く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 「ヒット商品は女子高生・ギャルママに聞け」

2013年03月01日 | BOOK

【植田実著、コスモ21発行】

 タイトルから想像するとマーケティングかビジネス・ハウツーもの。だが、左下に「青少年夢応援隊20年計画宣言」とある。表紙だけでは本題と「宣言」がなかなか結びつかない。帯には「東大阪の四畳半からスタートした男の根性物語」。読むとなかなか痛快で〝ごった煮〟の面白さがあった。約60年の自分史・家族史であり、苦節の社史でもある。その中に処世訓や東大阪の地場産業史、施設の孤児ら1000人のアジア留学構想という壮大な夢まで盛り込まれている。

   

 著者は1953年生まれで、パソコンや携帯のフィルムメーカー、サンクレスト(東大阪市)の社長。創業は1987年。「キラキラ・わくわく・ドキドキする商品の提供」を経営理念に掲げ、現在はのぞき見防止のメールブロック、ジュエリーシール、キズ自己修復フィルムを3本柱とする。年商は10億円余りで社員数25人。2011年に東大阪市優良企業賞を受賞している。

 本書は6章構成だが、まず第6章の「青少年夢応援隊・20年計画の実現に向けて」と番外編「小児ガンを克服した、植田元気からの応援メッセージ」から読み始めた。植田元気は著者の長男。その闘病とがん克服を通じて「子は宝」であることを痛感、社会への恩返しとして20年計画構想が生まれた。児童擁護施設の孤児や経済的に恵まれない若者を20年間に1000人アジア諸国に留学させようというもので、公益財団法人「青少年夢応援隊」の設立に向け準備中という。「世界に羽ばたき、日本の将来を背負うような人材を1人でも多く輩出する支援団体をつくりたい、というのが大それたぼくの夢である」。

 第1~5章の柱は「女子高生は神様だ!」「ドツボから天を見る」「東大阪ブランドを世界へ」など。著者は月に1回、大阪ミナミ・アメリカ村の〝三角公園詣で〟を続けているという。若い女の子から最近の流行情報などを得るためだ。ヒット商品のジュエリーシールもそんな中から生まれた。「女子高生はお客様というだけではない。売れる商品も教えてくれる、実にありがたくもかわいい神様なのだ」。6社共同出資で「ギャルママ商品開発部」も立ち上げた。

 創業からまもなく30年。この間、倒産の危機など多くの〝ドツボ体験〟をしてきた。そこで身に染みて感じたのは「会社経営で一番危険なのは売り上げが急速に伸びているとき」と「ヒット商品が1本では危ない。常に3本柱のヒット商品を用意しなくてはいけない」という2点。「生き残るためには常にイノベーション(変革)を起こしていくことが必要」。次の柱となる可能性があるのは、スマートフォンに強い衝撃を与えても表面のガラスが割れない衝撃自己吸収フィルムという。

 最近は中学や高校から講演依頼が舞い込むことも少なくない。講演では必ず「動詞3つと形容詞3つの6点セットを実践すれば人生150%変わる」と話すそうだ。3つの動詞は挨拶する、行動する、感謝する。この3つは自社の行動指針でもある。3つの形容詞は嬉しい・おもしろい・楽しい。「この3つの1つでも欠けていると思えば、それをやってはいけない。何かに迷ったりしたら、この形容詞3つを考えて行動しよう」。

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