く~にゃん雑記帳

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<歌川国芳展>破天荒の浮世絵師―大胆な発想で夢や笑いを作品に託す!

2013年01月25日 | 美術

【初公開作含め120点、神戸・大丸ミュージアムで公開中】

 江戸時代後期を代表する希代の浮世絵師、歌川国芳(1797~1861年)。従来の枠にとらわれない豊かな画想や斬新なデザインで、武者絵から役者絵、美人画、風景画、戯画(狂画)まで幅広い作品を描き続けた。その国芳の代表作や初公開作合わせて120点を展示した「歌川国芳展~奇想の浮世絵師による江戸案内」(28日まで)が神戸市の大丸ミュージアムで開かれている。

 歌川国芳は15歳のとき初代歌川豊国に入門した。兄弟子に国貞がいる(豊国、国貞の作品は現在、奈良市の帝塚山大学付属博物館で展示中)。国芳が生きた幕末は天保の飢饉や安政の大地震、開国を迫る黒船の来航などで、まさに内憂外患の時代。天保の改革に伴う「奢侈(ぜいたく)禁止令」で、浮世絵も華美な役者絵や遊女・芸者の絵は禁止された。それがかえって国芳の自由奔放な発想を刺激、夢やユーモア、幕府への風刺などを込めた作品は庶民の喝采を集めた。

    

 「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」(写真㊧)は山東京伝の読本「本朝酔菩提」に登場する侠客を描いたもの。のざらし(ドクロ、しゃれこうべ)の名にちなんで着物はドクロ柄で、そのドクロも猫が集まってできている。無類の猫好きだった国芳らしいユーモアに富んだ作品だ。

 「奢侈禁止令」で当時の庶民の着物は縞や小紋が流行し、染め色も茶やねずみ系統が中心だったが、〝四十八茶百鼠〟といわれるほど多様化した。そんな中で国芳が浮世絵で表現した粋な着物柄は〝国芳もやう〟と呼ばれた。もし国芳が今を生きていたら、世界的な超一流ファッションデザイナーになっていたに違いない。

 「人をばかにした人だ」(写真㊨)は額に紙片を貼り付け、下から「フーッ」と息で吹き飛ばす「紙吹き」という遊びに興じる男を描いた。顔をよく見ると、裸の男たちが集まって作られている。鼻の下でひげのように見えるのは男の右肩の彫り物。格子柄の着物も数人の男たちでできている。

 国芳は大判3枚続きのワイド画面で多くの物語絵を描いた。そのうちの1つ「大物之浦海底之図」は大碇を担いで入水した平知盛が源義経への復讐のため待ち構える場面で、平家ガニが列を成しているのがおもしろい。〝武者絵の国芳〟と呼ばれるようになった出世作の「水滸伝シリーズ」や往時の江戸の風景や風俗を楽しめる「東都名所シリーズ」なども見ごたえ十分だ。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 味わい生活」(25)

2013年01月25日 | 絵暦

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