新井紀子さんといえば、このブログでもレビューを書きましたが「AIvs教科書が読めない子どもたち」で注目を浴びた方。その論旨は明確でわかりやすい。確か一度サンデーモーニングでコメンテーターとして出演していましたが、切り口鮮やかで話もうまいので、コメンテーターとしてももっと活躍されてもいいのですが、本人的にはそういう分野は遠慮したいのでしょうか。
それはさておき、この本はその「AIvs教科書が読めない子どもたち」を読んだぐっちーさんが感動してオファーを出し対談したところから始まりました。ぐっちーさんは惜しくも昨年亡くなりましたが、投資銀行家としての経験を踏まえ鋭い評論をしていた方で、私も何冊かこのブログで取り上げています。
そんな二人が何十時間も語り合い、その後に掛け合い漫才よろしく交互に原稿を書き進めたものをまとめたものです。
日本の現状に対する二人の危機感は強く、そういた中で日本を軟着陸させるにはどうしたらよいのか縦横無尽に述べています。
ぐっちーさんは岩手県の紫波町での「オガールプロジェクト」を数少ない地方再生の成功例に導くのに深くかかわっています。新井紀子さんは今現在まさに動き出していますが米原市の駅前開発にアドバイザーとして関与しています。その経験から地方を再生させていくためにはどうしたらいいのか、いかに今の国の補助金頼みの地方再生などというのがダメなのかを語っています。
維持費も考えずに国の補助金プログラムのまま巨大な箱モノを作り、できてから苦しむところが何と多いのか。そしてその結果地元が活性化すればいいのですが、建設の時だけ潤って、その後の需要を作り出すことができないので人口減少を止めることができない。
ぐっちーさんに言わせるとそれは計画立案者も賛同者も誰も自分の身銭を切って真剣に考えていないから。全国展開している広告会社や企画会社の案をもとに国の金であれ地方の金であれ税金を使っているだけで、失敗しても誰も何の責任を取っていない。確かにぐっちーさんがかかわった「オガール」は自分たちで徹底したマーケティング調査をして、直接動いてくことによってどこにもないニッチな市場を開拓している。補助金頼りの役所主導ではなく、きちんとマーケティング調査をし自己責任で投資効率を判断する民間の力で地方を変えて行こう、それは「オガール」では実践しているだけに説得力があります。
新井さんはこれからの日本では女性が活躍しないと立ちゆかなると主張。重厚長大製造業企業がこれからは第5次産業とかを目指すとか言っても女性に活躍してもらうという観点が全く遅れているという。象徴的なこととしてトイレについて書いていますが、確かに今の文化会館とかスポーツセンターとかの公共施設では女子トイレと男子トイレは同じ面積。結果としていつも女子トイレの前には行列。手間と滞在時間が違うし、使い方を見れば洗面化粧台などの機能を充実させるべきだし、せめてブースの数ぐらい同じになるように作るべきでしょうけど設計者に男性が多いのか男女平等にこだわるのかその観点は見られない。一事が万事でまだまだ女性に活躍してもらうのはどうしたらいいのかという社会にはなっていない。
若者に対してもいろいろな提言をしていますが、今の教育は階層化していて例えば東大にはほぼ同じような出身の優秀な学生ばかりで多様性がない。社会のいろいろな側面に触れていないので考えに現実感がないと。確かベスト&ブライストだったかにベトナム戦争を主導していった政府要人は本当に優秀なベスト&ブライストだったけど、そこに地方の町で保安官でもやっていた者が一人でもいたら違う判断になったのではという箇所があったと思うのですが、多様な価値観に揉まれていないんですよね。
お二人ともリベラルアーツの重要性を強調していますが、実学最優先の今の大学教育のとは大きく異なります。
ところで第5章は「50歳以上のオジサンが生きる道」となっているのですが、高齢者になった身としてもそこに書いてあることは少し耳が痛い。60代でも使える人はいると書いてありますが、どうも新しいことに取り込む勇気もないし、使えない人の特徴を備えているみたい。
ぐっちーさんが使えるオジサン8か条を書いているので書き出してみます。
1;本当の友人を作る。
2;若者に興味を持つ
3;人の話を聞く
4;大企業の経験をとうとうと語らない
5;金を出す
6;見守る忍耐力を発揮する
7;女性を蔑視しない=彼女たちの能力を最大限発揮する
8;可愛い老人であること
いや~反省します。
要は、新井さん曰く、愛され頼られるオジサンになることですが、今となっては、どうしようもないのですし、目指しているのは暴走エロ爺ですので、せめて粗大ごみにならないようにしないと。
文章は非常に読みやすいし(文章がよくわからない人は教科書も読めない)、論点も鋭く説得力があるので、これはお勧め本です。
