ポーランドのアウシュヴィッツに一人、日本人の公式ガイドがいると以前から聞いていた。
1966年生まれの中谷剛氏がその人である。学生の時アウシュヴィッツを訪れて衝撃を受け、頭から離れなくなって、再びポーランドを訪れ、苦労してガイドの資格を取った人らしい。今は現地で結婚し、子供もいるので、すっかりポーランドの地に根付いた方なのだろう。
その人が、現地に行けない人にもわかりやすく、アウシュヴィッツとビルケナウ(アウシュヴィッツが手狭になり、近くにさらに広い収容所が作られた)の施設を紹介している。
まあよくもここまで残酷なことができるものだと、空恐ろしくなる。殺された人の数の多さにもただただ驚くばかり。ユダヤ人他からはぎ取った財産は莫大な額にのぼり、当時のドイツの国庫に入ったとか。かなりの部分が戦費にも割かれたはず。と私は想像します。
二度と繰り返してはいけない負の世界遺産、今では世界中から見学者が訪れると言う。特にヨーロッパ各国の若い人たちが多く来るとか。
日本人は少なく、(年間一万人にも満たない=この本の刊行当時)しかも年配の人が多いとか。
若いときにここを訪れたら、世界観、人生観が変わり、その後の生き方にも大きい影響があるのでは。
たぶん、人類は二つに分けられる。アウシュビッツを見た人と、これから見る人に。ポーランドヘ行くのが無理な人にとっては大変参考になる本と思います。