7時より少し前に、班長さんから本日の作業が中止の旨の連絡があった。
暇が出来たので労働者の1人として、労基法なるものを調べてみた。
以下のような情報を見つけた。
社会通念上、企業で雇用されている労働者をひとくくりに従業員とか社員とか呼びます。
しかしその従業員(社員)は、雇用されている期間が決められている非正社員(契約社員やパートタイマー)とその定めのない(原則として終身雇用)正社員とに分類されています。
さらに非正社員は、雇用期間が終了しても引き続き雇用が予定されているパートタイマーとその予定が無いアルバイターに分かれます。
そして契約社員は嘱託社員、擬似パート期間工などに分かれています。
そして、それぞれの雇用形態に、労働関係の法令や労働条件の違いなどがありますので注意することが必要です。
パートタイマー(短時間労働者)について
パートタイマー(短時間労働者)とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べ短い労働者」とパート労働法2条では定義されています。
しかし労働の現場では実態はパートタイマーであってもアルバイトとされたり、契約社員と呼ばれたり様々なのです。
よってそれらの呼び方はどうであれ、実態がパート労働法の定義に当てはまるのであればパートタイマーとして扱われパート労働法の保護を受けることになります。
パートタイマーはパート労働法の他にも、様々な労働関係の法令が適用されます。
それは、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金方・男女雇用機会均等法などです。
ですからパートだからといって労働法の保護は無いわけではありませんから注意が必要です。
割り増し賃金について
パートの場合であっても所定労働時間を越えた労働には、割り増し賃金が支払われることになります。
1日8時間を越えた場合にはそれについて25%増し以上の賃金であり、法定定休日に労働させる場合には35%増し以上、深夜労働に関しては25%増し以上が、さらに所定労働時間と深夜労働が重なった場合は50%以上、休日と深夜労働が重なった場合は60%以上の割り増し賃金が支払われます。
年次有給休暇について
年次有給休暇もとることはできます。
労働基準法では、6ヶ月間継続勤務して定められた労働日数の80%以上出勤した場合は、この休暇を与える必要があります。
雇用契約が更新され、6ヶ月以上継続して働く場合でも同様の扱いがされます。
年次有給休暇の日数は?
・1週の所定労働時間が30時間以上の場合は正社員と同じ日数が与えられます。
・1週の所定労働時間が30時間未満の場合は・・・
所定労働日数が週5日以上で、又は年間217日以上の場合は正社員と同じ日数です。
所定労働日数が週4日以下で、又は年間216日以下の場合は所定労働日数に応じた日数です。
社会保険の加入について
パートタイマーの場合でも労働時間や労働契約によっては、社会保険の加入を義務付けられる場合がありますので、希望する収入と比較して労働時間を制限することも必要かと思います。
詳細については、各都道府県労働局雇用均等室に問い合わせて見ることをお勧めいたします。
労働契約書について
改正パートタイマー労働法では、義務として「労働条件通知書」を交付するよう明記してありますので、労働条件を明確にする意味でも交付を受けておくことはトラブルを防ぐ意味でも必要です。
パートとアルバイトの違いについて
アルバイトの場合はパートに比べて短期間の雇用契約です。
そしてパートタイマーの場合は雇用期間が終了しても、契約の更新が多いことも異なる点です。
パートタイム労働者等(以下、パートタイマー)の短時間労働者の社会保険(健康保険及び厚生年金)の適用についてご説明いたします。
健康保険も厚生年金も適用条件は通常同じです。(上限年齢に違いはありますが)
まず、パートタイマーの1日または1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が通常の社員の4分の3以上である場合、健康保険、厚生年金の適用を受けます。
例えば、正社員の週所定労働時間が40時間とすれば30時間以上が目安となります。
この場合、健康保険だけとか、厚生年金だけとかいうことはなく、両方適用になります。
配偶者に扶養されているかどうかはこの場合には関係ありません。
さて、所定労働時間4分の3未満の場合にはどうなるでしょうか?
この場合には、配偶者に扶養されているかにより変わってきます。
【年収130万円未満の場合】
原則として、本人の年収が130万円未満の場合には、配偶者に扶養されているとして、配偶者の被扶養者になることができます。
配偶者が健康保険ではなく、国民健康保険の被保険者の場合には、被扶養者という区分がないので、自分も被保険者(被扶養者ではない)となります。
年金については、配偶者が厚生年金の被保険者の場合には、厚生年金の被扶養者となります。
配偶者が国民年金の場合には、自分も国民年金の被保険者となります。(20歳以上60歳未満の場合)
【年収130万円以上の場合】
自分の収入が年収130万円以上の場合には、国民健康保険の被保険者となります。
年金は国民年金の被保険者となります。(第1号被保険者)
【税金】
税金については、課税を判断する年収金額が違ってきます。
社会保険では、130万円が扶養かどうかの判断基準となりますが税金の場合には、103万円になります。
103万円を超えると所得税の課税対象となりますが、税金については、税務署や税理士の方に尋ねてください。
あなたの権利
ちょこっと労基法
9.非常勤・パートタイム労働者
●パートタイム労働者とは
パートタイム労働法においては、「1週間の所定労働時間が、同じ事業所の通常の労働者(正規労働者)よりも短い労働者」をパート労働者と定めています。
「非常勤」「パート」「アルバイト」「臨時」と呼び名は違っても、正規労働者より労働時間が短い労働者はすべてパートタイム労働者です。
●「労働基準法」が適用されます
働いて賃金を得ている人はすべて労働者として「労働基準法」が適用されます。パートタイム労働者は労働時間が短いという以外に通常の労働者と何ら変わることなく、労働基準法が適用されます。
●使用者は、労働契約の内容(賃金、労働時間、その他の労働条件)について明らかにしなければなりません。後々のトラブルを防ぐためにも労働契約は文書で結びましょう。
●使用者は、基本的に残業させないよう努めなければなりませんが、時間外労働・休日労働・深夜労働には割増賃金が支払われます。
