里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

水墨画「里芋と薩摩芋」

2024年11月17日 | 水墨画:菜果
本画仙 色紙
   

今年の我が家のサトイモは日照りの影響をまともに受け大不作。
小生不在時に助っ人がみな掘り取ってくれました。同時にサツマイモの掘り取りも終えていました。
よって小生は今年は芋の掘り取りに手汚さずです。
いつの間にやらサトイモとサツマイモの種や苗を助っ人が調達してくるようになりました。
10月半ばから少しずつ掘っており、サトイモが不作なのは分っていたことです。
例年サツマイモもあまり穫れたことがないのですが、今年は畑を変えたこともあってかそれなりに穫れています。
小生はサツマイモは積極的には食さないので正直関心が薄い。
サトイモは好きでこの時期いも煮が美味しい。2年続けて不作だったのは残念。
少ないながらもこれから他の土物と同様に貯蔵しつつ食していきます。
幼少の頃、サトイモのとろみが苦手でよく残したものでした。
歳を重ねるに従いサトイモのとろみが好きになってくるから不思議です。
昔から我が家で自家採種し作っていたサトイモの品種は土垂(どだれ)です。
小振りながらとりわけ粘り、とろみが強い。
掘り上げたサトイモとサツマイモをモチーフに水墨で描いてみました。



水墨画「洋梨」

2024年11月03日 | 水墨画:菜果
本画仙 色紙


洋梨を頂いたので描いてみました。
今や洋梨の代名詞のようになっている「ラ・フランス」ですが、決して見栄えが良いとは言えません。
色や形も不揃いです。画になる果物とは言いがたい。しかし、味のある姿をしています。
食してみれば甘く、舌触りは頗る滑らか、そして何と言っても香りが素晴らしい。
主役を張れる喜劇俳優と言ったところでしょうか。
小生が幼少の頃に食べた洋梨はあまり美味しくなかったいう記憶が残っています。
「ラ・フランス」が出回るようになり、洋梨へのイメージが大きく変わった気がします。
昔は、食べ頃の判断が難しかったのですが、今は食べ頃が近づいてから出回るようになりました。
何度か食べているうちに触感で感じがつかめるようにもなってきました。
もう半世紀近くも前のことですが、「ラ・フランス」の追熟を研究している知人がおりました。
生産者のみならず流通業者、そして幾多の技術者、研究者一体となった成果が今日の「ラ・フランス」を作り上げたのでしょう。



水墨画「甘柿」

2024年10月20日 | 水墨画:菜果
本画仙 色紙
 

我が家のメインの甘柿「五十匁(ごじゅうめ)」をモチーフに水墨で描いてみました。
画になれば甘柿か渋柿かは容易に分るものではありませんが、敢えて画題名を甘柿としました。
と言うのも柿の形がつるっとした円形や球形ではなく、現物に近い姿で描いてみたからです。
過日、今年の五十匁柿のことについて記事にした折り、代表的な甘柿の品種「富有」や「次郎」は当地では渋が抜けず作ることは出来ないと記しました。
それに対し「地域によってそんなに違うんですね」というコメントを頂きました。
甘柿の渋が抜けるには秋の気温が一定以上必要で、寒冷地で渋が抜ける品種は限られてくるのです。
ですから西南暖地で11月になって収穫するような品種は寒冷地では作れないわけです。
小生もかつて当地方でも十分に渋が抜けるとの謳い文句の大玉種を試しに植えてみたことがありました。
しかし、多少渋が抜けてもいわゆる半渋でとても使えませんでした。
今、当地で作られている甘柿は在来種とされるもので、正式な品種名として認知されているわけではありません。
それでも通称「五十匁」は当地では最も多く作られ、よく知られた甘柿になっています。
当地では先人が長い年月掛けて定着させた在来種に優るものはないようです。
なお、記事にも記したように「五十匁」と言うのは、小生の勝手な当て字です。
そのまま読めば匁はもんめです。五十目でも構いませんが、出所はこの柿の重さに間違いないでしょう。
尺貫法で百匁は375g、よって五十匁は187.5g。この柿の重さにピッタリです。

  

水墨画「黒葡萄と青葡萄」

2024年09月14日 | 水墨画:菜果


大きく立派なブドウを頂きました。
人気の「シャインマスカット」。大ブームで社会現象化しています。
誠にもって甘くて美味しい。
そして、大粒で種なし、皮ごと食べられるわけですから人気が出るのも当然でしょう。
かつて大粒のブドウでブームを巻き起こした品種と言えばやはり黒ブドウの代表品種「巨峰」でしょう。
「シャインマスカット」は酸味が殆どありませんが、「巨峰」は酸味があって小生の好みです。
現代の多くの消費者は酸味を敬遠し甘味の強い品種を嗜好するようです。
「巨峰」は今や古典的な品種になりつつあり、その「巨峰」を元に幾多の品種が育成されています。
一方、青ブドウの大粒品種の古典的品種と言えば「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。
「シャインマスカット」もその流れを汲んでいるわけです。
通称は「アレキ」ですが、一般の消費者はマスカットと言うことが多いのかもしれません。
しかし、我々の口に入ることはまずなく、「ネオマスカット」をマスカットとして食べた記憶があります。
小生が「アレキ」を食する機会に恵まれたのは何十年も前。ホテルで行われた誰かの結婚式だったか。
記憶も殆どなくなっているのですが、「アレキ」の香りだけは今でも蘇ります。
これが「果物の女王」かといたく感激したことだけを憶えています。以来食する機会はありません。
「巨峰」と「マスカット・オブ・アレキサンドリア」をイメージして描いてみました。


水墨画「キュウリとトマト」(昭和のキュウリ・平成のトマト)

2024年09月07日 | 水墨画:菜果
本画仙 色紙

夏秋野菜の代表と言えばまずはキュウリとトマト。
青果物卸売市場には年間途切れることなく出荷され、果菜類の双璧と言って良いでしょう。
記憶も曖昧で、正確には調べていないので確信を持っては言えないことではありますが。
昭和の時代(40年代以降)、卸売市場で野菜の取扱額でトップだったのがキュウリでした。
量ではキャベツなどの重量野菜にかないませんが、金額では殆どの場合キュウリだったと思います。
しかし、時代を経るに従い生産も消費も減少傾向となり相対的にキュウリのシェアは低下しました。
食生活の変化で漬物の需要が大幅に減ったことが大きな要因と思われます。
生産面でも一言で言えばキュウリは弱い。そして忙しい。気温が高ければ朝夕収穫で待ったなしですから。
当地方も夏秋キュウリの産地でしたが、世代交代は上手くいかず数分の1に減少しました。
年号が変わるのと軌を一にしトマトが次第にトップの座を奪いました。
生食のみならず用途も多様化し需要が増加したのです。万人好みの品種が育成されたことも大きい。
生産面でも高度に環境制御された大型の温室が多く設置されています。キュウリでは殆ど見られません。
トマトはキュウリより強く、そして扱いやすい。人を雇用する上でもマニュアル化しやすいのです。
しかし、立場が逆転したとは言え、キュウリとトマトが双璧と言う状況はまだ変わっていないと思います。
令和の時代になり、果たしてどのように変化していくでしょう。