それにしてもぐっちーさんの急逝は残念でたまりません。まだまだこれから活躍してほしかったのに。
それはさておき、この本はその「AIvs教科書が読めない子どもたち」を読んだぐっちーさんが感動してオファーを出し対談したところから始まりました。ぐっちーさんは惜しくも昨年亡くなりましたが、投資銀行家としての経験を踏まえ鋭い評論をしていた方で、私も何冊かこのブログで取り上げています。
そんな二人が何十時間も語り合い、その後に掛け合い漫才よろしく交互に原稿を書き進めたものをまとめたものです。
日本の現状に対する二人の危機感は強く、そういた中で日本を軟着陸させるにはどうしたらよいのか縦横無尽に述べています。
ぐっちーさんは岩手県の紫波町での「オガールプロジェクト」を数少ない地方再生の成功例に導くのに深くかかわっています。新井紀子さんは今現在まさに動き出していますが米原市の駅前開発にアドバイザーとして関与しています。その経験から地方を再生させていくためにはどうしたらいいのか、いかに今の国の補助金頼みの地方再生などというのがダメなのかを語っています。
維持費も考えずに国の補助金プログラムのまま巨大な箱モノを作り、できてから苦しむところが何と多いのか。そしてその結果地元が活性化すればいいのですが、建設の時だけ潤って、その後の需要を作り出すことができないので人口減少を止めることができない。
ぐっちーさんに言わせるとそれは計画立案者も賛同者も誰も自分の身銭を切って真剣に考えていないから。全国展開している広告会社や企画会社の案をもとに国の金であれ地方の金であれ税金を使っているだけで、失敗しても誰も何の責任を取っていない。確かにぐっちーさんがかかわった「オガール」は自分たちで徹底したマーケティング調査をして、直接動いてくことによってどこにもないニッチな市場を開拓している。補助金頼りの役所主導ではなく、きちんとマーケティング調査をし自己責任で投資効率を判断する民間の力で地方を変えて行こう、それは「オガール」では実践しているだけに説得力があります。
新井さんはこれからの日本では女性が活躍しないと立ちゆかなると主張。重厚長大製造業企業がこれからは第5次産業とかを目指すとか言っても女性に活躍してもらうという観点が全く遅れているという。象徴的なこととしてトイレについて書いていますが、確かに今の文化会館とかスポーツセンターとかの公共施設では女子トイレと男子トイレは同じ面積。結果としていつも女子トイレの前には行列。手間と滞在時間が違うし、使い方を見れば洗面化粧台などの機能を充実させるべきだし、せめてブースの数ぐらい同じになるように作るべきでしょうけど設計者に男性が多いのか男女平等にこだわるのかその観点は見られない。一事が万事でまだまだ女性に活躍してもらうのはどうしたらいいのかという社会にはなっていない。
若者に対してもいろいろな提言をしていますが、今の教育は階層化していて例えば東大にはほぼ同じような出身の優秀な学生ばかりで多様性がない。社会のいろいろな側面に触れていないので考えに現実感がないと。確かベスト&ブライストだったかにベトナム戦争を主導していった政府要人は本当に優秀なベスト&ブライストだったけど、そこに地方の町で保安官でもやっていた者が一人でもいたら違う判断になったのではという箇所があったと思うのですが、多様な価値観に揉まれていないんですよね。
お二人ともリベラルアーツの重要性を強調していますが、実学最優先の今の大学教育のとは大きく異なります。
ところで第5章は「50歳以上のオジサンが生きる道」となっているのですが、高齢者になった身としてもそこに書いてあることは少し耳が痛い。60代でも使える人はいると書いてありますが、どうも新しいことに取り込む勇気もないし、使えない人の特徴を備えているみたい。
ぐっちーさんが使えるオジサン8か条を書いているので書き出してみます。
1;本当の友人を作る。
2;若者に興味を持つ
3;人の話を聞く
4;大企業の経験をとうとうと語らない
5;金を出す
6;見守る忍耐力を発揮する
7;女性を蔑視しない=彼女たちの能力を最大限発揮する
8;可愛い老人であること
いや~反省します。
要は、新井さん曰く、愛され頼られるオジサンになることですが、今となっては、どうしようもないのですし、目指しているのは暴走エロ爺ですので、せめて粗大ごみにならないようにしないと。
文章は非常に読みやすいし(文章がよくわからない人は教科書も読めない)、論点も鋭く説得力があるので、これはお勧め本です。
それにしてもぐっちーさんの急逝は残念でたまりません。まだまだこれから活躍してほしかったのに。
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