●6か月間継続勤務し、決められた労働日の8割以上出勤すれば、年次有給休暇が与えられます。
●パートだからといって勝手に解雇はできません。解雇するには「合理的な理由」と30日以上前の解雇予告が必要です。
●1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上引き続き雇用されることが見込まれるなら、雇用保険の対象になります。失業した場合は、失業給付を受けられます。
Ⅰ.労働者の定義
労働者とは次の者をいう。
労基法第9条
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
実際に「労働者」に当たるかどうかの基準は、次のとおりである。
契約の形や名称にかかわらず、実態として民法623条の雇傭契約が締結されていると認められること。
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Ⅱ.雇用契約
民法では、役務を提供する契約として、雇傭(雇用と同じ)、請負、委任、寄託の4類型を定めている。
このうち請負と委任については、雇傭と似ており、その区別が必要になってくる。
民法で定める雇傭、請負、委任はそれぞれ次のとおりである。
民法第623条(雇傭)
雇傭は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれにその報酬を与えることを約するに因りてその効力を生ず。
民法第632条(請負)
請負は当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してこれに報酬を与えることを約するに因りてその効力を生ず。
民法第643条(委任)
委任は当事者の一方が法律行為を為すことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾するに因りてその効力を生ず。
上記3類型のうち労働基準法の適用があるのは「雇用」と認められた契約だけであるから、その区別は重要である。
三者の概念上の違いは次のとおりである。
雇傭 委任 請負
契約目的 労務の給付 労務の給付 仕事の完成
裁量権 使用者 労務供給者 労務供給者
言葉で表せば一見明快であるが、現実の契約ではその区別はかなり難しい。それは雇用においても細部の判断については「自らの裁量のもとで処理する」という要素を含んでいるからである。
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Ⅲ.「労働者」の判断基準
昭和60年(1985年)労働基準法研究会報告 「労働基準法の「労働者」の判断基準について」 第1 労働基準法の「労働者」の判断
l、労働基準法第9条は、その適用対象である「労働者」を「・・・・・使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定している.これによれは、「労働者」であるか否か、すなわち「労働者性」の有無は「使用される=指揮監督下の労働」という労務提供の形態及び「賃金支払」という報酬の労務に対する対償性、すなわち報酬が提供された労務に対するものであるかどうかということによって判断されることとなる。
この二つの基準を総称して、「使用従属性」と呼ぶこととする。
2、しかしながら、現実には、指揮監督の程度及び態様の多様性、報酬の性格の不明確さ等から、具体的事例では、「指揮監督下の労働」であるか、「貸金支払」が行われているかということが明確性を欠き、これらの基準によって「労働者性」の判断をすることが困難な場合がある。このような限界的事例については、「使用従属性」の有無、すなわち「指揮監督下の労働」であるか、「報酬が賃金として支払われている」かどうかを判断するに当たり、「専属度」、「収入額」等の諸要素をも考慮して、総合判斬することによって「労働者性」の有無を判断せざるを得ないものと考える。
3、なお、「労働者性」の有無を法律、制度等の目的、趣旨と相関させて、ケース・バイ・ケースで「労働者」であるか否かを判斬する方法も考え得るが、少なくとも、労働基準関係法制については、使用従属の関係にある労働者の保護を共通の目的とするものであり、また、全国画一的な監督行政を運営していく上で、「労働者」となったり、ならなかったりすることは適当でなく、共通の判断によるべきものであろう。
第2 「労働者性」の判斬基準
以上のように「労働者性」の判斬に当たっては、雇用契約、請負契約といった形式的な契約形式のいかんにかかわらず、実質的な使用従属性を、労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素をも勘案して総合的に判断する必要がある場合があるので、その具体的判断基準を明確にしなけれはならない。
この点については、現在の複雑な労働関係の実態のなかでは、普遍的な判断基準を明示することは、必すしも容易ではないが、多数の学説、裁判例等が種々具体的判断基準を示しており、次のように考えるべきであろう。
1、「使用従属性」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」に関する判断基準
労働が他人のは指揮監督下において行われているかどうか、すなわ他人に従属して労務を提供しているかどうかに関する判断基準として、種々の分類があり得るが、次のように整理することができよう。
イ、仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
「使用者」の具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由を有していれば、他人に 従属して労務を提供するとは言えず、対等な当事者間の関係となり、指揮監督関係を否定する重要な要素となる。
これに対して、具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して拒否する自由を有しない場合は、一応、指挿監督関係を推認させる重要な要素となる。なお、当事者間の契約によっては、一定の包括的な仕事の依頼を受諾した以上、当該包括的な仕事の一部である個々具体的な仕事の依頼について拒否する自由が当然制限される場合があり、また、専属下請けのように事実上、仕事の依頼を拒否することができないという場合もあり、このような場合には、直ちに指揮監督関係を肯定することはできず、その事実関係だけでなく、契約内容等も勘案する必要がある。
ロ、業務遂行上の指揮監督の有無
