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夏から読み始めていた、真田太平記も11巻まできました。
11巻 大阪夏の陣
ついに真田幸村が大坂の地にてたおれる!
真田いえばやっぱり幸村!幸村が倒れてあとのこり12巻のこすばかりだが・・・・幸村なきあと、忍びの草の者もいなくなり、12巻を読む気になかなかなれない・・・
幸村も、愛馬の月影も身に数創を負っている。と・・・・
月影が悲しげに嘶き、がっくりと前脚を折った。腹を股を、敵の槍に突かれている月影のはたらきも、ここまでが限度だったのであろう。
くずれるように横倒しになった月影の鞍の上から、真田幸村がすべり落ちるように、ゆっくりと田んぼの中へ体を横たえた。
幸村もまた、心身のすべてのちからを使い果たしたのだ。大坂方の猛反撃をかろうじてくいとめ、ようやく大坂城めがけて前進しはじめた関東勢の喚声がきこえているが、この崖下の田圃には、敵も味方も見えなかった。
幸村は半身を起こし、月影の馬首を抱きしめた。
「ようやった・・・・」
かすれた声で呼びかけた幸村へ、月影が目をまたたかせ、鼻梁をこすりつけてきた。
「ようやった、よう・・・・」
幸村も月影の頬骨のあたりへ顔を押し付けた。
月影は細い声で嘶き、ぐったりと馬首を幸村の腕の中へゆだねた。
息絶えたのである。
幸村は月影の馬首を掻き抱いたまま、じっと動かぬ
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(これまでじゃ)
と幸村は思った。
真田幸村も全身に傷を受けて、その体力は、いまや消えつくされようとしている。
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幸村は、この小さな社殿の前にぬかずき、抱角の兜をぬぎ、両手を合わせて頭をたれた。
安居天神の境内で自決することにしたのだ・・・
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