八件たらいまわしにされ、死亡してしまった妊婦さんのニュース・・・
とんでもない、あってはならないことが起こったという扱い。
その通り。
とんでもない、あってはならないこと。
しかし、くちかずこの経験では、受け入れ拒否、もしくは待機、常識に近かったかも。
すんなり受け入れてくれた時に、みんなで驚いていた。
周産期医療センターが我家の近くにある。
私は、ここの学校の卒業だし、開設から知っているが、常に一人当直だったと思う。
今更驚いている大臣に、私は驚いた。
ちなみに、このセンター、一人でも医師が辞めたら、産婦人科ごと、病院から消滅する運命。
今が、ぎりぎりの人員で、大学の医局からの補充は絶望的だから。
隣の市の国立病院も、数年前から産婦人科は消滅したまま・・・
急変したら諦めるしかない事態はすぐ目の前かも・・・
市内の各産婦人科に、周産期医療センターから、もう限界なので、搬送は遠慮して欲しいとのファックスが送られてくる・・・
限界であることを疑うつもりはないが、では、十分な設備のない開業医はどうしたらいいのか?
人殺しとして裁かれることになる。
私が勤めていた最後の産婦人科の医師もそれがあって廃業したようなものかな。
とんでもないことが起きないうちにと。
重篤な発作を起こしたと、夜勤者(夕方から朝までたった一人の夜勤)から電話を受け、家を飛び出す
もう、意識はない
酸素
血管確保
暴れる
舌を噛まないように見て
点滴の腕、押さえて
センター電話
救急車
家族は
ベビーは
先生、紹介状の準備
母子手帳は
カルテコピーした
くちかずこのくちは忙しい
電話の返事は??????
「30分後にもう一度電話して。
今、忙しい。」
分娩中に、突然の胎児仮死
急激な悪化
もう駄目か・・・
今から搬送しても間に合わない・・・
ここで、緊急手術をしても間に合いそうにない・・・
え・・・・そんな・・・
いちかばちか・・・
分娩台の上で(オペ台に移す余裕はない)皮膚麻酔だけで開腹。
(きちんと麻酔する余裕はない)
出た
生きてる
でも呼吸が・・・ない・・・
蘇生するよ
だれか、オペ替わって
挿管する
とにかく搬送の手はずを
血だらけの手で電話する。
プッシュボタンも血だらけに・・・
小児科、NICU すぐ連れて来いと。
良かった
救急車を呼ぶ。
なんとか自呼吸があるものの、血中酸素濃度がかなり悪いし不安定だ。
他のスタッフは母体のオペの続きを。
くちかずこと助産婦で救急車にのりベビーを搬送。
助かって
と毛布に包んだベビーを抱きながら祈る。
が、救急車は発進しない。
え?
長い・・・長く感じる・・・
何故、出ないんですか?
もう小児科に連絡済、搬送の承諾を受けている旨、再度伝える。
でも、出ない・・・
最近、着いた時点で断られることが多いので、救急隊のほうで、再度確認をとらないと発進しないことになっているとのこと。
そんな・・・
保育器にも入っていないのに・・・
抱いているくちかずこには、ベビーがだんだん冷たくなっていくのが解かる・・・
四肢から冷感が・・・
半ば脅すようにして発進してもらう。
絶対に受け入れて貰えます!と。
抱きながら さすりながら ベビーにがんばれと心の中で言う。
受け入れ態勢は万端、完璧だった
有り難い
ありがとう
ストレッチャーの上の保育器に入り、酸素も貰いながら、
彼(ベビー)は疾風のごとく病棟に運ばれていく
必死で走って追いかける
助かりました
母も、彼も。
全く、障害も残らず。
人生で、たった一度、素手でオペに入った日です。
なんか、話がそれたような・・・
はい、とにかく、
今時の くちかずこの知るお産事情でした。
いつも、ご清聴ありがとうございます。