コロナ禍は世界の景色を一変させました。
水面下ではアメリカが世界の警察官であることを放棄し、グローバリゼーションを見直す動きが蠢動し、米中新冷戦時代の幕開けが言われていたのですが、コロナ禍はその動きを顕在化させました。
世界はブロック経済化の方向へ向かっています。
中国、ロシア、トルコ、イランと独裁国家が帝国の復活を画策しています。かつての中華帝国、ロシア帝国、オスマン帝国、ペルシャ帝国の夢をもう一度…
この本はそんなコロナショック後の世界経済の動きを分析しています。
エミン・ユルマズさんはマーケット・アナライズでちょくちょく拝見していて、その分析には鋭いものがあり、著書も何冊かここでレヴューしています。新刊をフォローしている人も多いみたいで、この本もだいぶ長いこと予約待ちでやっと借りることが出来ました。
書いてあることは過去の著作の延長線で論点はおなじみのものです。通貨の歴史と電子マネーに仮想通貨についての解説にかなりページを割いているのが目新しいことか。
しかし、こういう時論は現実の進展が早いため現代ではすぐに陳腐化することもあります。
2021年1月の著作ですが、米中新冷戦時代に突入し、中国の成長ストーリは終わり、各国がコロナ禍に対して膨大な財政支出をしているので経済危機は起きず、急回復が見込まれている。社会のデジタル化も進み、遅れている日本もキャッシュレス時代がすすむ。これからは品質に優れており、漫画、アニメ、ゲームと言う強力なソフトパワーを持っている日本が世界をリードする時代になる。う~ん、何となく元気になります。
でも、2021年1月では東京オリンピックは開催できないと言う見通しは見事に外れ、バイデン大統領はアフガニスタン撤退の失態から求心力は落ちていて、外交、経済財政政策など思うように進めることが出来ないでいる。このままでは中間選挙の敗北は必至で、早くもレイムダック化してしまう気配は濃厚です。
加えて今回のウクライナショックをどう考えるのか。プーチンの経済的合理性のない想定外ともいえる侵略が今後の世界経済をどう変えて行くのか、日本経済がどうなっていくのか。大きな方向性としてはブロック化が進むことには間違いないとしても、単純に日本が世界をリードできると言うのはあまりにも根拠なき楽観。剝き出しの武力の前にはソフトパワーの何たる無力なことか。中国は少子化が進み今までの成長戦略が行き詰ってくると、余力のあるうちに戦力で局面を打開しようとするかもしれません。
この本の結論は2050年までには日経平均30万円になると言うことですが、それまでには紆余曲折と言うか野越え山越えで、よほど気合を入れて対処しないと画餅になってしまうかも。
以前レヴューした「ウィズコロナ 日本株にビッグウェーブがやって来る!」渡部清二 エミン・ユルマズを読んでいるなら、今回は急いで読む必要はないかも。とにかく今のウクライナ危機をどう考えるのか、少し状況が落ち着いて見通しが立ってからの論考が待ち遠しいところです。
水面下ではアメリカが世界の警察官であることを放棄し、グローバリゼーションを見直す動きが蠢動し、米中新冷戦時代の幕開けが言われていたのですが、コロナ禍はその動きを顕在化させました。
世界はブロック経済化の方向へ向かっています。
中国、ロシア、トルコ、イランと独裁国家が帝国の復活を画策しています。かつての中華帝国、ロシア帝国、オスマン帝国、ペルシャ帝国の夢をもう一度…
この本はそんなコロナショック後の世界経済の動きを分析しています。
エミン・ユルマズさんはマーケット・アナライズでちょくちょく拝見していて、その分析には鋭いものがあり、著書も何冊かここでレヴューしています。新刊をフォローしている人も多いみたいで、この本もだいぶ長いこと予約待ちでやっと借りることが出来ました。
書いてあることは過去の著作の延長線で論点はおなじみのものです。通貨の歴史と電子マネーに仮想通貨についての解説にかなりページを割いているのが目新しいことか。
しかし、こういう時論は現実の進展が早いため現代ではすぐに陳腐化することもあります。
2021年1月の著作ですが、米中新冷戦時代に突入し、中国の成長ストーリは終わり、各国がコロナ禍に対して膨大な財政支出をしているので経済危機は起きず、急回復が見込まれている。社会のデジタル化も進み、遅れている日本もキャッシュレス時代がすすむ。これからは品質に優れており、漫画、アニメ、ゲームと言う強力なソフトパワーを持っている日本が世界をリードする時代になる。う~ん、何となく元気になります。
でも、2021年1月では東京オリンピックは開催できないと言う見通しは見事に外れ、バイデン大統領はアフガニスタン撤退の失態から求心力は落ちていて、外交、経済財政政策など思うように進めることが出来ないでいる。このままでは中間選挙の敗北は必至で、早くもレイムダック化してしまう気配は濃厚です。
加えて今回のウクライナショックをどう考えるのか。プーチンの経済的合理性のない想定外ともいえる侵略が今後の世界経済をどう変えて行くのか、日本経済がどうなっていくのか。大きな方向性としてはブロック化が進むことには間違いないとしても、単純に日本が世界をリードできると言うのはあまりにも根拠なき楽観。剝き出しの武力の前にはソフトパワーの何たる無力なことか。中国は少子化が進み今までの成長戦略が行き詰ってくると、余力のあるうちに戦力で局面を打開しようとするかもしれません。
この本の結論は2050年までには日経平均30万円になると言うことですが、それまでには紆余曲折と言うか野越え山越えで、よほど気合を入れて対処しないと画餅になってしまうかも。
以前レヴューした「ウィズコロナ 日本株にビッグウェーブがやって来る!」渡部清二 エミン・ユルマズを読んでいるなら、今回は急いで読む必要はないかも。とにかく今のウクライナ危機をどう考えるのか、少し状況が落ち着いて見通しが立ってからの論考が待ち遠しいところです。
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