(イ)業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
業務の内容及び遂行方法について「使用者」の具体的な指揮命令を受けていることは、指揮監督関係の基本的かつ重要な要姜である。しかしながら、この点も指揮命令の程度が問題であり、通常注文者が行う程度の指示等に止まる場合には、指揮監督を受けているとは言えない。なお、管弦楽 団員、バンドマンの場合のように、業務の性質上、放送局等「使用者」の具件的な指揮命令になじ まない業務については、それらの者が敗送事業等当該事業の遂行上不可欠なものとして事業組織に組み入れられている点をもって、「他用者」の一般的な指揮監督を受けていると判断する裁判例があり、参考にすべさであろう。
(ロ)その他
そのほか、「使用者」の命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがある場合には、「使用者」の一般的な指揮監督を受けているとの判断を補強する重要な要素となろう。
(ハ)拘束性の有無
勤務場所及び勤務時間が指定され、管理されていることは、一般的には、指揮監督関係の基本的な 要素である。しかしながら、業務の性質上(例えば、演奏)、安全を確保する必要上(例えは、建 設)等から必然的に勤務場所及び勤務時間が指定される場合があり、当該指定が業務の性質等によるものか、業務の遂行を指揮命令する必要によるものかを見極める必要がある。
(ニ)代替性の有無-指揮監督関係の判断を補強する要素-
本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか杏か、また、本人が自らの判斬によって補助者を使うことが認められているか否か等労務提供に代替性が認められているか杏かは、指揮監督関係そのもに関する基本的判断基準ではないが、労務提供の代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素のひとつとなる。
(2)報酬の労務対償性に関する判断基準
労働基準法第11条は、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と規定している。すなわち、使用書が労働者に対して支払うものであって、労働の対償であれば、名称の如何を問わす「賃金」である。この場合の「労働の対償」とは、結局において「労働者が使用者の指揮監督の下で行う労働に対して支払うもの」と言うべきものであるから、報酬が「賃金」であるか否かによって逆に「使用従属性」を判断することはできない。
しかしながら、報酬が時間給を基礎として計算される等労働の結果による較差が少ない、欠勤した場合には応分の報酬が控除され、いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当か支給される等報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判斬される場合には、「使用従属性」を補強することとなる。
2,「労働者性」の判断を補強する要素
前述のとおり、「労働者性」が問題となる限界的事例については、「使用従属性」の判断が困難な場合があり、その場合には、以下の要素をも勘案して、総合判断する必要がある。
(1)事業者性の有無
労働者は、機械、器具、原材料等の生産手段を有しないのが通例であるが、最近におけるいわゆる傭車運転手のように、相当高価なトラック等を所有して労務を提供する例がある。このような事例については、前記1の基準のみをもって「労働者性」を判断することが適当でなく、その者の「事業者性」の有無を併せて、総合判断することが適当な場合もある。
イ、機械、器具の負担関係
本人か所有する機械、器具が安価な場合には問題はないが、著しく高価な場合には自らの計算と危険負担に基づいて事業経営を行う「事業者」としての性格か強く、「労働者性」を弱める要素となるものと考えられる。
ロ、報酬の額
報酬の額が当該企業において同様の業務に従事している正規従業員に比して著しく高額である場合には、上記イと関連するが、一般的には、当該報酬は、労務提供に対する賃金では、自らの計算と危険負担に基づいて事業経営を行う「事業者」に対する代金の支払と認められ、その桔果、「労働者性」を弱める要素となるものと考えられる。
ハ、その他
以上のほか、裁判例においては、業務遂行上の損害に対する責任を負う、独自の商号使用が認められている等の点を「事業者」としての性格を補強する要素としているものがある。
(2)専属性の程度
特定の企業に対する専属性の有無は、直接に「使用従属性」の有無を左右するものではなく、特に専属性がないことをもって労働者性を弱めることとはならないが、「労働者性」の有無に関する判断を補強する要素のひとつと考えられる。
イ、他社の業務に従事することか制度上制約され、また、時間的余裕がなく事実上困難である場合には、専属性の程度が高く、いわゆる経済的に当該企業に従属していると考えられ、「労働者性」を補強する要素のひとつと考えて差し支えないであろう。なお、専属下請けのような場合については、上記イと同様留意する必要がある。
ロ、報酬に固定給部分がある、業務の配分等により事実上同定給となっている、その額も生計を維持しうる程度のものである等報酬に生活保障的な要素が強いと認められる場合には、上記イと同様、「労働者性」を補強するものと考えて差し支えないであろう。
(3)その他
以上のほか、具体例においては、①採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとん同様であること、②報酬について給与所得としての源泉徴収を行っていること、③労働保険の適用対象としていること、④服務規律を適用していること、⑤退職金制度、福利厚生を適用していること等「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると推認される点を、「労働者性」を肯定する判斬の補強事由とするものがある。
なお、特に疑義の多い「建設手間請け従事者」「芸能関係者」「持込ドライバー」「在宅勤務者」については、更に詳しい判断基準が示されている。
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Ⅳ.個別行政解釈
微妙な契約について、法的に当該契約が雇用契約であるか否か、つまり労働基準法上の労働者であるか否かは、裁判や行政解釈によって個別に判断されている。
微妙な職業、地位、立場、契約にかかる解釈例を挙げると次のとおりである。
