【連覇狙う福原 気がかりな右肘の回復具合と勝負勘】
2012年度の卓球日本一を決める全日本卓球選手権が15日から東京・代々木第一体育館で開幕する。女子シングルスでは前回悲願の優勝を果たした福原愛(ANA)の連覇が成るのか、それとも石川佳純(全農)が雪辱するのか。過去5度優勝の平野早矢香(ミキハウス)も4年ぶりの頂点を目指す。ロンドン五輪団体銀メダルのこの3人を中心に、19日の決勝に向けて熱い戦いが繰り広げられそうだ。優勝者は5月の世界選手権パリ大会・6月のアジア選手権釜山大会の代表に内定する。
【過去10年間の優勝者】 2002年梅村礼▽03年平野早矢香▽04年平野早矢香▽05年金沢咲希▽06年平野早矢香▽07年平野早矢香▽08年平野早矢香▽09年王輝▽10年石川佳純▽11年福原愛
競技日程によると、女子シングルスは16日1回戦、17日2~4回戦、18日5~6回戦、19日準々決勝、準決勝、決勝。シード選手は4回戦から登場する。前回優勝の福原が第1シード、石川が第2シード、前回3位の田代早紀(日本生命)が第3シード、平野が第4シード。
【福原はダブルスを避けシングルスに専念】
福原はロンドン五輪後の8月下旬、右肘を手術し、練習を再開したのは11月に入ってから。12月の復帰戦ITTFワールドツアー・グランドファイナルの初戦で中国の新鋭、陳夢にストレートで敗れた。当時の世界ランクは福原が6位(1月5日現在7位)で陳夢は13位(同10位)と格下。ただ福原にとっては約4カ月ぶりの大会で「良いボールも入ったし復帰戦としてはいい方」と前向きにとらえている。
福原は前回、石川とのペアで出場した女子ダブルスを回避し、シングルスに専念する(石川は混合ダブルスに出る予定)。福原の組には学生チャンピオンの丹羽美里(淑徳大)、全日本社会人選手権準優勝の若宮三沙子(日本生命)らがいる。丹羽は丹羽孝希の姉で、昨秋の全日本大学選手権を大学1年で制覇した。福原がロンドン五輪時の状態まで復調していれば問題ないが、波乱が起きる可能性もある。
【世界9位の石川好調、4年ぶりの頂点目指す平野】
平野の組には社会人2連覇の藤井寛子(日本生命)、カット主戦型の石垣優香(淑徳大)らが入っている。藤井は前々回も含め過去3回決勝まで進みながら平野、石川に敗れ準優勝に終わっており、今大会に悲願成就をかける。平野が順当に勝ち上がれば準決勝で福原と当たりそう。2人は前回も準決勝で対戦、平野は福原にストレート負けしているだけに、その雪辱を果たしたいところ。
石川は現在世界ランク9位。昨年12月のワールドツアー・グランドファイナルのU21(21歳以下)で優勝するなど好調を維持している。同じ組には〝愛ちゃん3世〟ともいわれる高校チャンピオンの前田美優(福岡・希望が丘高)、前回ベスト8の藤井優子(日本生命)らがいるが、実力的に見て石川の勝ち上がりはほぼ間違いないだろう。順当なら準決勝で、唯一五輪代表のいない田代の組の勝者と当たる。
田代は前回初めて準決勝に進出したが、石川にストレートで敗れている。田代の組にはベテランの福岡春菜(中国電力)や前回5位の森薗美咲(日立化成)もおり、混戦が予想される。福岡は昨年10月の全日本選手権の団体の部で全勝し、決勝で日本生命を破って中国電力の優勝に貢献した。森薗は12月の代表選考会で優勝し、一足早く世界選手権への出場権を獲得している。
【スーパー小学生や〝愛ちゃん3世〟らの活躍にも期待】
ジュニア勢も注目を集めそうだ。中でもU15(15歳以下)では世界ランク上位の選手が多い。伊藤美誠(静岡・豊田町卓球スポーツ少年団)が2位、浜本由惟(JOCエリートアカデミー)が3位、加藤美優(同)と平野美宇(ミキハウスJSC山梨)が4位にランクされている。伊藤と平野はまだ小学6年生だ。
昨年のインターハイ決勝で対戦した前田美優と徳永美子(ともに希望が丘高1年)、後藤杯女子ジュニア優勝の加藤杏華(県立岐阜商業高)らが社会人や大学生を相手にどんな戦いぶりを見せてくれるかも楽しみだ。今大会では女子ダブルスで日本生命の藤井寛子・若宮三沙子組の4連覇が成るかどうかも注目される。
(19日記)【福原2連覇、石川を4―2で破る】スコアは6―11、11―7、4―11、11―9、11―8、11―3