という独自の理論を持っていた
そして
強欲で狡猾な質屋の老婆
アリョーナ・イワーノヴナ(立石涼子)を殺害し
奪った金で
世の中のために善行をしようと企てている
そんな中
酒場で出会った
酔っぱらいの退職官吏
その後妻カテリーナ(麻実れい)ら
貧乏な家族を見ると
質入れで得たお金を
すべて渡してしまうのであった

ついに
殺害を決行するが
偶然居合わせた老婆の妹
リザヴェータ・イワーノヴナ(南沢奈央)まで
手にかけてしまい
罪の意識
幻覚
自白の衝動に苦しむことになる
そうして
意識を失い数日間も寝込んだ彼を
親友ラズミーヒン(松田慎也)が見守り
結婚のため
上京してきた妹ドゥーニャ(南沢奈央)と
母プリヘーリヤ(立石涼子)も心配をする

一方
老婆殺人事件を追う
国家捜査官ポルフィーリ(勝村政信)は
ラスコリニコフを疑い
心理的に追い詰めていき
更に
謎の男スヴィドリガイロフ(山路和弘)の登場に
翻弄されていく
そして
退職官吏の娘
娼婦ソーニャ(大島優子)の
家族のためへの
自己犠牲の生き方に心をうたれた彼は…

数々の
普遍的なテーマに触れながら
人間回復への
強烈な願望を訴えたヒューマニズム大作

三浦春馬 舞台「罪と罰」公開フォトコール ダイジェスト】


英国人演出家
フィリップ・ブリーン
「地獄のオルフェウス」に続き
「罪と罰」
観劇して参りました

ドストエフスキーも
『罪と罰』も
知っている
知ってはいるが
読んだことはない
読んだことはないが
雰囲気だけは
何となく
想像つく

ソーニャの母
カテリーナ・イワーノヴナ・マルメラードワ
元は
良家の出身だった彼女は
極貧生活の中
夫である
セミョーン・ザハールイチ・マルメラードフの死を境に
精神を病み狂気じみていく
このカテリーナを
麻実れいさんが
演じまいした
麻実さん久しぶりです
存在感あります



三浦春馬くん
物凄い勢いで台詞を発していた
ラスコリニコフ
いつまで
しゃべってんの?
ラスコリニコフオンステージ?
と思うくらい
台詞がエンドレス
膨大な台詞を
澱むことなく
噛むことなく
それはそれは
スラスラと
絶え間なく…
それだけで
脱帽

なのに
己の理論にしたいがい
老婆を殺害したものの
予想外の自体に遭遇
理論の反する殺人を
犯してしまった
ラスコリニコフの葛藤を
見事に表現していたのです

正当化された殺人は
大義名分のある悪は
許されるのか?
貧困に喘ぐ民衆の
不満・絶望感
その中で
神を信じる者とそうでない者との反目
理想的社会と現実社会との乖離
諸々の矛盾をかかえ
それでも人は生きていく
出口のない
救いのない
抑うつされた世界
救いが見えない

国家捜査官ポルフィーリが
絶対的正義を盾に
ラスコリニコフを追い詰めていく
ポルフィーリは正しい
正しいけれど
彼自身の言動や行動も
また
社会に適応しきれていない
正当に評価されていない
と言う矛盾をはらんでいる
矛盾に満ちた世界を
我々は生きている



光と影
正義と悪
相反するモノでありながら
対を生すモノである
そして
その定義自身も
明確ではない
常に変化し続けている
不安定な世界に
変化しないモノ
揺るぎない
確たる何か
信じうる
心の拠り所となる
救いは何なのか

ラストシーン
自らの罪を告白し
シベリアに収監された
ラスコリニコフを追って
ソーニャがやってくる
疲れ餓えた
ラスコリニコフに
バスケットから
パンを取りだし
半分を
ラスコリニコフに差し出した

パンをひとくちかじった
ラスコリニコフの背後から
光が…
後光のような光に包まれていく
ラスコリニコフは
涙する
見守るソーニャ

このシーンが
答えなんでしょう
落としどころ
なんでしょう
ソーニャが
象徴なんでしょう
一神教のお国柄的に…


                        

そうそう
いのうえひでのり氏が
観劇に来られてました
『偽義経冥界歌』
大阪公演前でお忙しいのに…
もしかして
次回作に
呼んで頂けるとか
三浦春馬さん!

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