法人等の代表者 法人等と委任の関係にあり、労働者ではない。
使用人兼務役員 工場長、部長等の職を有する限りにおいて労働者である。
常勤相談役・嘱託 直接上司の指揮命令に服することなく、一般従業員と異なる待遇を受けている者であっても、一定の時間拘束とそれに対する報酬を受けている場合は労働者である。
使用人として退職金を受領した取締役 退職と同時に取締役に就任し、退職金を受領した者は、従前と同様の職務内容であっても、労働者ではない。
同居親族社員 就労実態、管理が他の労働者と同様に行われている場合に限り、労働者とする。
共同経営の出資者 法人等との間に使用従属関係があり、賃金を受けていれば労働者である。
放送協会専属の管弦楽団員、合唱団員、劇団員、効果団員等 次のいずれにも該当する場合は労働者とする。
①一定の拘束条件の下に労働提供義務を負っている。
②労働の対償として報酬を受けている。
③契約の名称に関わらず、使用関係が実態として存在している。
キャバレーと優先出演契約を結んだ楽団員 労働者である。
クラブと演奏契約を結んだピアノ奏者 労働者である。
放送芸能員 労働者である。
芸能タレント 次のいずれにも該当する場合は労働者ではない。
①提供商品が他人によって代替できず、当人の個性が重要な要素となっている。
②報酬が稼働時間に応じて定められたものではない。
③公演、打合せ等を除き、時間拘束がない。
④契約形態が雇用契約でない。
中央競馬会所属の調教師、厩務員 労働者である。
競輪選手 労働者ではない。
学校用務員 雇用契約であり、労働者である。
学校教員 労働者である。
大学の助手 労働者である。
大学病院の研修医 労働者である。
企業等実習生 主目的が実習である限りにおいて原則として労働者ではない。
看護士養成所の実習生 原則として労働者ではないが、労務実態により次の場合は労働者とする。
①教習に関係のない雑用仕事がある。
②一般看護士と実習生の労働が明確に区別されていない。
外国人技術研修生 一般作業員と同じ作業に従事し、その対価として報酬を受けていれば、労働者である。
生命保険外交員 契約と業務実態により、雇用である場合と委任にあたる場合に区別される。
証券等外務員 外務行為に従事すべき義務を負い、出来高に応じて賃金を得る契約は、委任契約であり、労働者ではない。
ガス料金集金員、電気料金検針員 請負契約形式であっても、雇用契約と認められ、労働者である。
NHK受信料集金員 業務の遂行について裁量権があり、使用従属関係は認められず、労働者ではない。
市町村の固定資産評価員 労働者である。
新聞配達員 賃金が配達部数歩合制になっていても、販売店との間に使用従属関係が存在しており、労働者である。
運送業務従事者 自己所有のトラックや馬を使用し、他の運送業者の業務に従事し、給料の名目で報酬を受け取っていた者は労働者である。
独自の商号を使い、自ら雇う従業員を使用し、他の従業員より高額の出来高制給料を受けている者は、請負契約と見做す。
船長 傭船者との契約は雇用ではない。
大工 請負契約によらず雇用契約により、使用従属関係下にある大工は労働者である。
非常勤の消防団員 労働者ではない。
僧侶等宗教関係者 労務を提供し、賃金を受けていれば労働者であり、修行者・信者であって何らの報酬も受けず奉仕する者は労働者ではない。
労働組合専従職員 企業等が組合専従を認める場合は、企業等を使用者とする労働者とされる。
認めない場合、労働組合を使用者とする労働者となる。
授産施設作業員 一定の公的扶助の下に交わされた契約については、労基法上の労働者とは見做さない。
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Ⅴ.適用の意義と昨今の問題
昨今では、就業形態が多様化して、「雇用」なのか「業務委託(=自営=請負または委任)」なのか不明瞭な契約が増加しています。
就業形態多様化の最大の原因は、平成不況時代に、企業が究極の人件費削減を目指したことです。
従来、社員の区分は、正社員とパートが一般的でした。それに新たに加わったのが、契約社員と派遣社員です。そして更に「請負社員」という形を生み出してしまいました。
企業としては短期的に見れば、正社員を減らしてそれ以外の社員を多用することにより、人件費を大幅に削減することが可能だからです。
このことにより労働者は、働き方の自由な選択肢を得ると同時に、労働環境に一層の困難がもたらされたわけですが、これらのことも合法の範囲内で行っている限り、企業の正常な経営努力として、致し方ない部分があります。
しかしそれが違法契約となれば、話は別。
少なくない企業で、違法な業務委託契約が交わされているのが社会の実態です。
別名「偽装自営」「偽装請負」とも呼ばれており、実態が労働(雇用)契約であるのに、業務委託契約として締結されているものです。
この偽装により、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、社会保険各法等々の適用を免れ、労働者を劣悪な環境の中で酷使しています。
この場合当該契約自体は有効で、その契約内容を労働(雇用)契約と見做して、労働保護法、社会保険各法の適用を受けることができますので、自分の立場が「労働者なのか否か」を各自しっかり見極めて対応することが大切です。
●パートタイマー・アルバイトの社会保険加入要件
社会保険は、次の要件を満たす場合、強制加入になっており、
「パートタイマーとかアルバイトだから加入しなくてもよい」ということはありません。
トラブルを避けるためにも、パートの方を採用する際に、しっかりと社会保険の適用になることを明示する必要があります。
■雇用保険
①所定労働時間が週20時間以上見込まれること。
②31日以上雇用されることが見込まれること。
■健康保険・厚生年金
①1日又は1週間の所定労働時間および
②1ヵ月の所定労働日数が、通常の社員のおおむね4分の3以上
の2つの要件を満たした場合、パートタイマー・アルバイトであっても
社会保険の加入義務が生じます。
例えば、
正社員の1日の所定労働時間が8時間、完全週休2日制の会社の場合、
その会社で働くパートタイマーが1日6時間、1ヵ月の所定労働日数が16日以上
の場合、①②の両方の要件を満たしますので、社会保険の被保険者となるのです。
ただし、具体的に判断するのは、年金事務所となりますので、
詳しくはそちらで確認することをおすすめします。
以上、気の向くままに貼り付けてみましたが参考になったでしょうか。
暇があると、よけいなことまで調べてしまう。
私たちはどれに該当するのかな?
