【画廊飛鳥での個展初日に「66歳の青春」トーク】
旅の情景を描き続ける水彩画家でエッセイストの寺田みのるさん(大津市在住)の個展が8日、奈良県明日香村の「画廊飛鳥」で始まった。初日にはご本人が「66歳の青春」と題してギャラリートーク、「人生はいつまでも青春。大切なのは感動・感激・感謝する気持ち。これからも多くの方々に楽しんでもらうため、大衆画家として旅を続け描き続けていきたい」などと語った。個展は14日まで。
(「毎日夫人」に連載中の「あなたと歩きたい街。」㊧は2月号掲載の「川口基督教会(大阪市西区)、㊨は3月号掲載の「東京駅」)
寺田さんはこれまでに内外で80回を超える個展を開いており、この画廊飛鳥での開催は4回目。新作の水彩画や書19点を含む作品約50点が並ぶ。これまでに取材で訪ねた都市は世界48カ国に上るという。新作にも英国やドイツ、イタリアなどを描いた作品が含まれていた。そのうち「テームズ川薄暮」は墨のぼかしが効果的。新作の書の1つに「ローマの夜 スペイン階段で酔いざまし サンピエトロが笑っている」。短歌調で語呂がいい。情景が目に浮かぶようだ。
寺田さんは幼児から絵と書に親しんだ。大手家電メーカーに就職後も勤めの傍ら絵を描き続け、28歳のときに初個展。その後、企画部長や営業部長を経て51歳で早期退職した。「36年間のサラリーマン生活で経験した営業や商品企画、人脈が今に生きている」と話す。絵は全くの独学。だからこそだろう、旅情が画面いっぱいに広がる寺田さん独自の世界があるのも。
フランス・リヨン芸術祭に出品したり、アジア国際水彩画連盟展に招待されたりするなど、今や旅の水彩画では第一人者の寺田さん。意外だが、20代半ばまではもっぱら油絵を描いていたという。「だが体質に合わないと感じたため水彩に転じた」。2001~08年、毎日新聞の夕刊に水彩スケッチを長期連載。さらに「毎日夫人」に長く「あなたと歩きたい街。」を連載中ということもあって、寺田さんには女性ファンが多い。
画風は静かで優しい。「私自身は口八丁手八丁ですが、絵は性格とは真反対で静かでしょ」とご本人も。今年1月には体調を崩して10日間入院したという。「私は欲張りでやりたいことだらけ。心と体のバランスをどう取っていくかがこれからの問題」。絵のほか今後力を入れたいものとして小説の執筆、作詞、それに落語や漫才の台本づくりの3点を挙げた。このうち作詞についてはすでに7~8曲を作っているという。滋賀県をもっとPRしたいと「知らんか滋賀」という詞も作ったそうだ。寺田さんのポジティブ人生に乾杯!