く~にゃん雑記帳

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<奈良県立民俗博物館> 学芸員トーク「中国地方の神楽」テーマに

2013年03月11日 | 祭り

【新舞・旧舞・十二神祗・山代神楽などの演目9つを比較しながら鑑賞】

 奈良県立民俗博物館(大和郡山市)で10日、「中国地方の神楽」をテーマに〝学芸員トーク〟が開かれた。講師は神楽どころとして有名な広島県出身の学芸員・吉本由梨香さん。神楽が盛んな中国地方には神楽団や社中、保存会などが500以上もあるという。そのうち同館が集めた映像の中から代表的な9つの演目を比較鑑賞。館内にはこれに合わせて神楽のパネル写真や天蓋の切り飾り、御幣なども展示されていた(写真)。

  

 吉本さんが「広島で最も勢いのある神楽」としてまず紹介したのは「新舞」。戦後、進駐軍のGHQ(連合国軍総司令部)は神楽に対し厳しい検閲を実施、神道色の強いものを排除した。規制に触れないように新舞と呼ばれる新しい神楽を創作したのが美土里町の佐々木順三氏。「娯楽性、演劇性を高めたもので、動きの激しい舞が特徴。神社に奉納するほか各種イベントや結婚式などに呼ばれることも多い」という。

 新舞に対し、それまで芸北地方などで伝承されてきた神楽の演目を「旧舞」と呼ぶ。島根県邑智郡から伝えられたといわれ、文化文政年間(1804~30年)に伝わった高田神楽と、江戸末期から明治にかけて伝わった矢上舞がある。新舞の例として琴庄神楽団の「滝夜叉姫」、旧舞の例として三谷神楽団の「塵倫」を挙げて映像を流した。琴庄神楽団は面の早替えが人気を集めているそうだ。

 広島県西南部で舞われるものに「十二神祗」がある。その呼び名は12の演目があるからという説のほか、天神7代・地神5代を合わせた数に由来するともいわれる。中でも有名な演目が死人を生き返らせる杖を持つ鬼が登場する「荒平」や神懸かりをする「天代将軍」。山口県の「山代神楽」は「十二神祗の影響を受け、もともとあった神楽と混ざり合ったもの。リズムが単調なのが特徴」。

 「天代将軍」では神楽舞台の天井に飾られた天蓋の四方と中央に米袋が吊るされており、弓でそれを突くことによって舞人に神霊が乗り移って神懸かる。島根県邑智郡に伝わる「大元神楽」では「綱貫」「六所舞」など一連の舞で〝託太夫〟をぐるぐる旋回させて神懸かりを促す。

 吉本さんは神懸かりについて「笛や太鼓のお囃子に乗って舞ううちに、周りからはやし立てられることによって神懸かり状態になる。ただ神懸かりしやすい人としにくい人がいるようだ」と話す。大元神楽は昨年秋、島根県江津市の市山飯尾山八幡宮式年祭で奉納されたが、3人の〝託太夫〟がいずれも神懸かりができなかったそうだ。

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