豊田一喜
暇が出来たので労働者の1人として、労基法なるものを調べてみた。
以下のような情報を見つけた。
社会通念上、企業で雇用されている労働者をひとくくりに従業員とか社員とか呼びます。
しかしその従業員(社員)は、雇用されている期間が決められている非正社員(契約社員やパートタイマー)とその定めのない(原則として終身雇用)正社員とに分類されています。
さらに非正社員は、雇用期間が終了しても引き続き雇用が予定されているパートタイマーとその予定が無いアルバイターに分かれます。
そして契約社員は嘱託社員、擬似パート期間工などに分かれています。
そして、それぞれの雇用形態に、労働関係の法令や労働条件の違いなどがありますので注意することが必要です。
パートタイマー(短時間労働者)について
パートタイマー(短時間労働者)とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べ短い労働者」とパート労働法2条では定義されています。
しかし労働の現場では実態はパートタイマーであってもアルバイトとされたり、契約社員と呼ばれたり様々なのです。
よってそれらの呼び方はどうであれ、実態がパート労働法の定義に当てはまるのであればパートタイマーとして扱われパート労働法の保護を受けることになります。
パートタイマーはパート労働法の他にも、様々な労働関係の法令が適用されます。
それは、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金方・男女雇用機会均等法などです。
ですからパートだからといって労働法の保護は無いわけではありませんから注意が必要です。
割り増し賃金について
パートの場合であっても所定労働時間を越えた労働には、割り増し賃金が支払われることになります。
1日8時間を越えた場合にはそれについて25%増し以上の賃金であり、法定定休日に労働させる場合には35%増し以上、深夜労働に関しては25%増し以上が、さらに所定労働時間と深夜労働が重なった場合は50%以上、休日と深夜労働が重なった場合は60%以上の割り増し賃金が支払われます。
年次有給休暇について
年次有給休暇もとることはできます。
労働基準法では、6ヶ月間継続勤務して定められた労働日数の80%以上出勤した場合は、この休暇を与える必要があります。
雇用契約が更新され、6ヶ月以上継続して働く場合でも同様の扱いがされます。
年次有給休暇の日数は?
・1週の所定労働時間が30時間以上の場合は正社員と同じ日数が与えられます。
・1週の所定労働時間が30時間未満の場合は・・・
所定労働日数が週5日以上で、又は年間217日以上の場合は正社員と同じ日数です。
所定労働日数が週4日以下で、又は年間216日以下の場合は所定労働日数に応じた日数です。
社会保険の加入について
パートタイマーの場合でも労働時間や労働契約によっては、社会保険の加入を義務付けられる場合がありますので、希望する収入と比較して労働時間を制限することも必要かと思います。
詳細については、各都道府県労働局雇用均等室に問い合わせて見ることをお勧めいたします。
労働契約書について
改正パートタイマー労働法では、義務として「労働条件通知書」を交付するよう明記してありますので、労働条件を明確にする意味でも交付を受けておくことはトラブルを防ぐ意味でも必要です。
パートとアルバイトの違いについて
アルバイトの場合はパートに比べて短期間の雇用契約です。
そしてパートタイマーの場合は雇用期間が終了しても、契約の更新が多いことも異なる点です。
パートタイム労働者等(以下、パートタイマー)の短時間労働者の社会保険(健康保険及び厚生年金)の適用についてご説明いたします。
健康保険も厚生年金も適用条件は通常同じです。(上限年齢に違いはありますが)
まず、パートタイマーの1日または1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が通常の社員の4分の3以上である場合、健康保険、厚生年金の適用を受けます。
例えば、正社員の週所定労働時間が40時間とすれば30時間以上が目安となります。
この場合、健康保険だけとか、厚生年金だけとかいうことはなく、両方適用になります。
配偶者に扶養されているかどうかはこの場合には関係ありません。
さて、所定労働時間4分の3未満の場合にはどうなるでしょうか?
この場合には、配偶者に扶養されているかにより変わってきます。
【年収130万円未満の場合】
原則として、本人の年収が130万円未満の場合には、配偶者に扶養されているとして、配偶者の被扶養者になることができます。
配偶者が健康保険ではなく、国民健康保険の被保険者の場合には、被扶養者という区分がないので、自分も被保険者(被扶養者ではない)となります。
年金については、配偶者が厚生年金の被保険者の場合には、厚生年金の被扶養者となります。
配偶者が国民年金の場合には、自分も国民年金の被保険者となります。(20歳以上60歳未満の場合)
【年収130万円以上の場合】
自分の収入が年収130万円以上の場合には、国民健康保険の被保険者となります。
年金は国民年金の被保険者となります。(第1号被保険者)
【税金】
税金については、課税を判断する年収金額が違ってきます。
社会保険では、130万円が扶養かどうかの判断基準となりますが税金の場合には、103万円になります。
103万円を超えると所得税の課税対象となりますが、税金については、税務署や税理士の方に尋ねてください。
あなたの権利
ちょこっと労基法
9.非常勤・パートタイム労働者
●パートタイム労働者とは
パートタイム労働法においては、「1週間の所定労働時間が、同じ事業所の通常の労働者(正規労働者)よりも短い労働者」をパート労働者と定めています。
「非常勤」「パート」「アルバイト」「臨時」と呼び名は違っても、正規労働者より労働時間が短い労働者はすべてパートタイム労働者です。
●「労働基準法」が適用されます
働いて賃金を得ている人はすべて労働者として「労働基準法」が適用されます。パートタイム労働者は労働時間が短いという以外に通常の労働者と何ら変わることなく、労働基準法が適用されます。
●使用者は、労働契約の内容(賃金、労働時間、その他の労働条件)について明らかにしなければなりません。後々のトラブルを防ぐためにも労働契約は文書で結びましょう。
●使用者は、基本的に残業させないよう努めなければなりませんが、時間外労働・休日労働・深夜労働には割増賃金が支払われます。
