【別名「唐梅」 梅とつくけど梅とは別の種類】
中国中南部原産で、江戸時代初期の17世紀前半に朝鮮半島経由で伝わってきた。そのため「唐梅(からうめ)」や「南京梅」の別名がある。ただ「梅」とつくが、梅とは種類が異なる。梅がバラ科サクラ属なのに対し、ロウバイはロウバイ科ロウバイ属。1~2月ごろ、葉が出るより前に香りのいいかわいい黄花を下向きにつける。立春前後に咲くため〝春告げ花〟とも呼ばれ、庭木や茶花として人気がある。
名前の由来は臘月(陰暦12月)ごろ、梅に似た形の花を咲かせるからという臘月説をはじめ、蝋細工説や蜜蝋説などがある。蝋細工説は黄色の花弁が半透明で蝋を引いたような光沢があるため。蜜蝋説は花弁の色がミツバチが巣づくりのとき分泌する蜜蝋に似ているから。中国では古くから茎や根はぜんそくなどの薬用にし、花からは香料を取ってきたという。
基本種は花の中心が濃い褐色だが、よく見かけるのは中心の色も黄色のソシン(素心)ロウバイ。このほかに花の中心に紫褐色の輪が入るマンゲツ(満月)ロウバイ、花びらが細く花芯が赤紫色の和ロウバイがある。ロウバイによく似た花にダンコウバイ(壇香梅、別名ウコンバナ)があるが、これはクスノキ科の植物。アメリカロウバイ(別名クロバナロウバイ)は北米原産で5~6月に香りのいい赤紫の花をつける。
ロウバイの名所は関東に多い。群馬県安中町の「ろうばいの郷」では1万2000本が咲き乱れる。埼玉県長瀞町の長瀞登山臘梅園には2500本のロウバイがあり、秩父鉄道は熊谷などから「急行ロウバイ号」を運転中。約1200本ある神奈川県松田町の寄(やどりき)ロウバイ園では19日からロウバイまつり(2月28日まで)を開いている。千葉県野田市の清水公園は26日から2月11日まで。福岡県久留米市の近光ロウバイ園には樹齢30~50年のロウバイが約200本ある。関西では京都の北野天満宮や善峯寺、奈良の明日香村八釣、船宿寺、兵庫県福崎町の應聖寺などが有名。「臘梅の光沢といふ硬さかな」(山上樹実雄)。