所用で浜松に行ったときの帰りは、いつも小田原で新幹線を降りて 小田急線(新宿方面)に乗ります。
でも今回は時間があったので、小田原から箱根登山鉄道に乗って箱根湯本へ!
目的はこの箱根十二たまご。(それがあるという箱根町立郷土資料館。)
箱根の組子細工で作られた木のたまごで、入れ子になっています。
10年以上前に箱根湯本に行ったとき、駅の地下通路の飾り窓に飾ってあったので、まずそこを見てから ~ と思ったら、なんと駅はとてもきれいになり、地下通路などなかった…。
でも箱根町立郷土資料館にはあるだろうと思って行ったら、なんとそこには「本日休館」の冷たい表示…。
でも、これがかえってラッキーでした。
というのも、この日は雨がざかざか降っていて、郷土資料館まで歩くのも嫌でタクシーに乗りました。それで、資料館前まできたら「本日休館」…。orz
そしたら運転手さんが同情してくれて、箱根十二たまごというか箱根の入れ子細工を見に来たんだけど…と話をしたら、それを作っているという「箱根ろくろ細工たなか」 という工房に連れて行ってくれました。「いつだったか調べている先生を乗せて行ったことがあるから知っている」、と。
ネットで見て、そういう店があることは知っていましたが、かなり高齢な職人さんが一人でやっているらしいお店で、入りづらいんじゃないかと思って遠慮してました。
でも、成り行きで、行っちゃいました。
そしたら、田中さん気さくに色々説明してくださり、最後に制作してるとこまで見せてくれました。
写真撮影もOKでした。
売っていたもの。↓
最後に小さいひよこ入ってますが、めちゃくちゃ小さいです。(下の方に小さいひよこの写真あり)
この5つ組み子の一番大きいのが、確かウズラの卵くらいだった…かな。
マトリョーシカは次の入れ子のと間に結構隙間があり、振るとカタカタしますが、十二たまごはみっちり詰まってます。そして薄い…。
作っているところの写真。(写真をクリックすると大きくなります)
↑ろくろが回転し、ノミを入れて削ってます 。卵の下半分の中を削っているところ。外側の溝はすでにできている。
↑ 支える台のようなものをつかんで回転している木を削ります 。 下に転がっているたまごは、この中に入るもの、その右側にあるのは今削っているたまごの上半分。
↑ だいぶ削れたので、一つ小さいのが入るかどうか入れている…。
↑ 時々ノミ(?)を研いで、うまくはまるまで何度も削る …細かなカンナ屑がたまってくる…。
↑ 中に入るたまごがぴったりはまりました。ぴったり過ぎて出てこないので、指を濡らして取り出す…。
↑ 上下の段差がなくなり、なめらかになってくる 。
そして完全に滑らかになって、やすりその他でピカピカに磨く…。
はー。
どうやら十二たまごは注文制作らしい…。そうでなくても高価そうで手が出ない。
↑これは半端の卵ということで、一つ300円で売ってました。定規の小さい目盛は1㎜です。
そしてこれがなんと! 開きます ↓
そして、順にぴたっと入ります。
一つ300円じゃあ申し訳ないんじゃないかと、うちに帰ってから思いました。
田中さん…と気楽に書いてしまっていますが、田中一幸さん…箱根で組子細工を行うただ一人の職人さんだそうです。
田中さんの三十六たまごは横浜の方の博物館にあるそうで、
箱根町立郷土資料館には江戸時代の三十六たまごがあるらしい…。
これはやはりもう一度箱根湯本の郷土資料館に行かなくてはならないし、ろくろ細工たなか にもまた行きたい。
なお箱根の七福神の組子細工はマトリョーシカのルーツと言われています。
最後にバタバタと帰りのロマンスカーに乗る前に買った「たまご」。
プリンでした。