●6か月間継続勤務し、決められた労働日の8割以上出勤すれば、年次有給休暇が与えられます。
●パートだからといって勝手に解雇はできません。解雇するには「合理的な理由」と30日以上前の解雇予告が必要です。
●1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上引き続き雇用されることが見込まれるなら、雇用保険の対象になります。失業した場合は、失業給付を受けられます。
Ⅰ.労働者の定義
労働者とは次の者をいう。
労基法第9条
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
実際に「労働者」に当たるかどうかの基準は、次のとおりである。
契約の形や名称にかかわらず、実態として民法623条の雇傭契約が締結されていると認められること。
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Ⅱ.雇用契約
民法では、役務を提供する契約として、雇傭(雇用と同じ)、請負、委任、寄託の4類型を定めている。
このうち請負と委任については、雇傭と似ており、その区別が必要になってくる。
民法で定める雇傭、請負、委任はそれぞれ次のとおりである。
民法第623条(雇傭)
雇傭は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれにその報酬を与えることを約するに因りてその効力を生ず。
民法第632条(請負)
請負は当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してこれに報酬を与えることを約するに因りてその効力を生ず。
民法第643条(委任)
委任は当事者の一方が法律行為を為すことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾するに因りてその効力を生ず。
上記3類型のうち労働基準法の適用があるのは「雇用」と認められた契約だけであるから、その区別は重要である。
三者の概念上の違いは次のとおりである。
雇傭 委任 請負
契約目的 労務の給付 労務の給付 仕事の完成
裁量権 使用者 労務供給者 労務供給者
言葉で表せば一見明快であるが、現実の契約ではその区別はかなり難しい。それは雇用においても細部の判断については「自らの裁量のもとで処理する」という要素を含んでいるからである。
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Ⅲ.「労働者」の判断基準
昭和60年(1985年)労働基準法研究会報告 「労働基準法の「労働者」の判断基準について」 第1 労働基準法の「労働者」の判断
l、労働基準法第9条は、その適用対象である「労働者」を「・・・・・使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定している.これによれは、「労働者」であるか否か、すなわち「労働者性」の有無は「使用される=指揮監督下の労働」という労務提供の形態及び「賃金支払」という報酬の労務に対する対償性、すなわち報酬が提供された労務に対するものであるかどうかということによって判断されることとなる。
この二つの基準を総称して、「使用従属性」と呼ぶこととする。
2、しかしながら、現実には、指揮監督の程度及び態様の多様性、報酬の性格の不明確さ等から、具体的事例では、「指揮監督下の労働」であるか、「貸金支払」が行われているかということが明確性を欠き、これらの基準によって「労働者性」の判断をすることが困難な場合がある。このような限界的事例については、「使用従属性」の有無、すなわち「指揮監督下の労働」であるか、「報酬が賃金として支払われている」かどうかを判断するに当たり、「専属度」、「収入額」等の諸要素をも考慮して、総合判斬することによって「労働者性」の有無を判断せざるを得ないものと考える。
3、なお、「労働者性」の有無を法律、制度等の目的、趣旨と相関させて、ケース・バイ・ケースで「労働者」であるか否かを判斬する方法も考え得るが、少なくとも、労働基準関係法制については、使用従属の関係にある労働者の保護を共通の目的とするものであり、また、全国画一的な監督行政を運営していく上で、「労働者」となったり、ならなかったりすることは適当でなく、共通の判断によるべきものであろう。
第2 「労働者性」の判斬基準
以上のように「労働者性」の判斬に当たっては、雇用契約、請負契約といった形式的な契約形式のいかんにかかわらず、実質的な使用従属性を、労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素をも勘案して総合的に判断する必要がある場合があるので、その具体的判断基準を明確にしなけれはならない。
この点については、現在の複雑な労働関係の実態のなかでは、普遍的な判断基準を明示することは、必すしも容易ではないが、多数の学説、裁判例等が種々具体的判断基準を示しており、次のように考えるべきであろう。
1、「使用従属性」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」に関する判断基準
労働が他人のは指揮監督下において行われているかどうか、すなわ他人に従属して労務を提供しているかどうかに関する判断基準として、種々の分類があり得るが、次のように整理することができよう。
イ、仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
「使用者」の具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由を有していれば、他人に 従属して労務を提供するとは言えず、対等な当事者間の関係となり、指揮監督関係を否定する重要な要素となる。
これに対して、具体的な仕事の依頼、業務従事の指示等に対して拒否する自由を有しない場合は、一応、指挿監督関係を推認させる重要な要素となる。なお、当事者間の契約によっては、一定の包括的な仕事の依頼を受諾した以上、当該包括的な仕事の一部である個々具体的な仕事の依頼について拒否する自由が当然制限される場合があり、また、専属下請けのように事実上、仕事の依頼を拒否することができないという場合もあり、このような場合には、直ちに指揮監督関係を肯定することはできず、その事実関係だけでなく、契約内容等も勘案する必要がある。
ロ、業務遂行上の指揮監督の有無
