【名山・湖沼・高原・海浜の4部構成で全130点】
写真家白川義員(よしかず)氏の写真展「永遠の日本」が大阪市の阪神梅田本店8階催場で開かれている。1935年生まれの77歳。これまで50年余にわたって世界143カ国と南極を訪ね自然や風景を取り続けてきたが、今回は4年がかりで日本の大自然が繰り広げる壮大なドラマを追った。現代社会の精神の荒廃を憂える白川氏は「日本の国は美しく崇高で麗しい凄い国なのだと実感していただき、日本人の誇りと魂を復興する一助になれば」という。
白川氏は「地球再発見による人間性回復」を基本理念に、これまでアルプス、アメリカ大陸、神々の原風景、世界百名山、世界百名瀑などの写真集を発表してきた。今回発表の「永遠の日本」はシリーズ11作目に当たる。写真展は①名山・名瀑②湖沼・森林・渓谷③高原・湿原④海浜・島嶼の4部構成で、大迫力の写真130点を展示している。
和歌山県串本町の「橋杭岩暁天」(上の写真)は7月下旬に4日間にわたって撮ったうちの1点。鮮やかな朝焼けを背に静かに佇む真っ黒な岩峰が印象的だ。大小約40本の岩峰には全て名前が付けられているという。名山を航空撮影した写真には朝焼けや夕焼けの色合いの変化と迫力に圧倒される。「剣岳黎明」は青の世界だが、同じアングルで撮った「剣岳黄変」は黄色の世界。日の出直後、雪山は赤からオレンジ、それから黄色に変色するという。
(左上から時計回りに「志賀高原蓮池」「雌阿寒岳夕照」「桜島噴火」「流氷と知床連山」
「天人峡」「尾瀬ケ原」「志賀高原蓮池」など真っ盛りの紅葉の風景を切り撮った写真も多い。「真っ赤に色付く日本の紅葉はとにかく凄い。だから日本独自の風景を特集するとなれば、どうしても紅葉の写真が多くなる」。桜島の噴火の瞬間を撮った写真は巨大な線香花火のよう。「昨年3~4月に計24日間夕方から明け方まで噴火口辺りが光ったら、すかさずシャッターを切った」。無数の風紋が美しい「鳥取砂丘」は足跡がない風景を撮るため「強風が吹く春と冬に6度出かけた」。その根気と執念には頭が下がる。
展示作品の最後130点目は「永遠の日本の旭日」。石垣島東岸から日の出を撮った。これまで写真展の最後は夕日で締めくくったが、今回はあえて日の出の写真を選んだ。「日本の政治がどこまで堕落しようと官僚が腐り果てても、この荘厳で崇高な自然がある限り、必ずや日本国は再生されて再び旭日が天高く輝く」。そんな思いを込めたという。
写真展は8日まで。この「永遠の日本」シリーズは3日午前8時20分からNHK総合でドキュメンタリー番組「白川義員 日本を育てた風景を撮る」として放映される予定。