八月の歌舞伎座は 中村屋 と相場が決まっているしで、毎年楽しみにしている納涼歌舞伎(^^)b 今年の第三部は、待ちに待った「贋作・桜の森の満開の下」の歌舞伎版「野田版・桜の森の満開の下」というので、もう楽しみで楽しみで *\(^o^)/* 歌舞伎座での「桜の森の...」は、十八代目勘三郎の念願でもありました。
坂口安吾作品集より
野田秀樹 作・演出
『野田版 桜の森の満開の下』(8/19 歌舞伎座)
勘九郎(耳男)、染五郎(オオアマ)、七之助(夜長姫)、
梅枝(早寝姫)、巳之助(ハンニャ)、児太郎(ビッコの女)、新悟(アナマロ)、
虎之介(山賊)、弘太郎(山賊)、芝のぶ(エナコ)、梅花(マネマロ)、
吉之丞(青名人)、猿弥(マナコ)、片岡亀蔵(赤名人)、
彌十郎(エンマ)、扇雀(ヒダの王)他
坂口安吾の短編「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」、「安吾新日本地理」を下敷きにした作品で、初演は 1989年(平成元年)劇団夢の遊眠社 第37回公演「贋作・桜の森の満開の下」でした。子育て真っ只中で、後に映像で観ただけなのですが、毬谷友子演じる夜長姫の印象的な事、舞台の美しい事、大好きな舞台でした。是非ぜひ歌舞伎にと、十八代目と野田秀樹が約束を交わしたというので、耳男は勘三郎 夜長姫は玉三郎かと心待ちにしている内に... 十八代目勘三郎 他界。満を持しての 勘九郎・七之助での 耳男と夜長姫です。
幕が開くと 舞台を覆い尽くす様な桜の老木。そんな幕開きを含め、幾度となく鳥肌が立ちます。美しい 美しい、歌舞(傾)きに歌舞(傾)いた、そして 鬼の本当の所在はどこなのか そんな事を考えさせられる舞台です。
幕切れ...「良い仕事をしておくれ」という言葉と共に姿を消す夜長姫に、十八代目の影が重なるのは言うまでもありません。そんな事を想い浮かべながら観ていた訳ではないのに、涙の溢れ出る終幕でした。
ことし一月に上演された NODA・MAPの「足跡姫」同様、十八代目勘三郎への想いの溢れるレクイエムとも言える作品ですが、野田秀樹・中村屋の兄弟共々、その先へと進むと時期に来ていると思えてなりません。