(イ)業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
業務の内容及び遂行方法について「使用者」の具体的な指揮命令を受けていることは、指揮監督関係の基本的かつ重要な要姜である。しかしながら、この点も指揮命令の程度が問題であり、通常注文者が行う程度の指示等に止まる場合には、指揮監督を受けているとは言えない。なお、管弦楽 団員、バンドマンの場合のように、業務の性質上、放送局等「使用者」の具件的な指揮命令になじ まない業務については、それらの者が敗送事業等当該事業の遂行上不可欠なものとして事業組織に組み入れられている点をもって、「他用者」の一般的な指揮監督を受けていると判断する裁判例があり、参考にすべさであろう。
(ロ)その他
そのほか、「使用者」の命令、依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがある場合には、「使用者」の一般的な指揮監督を受けているとの判断を補強する重要な要素となろう。
(ハ)拘束性の有無
勤務場所及び勤務時間が指定され、管理されていることは、一般的には、指揮監督関係の基本的な 要素である。しかしながら、業務の性質上(例えば、演奏)、安全を確保する必要上(例えは、建 設)等から必然的に勤務場所及び勤務時間が指定される場合があり、当該指定が業務の性質等によるものか、業務の遂行を指揮命令する必要によるものかを見極める必要がある。
(ニ)代替性の有無-指揮監督関係の判断を補強する要素-
本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか杏か、また、本人が自らの判斬によって補助者を使うことが認められているか否か等労務提供に代替性が認められているか杏かは、指揮監督関係そのもに関する基本的判断基準ではないが、労務提供の代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素のひとつとなる。
(2)報酬の労務対償性に関する判断基準
労働基準法第11条は、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と規定している。すなわち、使用書が労働者に対して支払うものであって、労働の対償であれば、名称の如何を問わす「賃金」である。この場合の「労働の対償」とは、結局において「労働者が使用者の指揮監督の下で行う労働に対して支払うもの」と言うべきものであるから、報酬が「賃金」であるか否かによって逆に「使用従属性」を判断することはできない。
しかしながら、報酬が時間給を基礎として計算される等労働の結果による較差が少ない、欠勤した場合には応分の報酬が控除され、いわゆる残業をした場合には通常の報酬とは別の手当か支給される等報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判斬される場合には、「使用従属性」を補強することとなる。
2,「労働者性」の判断を補強する要素
前述のとおり、「労働者性」が問題となる限界的事例については、「使用従属性」の判断が困難な場合があり、その場合には、以下の要素をも勘案して、総合判断する必要がある。
(1)事業者性の有無
労働者は、機械、器具、原材料等の生産手段を有しないのが通例であるが、最近におけるいわゆる傭車運転手のように、相当高価なトラック等を所有して労務を提供する例がある。このような事例については、前記1の基準のみをもって「労働者性」を判断することが適当でなく、その者の「事業者性」の有無を併せて、総合判断することが適当な場合もある。
イ、機械、器具の負担関係
本人か所有する機械、器具が安価な場合には問題はないが、著しく高価な場合には自らの計算と危険負担に基づいて事業経営を行う「事業者」としての性格か強く、「労働者性」を弱める要素となるものと考えられる。
ロ、報酬の額
報酬の額が当該企業において同様の業務に従事している正規従業員に比して著しく高額である場合には、上記イと関連するが、一般的には、当該報酬は、労務提供に対する賃金では、自らの計算と危険負担に基づいて事業経営を行う「事業者」に対する代金の支払と認められ、その桔果、「労働者性」を弱める要素となるものと考えられる。
ハ、その他
以上のほか、裁判例においては、業務遂行上の損害に対する責任を負う、独自の商号使用が認められている等の点を「事業者」としての性格を補強する要素としているものがある。
(2)専属性の程度
特定の企業に対する専属性の有無は、直接に「使用従属性」の有無を左右するものではなく、特に専属性がないことをもって労働者性を弱めることとはならないが、「労働者性」の有無に関する判断を補強する要素のひとつと考えられる。
イ、他社の業務に従事することか制度上制約され、また、時間的余裕がなく事実上困難である場合には、専属性の程度が高く、いわゆる経済的に当該企業に従属していると考えられ、「労働者性」を補強する要素のひとつと考えて差し支えないであろう。なお、専属下請けのような場合については、上記イと同様留意する必要がある。
ロ、報酬に固定給部分がある、業務の配分等により事実上同定給となっている、その額も生計を維持しうる程度のものである等報酬に生活保障的な要素が強いと認められる場合には、上記イと同様、「労働者性」を補強するものと考えて差し支えないであろう。
(3)その他
以上のほか、具体例においては、①採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとん同様であること、②報酬について給与所得としての源泉徴収を行っていること、③労働保険の適用対象としていること、④服務規律を適用していること、⑤退職金制度、福利厚生を適用していること等「使用者」がその者を自らの労働者と認識していると推認される点を、「労働者性」を肯定する判斬の補強事由とするものがある。
なお、特に疑義の多い「建設手間請け従事者」「芸能関係者」「持込ドライバー」「在宅勤務者」については、更に詳しい判断基準が示されている。
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Ⅳ.個別行政解釈
微妙な契約について、法的に当該契約が雇用契約であるか否か、つまり労働基準法上の労働者であるか否かは、裁判や行政解釈によって個別に判断されている。
微妙な職業、地位、立場、契約にかかる解釈例を挙げると次のとおりである。
法人等の代表者 法人等と委任の関係にあり、労働者ではない。
