【閻魔大王は地蔵菩薩の化身「お顔はいかめしいが慈悲深い」】
奈良・高円山の中腹にある白毫寺で16日「えんまもうで」があり、多くの参拝客でにぎわった。毎月16日は閻魔大王の縁日。特に1月と7月のこの日は地獄も〝定休日〟で獄卒も罪人の呵責をやめ、釜の蓋も開くといわれる。
閻魔王坐像を安置した宝蔵の入り口には8大地獄を描いた掛け軸「地獄変相図」(下の写真=図の一部)が掛けられていた。堂内には亡者の行き先を決める冥界の裁判官10人を描いた「十王図」も。午前10時から司命半伽像と司録半伽像を左右に従えた閻魔王坐像(いずれも重要文化財)を前に法要が始まり、参拝客の無病息災を祈願した。中には千葉など遠方からやって来たという人も。閻魔大王は地蔵菩薩がお姿を変えたものといわれる。宮崎快堯住職は「お顔はいかめしいが、実は慈悲深いお方で、無病息災や延寿、商売繁盛などの願い事をかなえてくれます」と話されていた。
白毫寺の前身は天智天皇の皇子、志貴親王の山荘跡。奈良盆地を一望できる見晴らしの良さで知られる。境内では甘酒の接待や子ども向けに「地獄めぐり」という紙芝居も行われていた。このお寺は色とりどりの花が咲く名木「五色椿」で有名だが、つぼみはまだ固い。ただ、そのそばにある「子福桜」は小さな花がちらほら咲いていた。