く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> サイエンス・アイ新書「あなたが知らない動物のふしぎ50」

2013年03月27日 | BOOK

【中川哲男著、ソフトバンククリエイティブ発行】

 著者の中川氏は1943年大阪生まれで大阪市天王寺動物園の元園長。動物園勤務は約30年間に及び、その間、世界の先進的な動物園・水族館を多く視察した。園長在任中は動物の〝生態的展示〟に力を注ぎ、爬虫類生態館やガラス越しに水中遊泳を観察できるカバ舎、アフリカサバンナ区草食動物ゾーンの設置などに取り組んだ。

   

 本書は著者が見てきた多くの動物たちの中で、とりわけ驚かされた動物の生態や魅力などを細かく紹介する。第1章の「姿形が異形な動物のふしぎ」から第6章の「海外で見た動物のふしぎ」までの6章構成。オールカラーで、取り上げた動物は合計50種類に上る。身近に動物と触れ合ってきた動物園のプロならではの話題が随所に盛り込まれている。

 フラミンゴの雛は孵化後3週間、親から口移しで栄養たっぷりの「フラミンゴミルク」をもらう。メスだけでなくオス親もそのミルクを分泌する。ミルクは赤血球や赤い色素を含むため真っ赤。雛に与えるとき、そのミルクがこぼれて親の翼に付着することがある。これを見た入園者が怪我をしていると勘違いして通報してくることもよくあるそうだ。

 日本は〝ペンギン大国〟。国内でのペンギン飼育数は11種3770羽(昨年3月現在)で世界の飼育数の4分の1を占める。皮下脂肪が厚いペンギンは石油が発見されるまで、アザラシやオットセイ同様、欧米で油を採るために乱獲された。英国の採油会社は1867年に約40万羽のオウサマペンギンを捕獲し、約23万リットルの油を採ったとの記録も残る。「ペンギンは鳥類です」。入園者の中には哺乳類と勘違いしている人も多いという。

 日本は〝レッサーパンダ王国〟でもあるそうだ。世界の飼育数の半分に当たる約250匹を国内で占めるからだ。両足で立つレッサーパンダが一時話題になったが、「もともとヒトやチンパンジー、クマと同じように足の踵骨を地面にくっつけて歩くので、立ち上がることはそんなに不思議なことではない」。見出しも「めずらしくはない、立って当たり前!」。

 アリを主食とするオオアリクイは「全てのアリ塚を破壊して食べ尽くすのではなく、少量を食べて次のアリ塚に移るなどして食糧の温存確保に努めている」。では動物園では? アリの代わりに馬か鶏のミンチ肉にドッグフードやヨーグルトをミキサーにかけ液状にして与えるという。1分間に約100回も舌を出し入れして食べるそうだ。

 クロオオカミに8匹の赤ちゃんが生まれた。親が母乳で育てた4匹の毛は親と同じく真っ黒なのに、人工哺育した4匹は茶褐色に変色した。「母乳の特に初乳の中に毛色などの形質を伝える因子が含まれるのでないか」と推測している。

 このほかにも動物の不思議やエピソードを満載。全身真っ黒な猿フランソワルトンの赤ちゃんは全身鮮やかなオレンジ色▽キングチーターは黒い斑点が帯状に連なるが、突然変異種のためか普通のチーターと交配しても固有の斑紋を持つチーターはなかなかできない▽江戸では12軒の猿曳き(猿回し)に免許が交付され正月などに将軍の前で猿舞を披露。猿曳きの元締めの扶持は旗本よりも高かった――。

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