く~にゃん雑記帳

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<加賀赤絵展>中国・明代の「万暦赤絵」から近現代までの名品約150点

2013年01月09日 | 美術

【京都高島屋で開幕、パリ万博出品作や人間国宝の作品も展示】

 江戸時代「加賀百万石」といわれた加賀藩は文化事業に力を注ぎ、加賀友禅や蒔絵など優れた工芸品を生み出した。九谷焼もその一つ。江戸初期に誕生し、一時途絶えるが、江戸後期に再び復興、明治時代に入ると海外で「ジャパン・クタニ」ブームが起きた。京都高島屋で始まった「加賀赤絵展」では中国・明代の「万暦赤絵」、「再興九谷」の諸窯、海外の万国博覧会への出品作、近年の人間国宝の作品など約150点が展示されている。21日まで。

   

(㊧沢田南久「色絵金彩 花鳥図茶壷」、㊨九谷庄三「色絵金彩 朝顔仔猫図平鉢」部分)

 会場は「中国写から加賀赤絵への進化」「華やかな輸出九谷」「近現代 作家出現による作風の多様化」の展示コーナーに分かれる。景徳鎮窯の「万暦赤絵 五彩大花瓶」(那谷寺蔵)は3代藩主前田利常が寄進したといわれる。中国で万暦年間(1573~1620年)に流行したからこう呼ばれた。再興諸窯ではこれらの作品を模写した「中国写」が作られる一方、独自の「赤絵細描」へ進化していく。

 「再興九谷」は大別すると黄・緑・青・紫で上絵付けした「青手」と、赤も使った「赤手」に分かれる。「青手」は青九谷とも呼ばれ、「赤手」は次第に細描化して赤の線で細かく描いた小紋と絵画で埋め尽くした作風が生み出された。加賀藩は「再興九谷」保護のため他国からの陶磁器輸入を禁じた。

 

(㊧二代本多源右衛門/綿野吉二商店「赤絵金彩 松竹梅鶴亀図大平鉢」部分、㊨テーブルセッティング「色絵金彩のコーヒーセットと高坏)

 20枚の皿に草木などを描いた若杉窯の「色絵 絵替(えがわり)小皿」は見ていても飽きない。笹田友山作「色絵金彩 蛍狩図花瓶」はあでやかな着物姿の女性3人が満月の下、団扇を手にホタル狩りを楽しむ構図。日本画のような繊細なタッチに目を奪われた。色絵金彩は多彩な色で絵付けし、金色で加飾したもの。東北に伝わる化け物を形にした「手長足長花瓶」や、猫が頭上のクモをじっと見つめる「朝顔仔猫図平鉢」などユーモアあふれた作品も目を引いた。

 九谷焼は米フィラデルフィアやパリの万博出品を機に海外で一大ブームが起き、1880年代後半には陶磁器輸出額で瀬戸、京焼を抜いて第1位になった。九谷焼の全生産額の80%が輸出されたという。きらびやかな万博出展作を前に、来場者の多くからため息が漏れていた。だが明治後半になると価格の高騰から輸出は減少し、次第に国内向けの作品づくりに向かう。北大路魯山人や宮本憲吉は加賀で色絵を学んだという。この2人や「釉裏金彩」と呼ばれる技法を編み出した人間国宝・吉田美統(1932年~)の作品も展示されている。

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2013年01月09日 | 絵暦

 

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