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「女の旅じまん」 酒井順子

2017-04-02 | 読書

2014年3月 南仏、マルセイユ空港 深夜。

ルフトハンザのストで急きょKLMに。予想しない空港に下りました。今から高速道路を二時間かけてニースに向かいます。

思わぬことが起きるのも旅の常。それを半ば楽しみつつ、帰ってきて人に話してもフーンという反応。

この本にある通り、旅の感想はおいしかった、きれいだったの域を出るものはない。聞く方はだから?と思うしかない。そうなんですよね。もって銘すべし。


この本の刊行は1997年、もともと雑誌に連載されていたので、内容はさらにさかのぼり、日本中がバブル経済に潤い、浮かれていたころ。

著者はその頃広告会社に勤務していて、休みには海外へよく旅行に行っていたという。その体験談が、今となっては古いところもあるけれど、(世界中、テレビとファックスがあるので情報が取れるとか)、ある時代の若い女性の海外旅行のようすを切り取って、もう少ししたらもっと面白い資料ではなく、史料になっているかもしれない。

あの時代、女だからと躊躇することなく、いえ、女だからこその消費活動の数々、今となっては懐かしい。危うさも内包しつつ、考えも行動もうんとワールドワイドになった時代。海外でひんしゅくも買いながら日本人が闊歩していたのだろう。

あの頃、ハワイやアジアのリゾート地に出向いたオーエル(この本での呼び方)、今は50歳前後?

きっと忍従やしがらみからは自由。それぞれの場所で元気良く生きていると思う。旅は人を元気にし、広い視野を身に着けさせるもの。そう信じたい私。

2015年4月 ドイツ、ベルンカステルクース。モーゼル川に観光船がとまっています。

人に話すのはためらう旅行の体験いろいろ、ブログでなら自慢話も失敗談も躊躇なく。いい時代になったものです。

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