怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

池上 彰「伝える力2」

2014-12-02 20:48:35 | 
昨日JRで帰るとき、列車がいつもより遅れてきたのだが、駅に止まって動かない。
車内放送で「いおんかんち」したので云々と言っているのだがよく聞き取れない。この後も放送で「いおんかんち」と繰り返している。
「いおんかんち」?ん?
線路沿いに熱田イオンがあるのだが、火事でもあって列車の運行に支障があるのか?
よく聞いていると笠寺踏切でと言っているのでそうでもないみたい。
暫し考えていて、やっと「異音感知」と言っているとわかった。でも、これって業界用語で乗客の何人が言っていることがわかったのだろう。
この場合「列車走行中に異常な音を感知しました」と言わないとわからないでしょう。
この本は「週刊こどもニュース」のキャスターで好評を博し、今や分かりやすいニュース解説で引っ張りだこの池上彰が「話す」「書く」「聞く」技術を伝授したものの続編です。ちなみに2が出るのだから当然ですが「伝える力」はベストセラーになっています。

この本の冒頭には先ほどの異音感知と同じような例ですが、「ようめん」が出ています。「ようめんに付着する放射性物質はですね…」と言われてもなんのこっちゃとなりますよね。この「ようめん」は「葉面」つまり葉っぱの表面のことでした。専門家同士で話していると当たり前に思っている言葉が、一般のテレビの視聴者には理解できないことは多々あります。素人が理解できるように素朴な質問をあえて行わないとどういうことかわからなくて不安になってしまいます。
物事を伝えようとしている側の人は、分かるように伝えることが大切。煩雑でも場合によっては専門的な言葉を翻訳していくことも必要です。これは危機管理能力を高めることになります。
ちなみに東日本大震災において菅総理と枝野官房長官の会見を比較して菅総理の発言には相手の心に届かなかったけど枝野官房長官は会見を重ねるにしたがってみるみる上達し、伝える力が向上していったと、枝野官房長官を評価しています。
分かりやすい説明をするには、相手にまず「話の地図」を示すことが大切で、それによって受け手は全体像をつかむことができ、内容を理解しやすくなりのです。
ところで菅総理の後に就任した野田総理については、「どじょう発言」といい、手法として結構アメリカ流(どういう部分がということは本を読んでください)だった所信表明演説といい、高く評価しています。
ところでNHKの記者だった著者が、ニュース解説者として飛躍したきっかけは「週刊こどもニュース」とNHK退職後の「学べるニュース」のキャスターでした。ここでテレビの現場から学んだことを糧にしています。特に「週刊こどもニュース」は製作スタッフはニュースの素人ばかりで、そこでの「素直な質問」に鍛えられたみたいです。
この本に書いてありますが「水道」と「海峡」の違い、「ホームページ」と「ウェブサイト」はどう違うのとか「ゲリラ豪雨」はどうして「ゲリラ豪雨」?とか「へぇ~」ということ満載です。
実践編として、もっと分かりやすく伝える方法は話をコンパクトにまとめること。それには伝えたいことを因数分解するといい。複数の事柄の中から共通する事柄をまとめて、その共通する内容から始めるのです。分かったような分からないようなカタカナ言葉もなるべく避ける。
相手に興味を持って聞いてもらったり、相手の心に届く話し方をするには。固有名詞や数字を入れるなど、具体的な話をすることです。もっとも最後は一般論や教訓でまとめることが必要です。社名や地名の由来、言葉の由来や語源を話すと「話のつかみ」として活用できます。そういえば学区で話す時には学区の由来は結構つかみに話していました。
後半には「第6章 気になる言葉、気になる表現」「第7章 日本語は乱れているのか」とあって、間違えやすい表現を分かりやすく教えてくれます。
難しいのですけど敬語の使い方、尊敬語と謙譲語の区別ができているのか、重複語、重複表現に注意、間違えて使われがちな表現「煮詰まる」「情けは人のためならず」「流れに掉さす」などなど、漢字の正しい読み方と間違った読み方(私も恥ずかしながら結構間違っていたものもありました)、でも読み方は時代とともに変わっていく面もあり、今ではそれでもいいとなっている読みもあります。
ところで「ヤバい」とはそもそも「危ない」という意味ですが、今では「素敵」というような意味にも使われています。それは女子高生などが「ヤバい、私あの人を好きになりそう」などという表現を使っているうちに「素敵」というような意味にも使われるようになったとか。へぇ~ですね。知っていました?
最後に著者の若かりし頃の独白がありますが、少年時代は引っ込む事案で、目立たなかった少年時代を過ごし、NHK記者時代も内気の性格の儘で苦労したと書いてあります。試行錯誤を繰り返しながらコミュニケーション能力を高めていったとありますが、努力と才能と少しの運があったのでしょう。

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