使用人兼務役員 工場長、部長等の職を有する限りにおいて労働者である。
常勤相談役・嘱託 直接上司の指揮命令に服することなく、一般従業員と異なる待遇を受けている者であっても、一定の時間拘束とそれに対する報酬を受けている場合は労働者である。
使用人として退職金を受領した取締役 退職と同時に取締役に就任し、退職金を受領した者は、従前と同様の職務内容であっても、労働者ではない。
同居親族社員 就労実態、管理が他の労働者と同様に行われている場合に限り、労働者とする。
共同経営の出資者 法人等との間に使用従属関係があり、賃金を受けていれば労働者である。
放送協会専属の管弦楽団員、合唱団員、劇団員、効果団員等 次のいずれにも該当する場合は労働者とする。
①一定の拘束条件の下に労働提供義務を負っている。
②労働の対償として報酬を受けている。
③契約の名称に関わらず、使用関係が実態として存在している。
キャバレーと優先出演契約を結んだ楽団員 労働者である。
クラブと演奏契約を結んだピアノ奏者 労働者である。
放送芸能員 労働者である。
芸能タレント 次のいずれにも該当する場合は労働者ではない。
①提供商品が他人によって代替できず、当人の個性が重要な要素となっている。
②報酬が稼働時間に応じて定められたものではない。
③公演、打合せ等を除き、時間拘束がない。
④契約形態が雇用契約でない。
中央競馬会所属の調教師、厩務員 労働者である。
競輪選手 労働者ではない。
学校用務員 雇用契約であり、労働者である。
学校教員 労働者である。
大学の助手 労働者である。
大学病院の研修医 労働者である。
企業等実習生 主目的が実習である限りにおいて原則として労働者ではない。
看護士養成所の実習生 原則として労働者ではないが、労務実態により次の場合は労働者とする。
①教習に関係のない雑用仕事がある。
②一般看護士と実習生の労働が明確に区別されていない。
外国人技術研修生 一般作業員と同じ作業に従事し、その対価として報酬を受けていれば、労働者である。
生命保険外交員 契約と業務実態により、雇用である場合と委任にあたる場合に区別される。
証券等外務員 外務行為に従事すべき義務を負い、出来高に応じて賃金を得る契約は、委任契約であり、労働者ではない。
ガス料金集金員、電気料金検針員 請負契約形式であっても、雇用契約と認められ、労働者である。
NHK受信料集金員 業務の遂行について裁量権があり、使用従属関係は認められず、労働者ではない。
市町村の固定資産評価員 労働者である。
新聞配達員 賃金が配達部数歩合制になっていても、販売店との間に使用従属関係が存在しており、労働者である。
運送業務従事者 自己所有のトラックや馬を使用し、他の運送業者の業務に従事し、給料の名目で報酬を受け取っていた者は労働者である。
独自の商号を使い、自ら雇う従業員を使用し、他の従業員より高額の出来高制給料を受けている者は、請負契約と見做す。
船長 傭船者との契約は雇用ではない。
大工 請負契約によらず雇用契約により、使用従属関係下にある大工は労働者である。
非常勤の消防団員 労働者ではない。
僧侶等宗教関係者 労務を提供し、賃金を受けていれば労働者であり、修行者・信者であって何らの報酬も受けず奉仕する者は労働者ではない。
労働組合専従職員 企業等が組合専従を認める場合は、企業等を使用者とする労働者とされる。
認めない場合、労働組合を使用者とする労働者となる。
授産施設作業員 一定の公的扶助の下に交わされた契約については、労基法上の労働者とは見做さない。
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Ⅴ.適用の意義と昨今の問題
昨今では、就業形態が多様化して、「雇用」なのか「業務委託(=自営=請負または委任)」なのか不明瞭な契約が増加しています。
就業形態多様化の最大の原因は、平成不況時代に、企業が究極の人件費削減を目指したことです。
従来、社員の区分は、正社員とパートが一般的でした。それに新たに加わったのが、契約社員と派遣社員です。そして更に「請負社員」という形を生み出してしまいました。
企業としては短期的に見れば、正社員を減らしてそれ以外の社員を多用することにより、人件費を大幅に削減することが可能だからです。
このことにより労働者は、働き方の自由な選択肢を得ると同時に、労働環境に一層の困難がもたらされたわけですが、これらのことも合法の範囲内で行っている限り、企業の正常な経営努力として、致し方ない部分があります。
しかしそれが違法契約となれば、話は別。
少なくない企業で、違法な業務委託契約が交わされているのが社会の実態です。
別名「偽装自営」「偽装請負」とも呼ばれており、実態が労働(雇用)契約であるのに、業務委託契約として締結されているものです。
この偽装により、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、社会保険各法等々の適用を免れ、労働者を劣悪な環境の中で酷使しています。
この場合当該契約自体は有効で、その契約内容を労働(雇用)契約と見做して、労働保護法、社会保険各法の適用を受けることができますので、自分の立場が「労働者なのか否か」を各自しっかり見極めて対応することが大切です。
●パートタイマー・アルバイトの社会保険加入要件
社会保険は、次の要件を満たす場合、強制加入になっており、
「パートタイマーとかアルバイトだから加入しなくてもよい」ということはありません。
トラブルを避けるためにも、パートの方を採用する際に、しっかりと社会保険の適用になることを明示する必要があります。
■雇用保険
①所定労働時間が週20時間以上見込まれること。
②31日以上雇用されることが見込まれること。
■健康保険・厚生年金
①1日又は1週間の所定労働時間および
②1ヵ月の所定労働日数が、通常の社員のおおむね4分の3以上
の2つの要件を満たした場合、パートタイマー・アルバイトであっても
社会保険の加入義務が生じます。
例えば、
正社員の1日の所定労働時間が8時間、完全週休2日制の会社の場合、
その会社で働くパートタイマーが1日6時間、1ヵ月の所定労働日数が16日以上
の場合、①②の両方の要件を満たしますので、社会保険の被保険者となるのです。
ただし、具体的に判断するのは、年金事務所となりますので、
詳しくはそちらで確認することをおすすめします。
以上、気の向くままに貼り付けてみましたが参考になったでしょうか。
暇があると、よけいなことまで調べてしまう。
私たちはどれに該当するのかな?
豊田一喜