【埼玉・田島ケ原の自生地は国の特別天然記念物】
サクラソウは江戸時代、武士の間で栽培ブームが起き、以来、交配で多くの園芸品種が作り出されてきた。奈良県御所市の高鴨神社には明治末期から先代宮司の父子が3代にわたって蒐集・栽培してきたサクラソウ約500種類が伝わり、毎年4月20日~5月10日頃「日本さくら草展」が開かれる。
サクラソウ科の多年草で、海外のサクラソウと区別するため「ニホンサクラソウ」ともいわれる。西洋や中国などの海外自生種や交配種は一般に「プリムラ」と呼ばれる。ニホンサクラソウの学名は「プリムラ・シーボルディ」。江戸時代、オランダ商館医シーボルトが標本と種を持ち帰ったことから、この名が付けられた。国内でサクラソウとして販売されているもののほとんどはプリムラの系統という。「ポリアンサ」「ジュリアン」「マラコイデス」などの品種名がよく知られる。。
サクラソウは埼玉県の県花で、さいたま市の市花にもなっている。さいたま市の田島ケ原サクラソウ自生地は国指定の特別天然記念物。荒川河川敷の約4ヘクタールに150万株が自生し、4月に入るとピンクの可憐な花が咲き誇る。今年は20~21日に「さくら草まつり」が開かれる予定。かつて田島ケ原とともに大群落地として知られた浮間ケ原(東京都北区)は地元有志の増殖活動で絶滅の危機を乗り越え、今では10万株まで増えたという。浮間桜草圃場で16~30日「さくら草祭り」を行う。
サクラソウは大阪府の「府民の花」にもなっている。愛好者でつくる「浪華さくらそう会」は発足が1936年だから、約80年という長い歴史を誇る。埼玉県戸田市や千葉県四街道市の市の花にもなっており、四街道市では4月21日、中央公園で「サクラソウフェスタ」が開かれる。このほか20日には靖国神社・春季例大祭で、16~21日には東山動植物園(名古屋市)で「さくらそう展」が開かれるなど、4月はまさに春爛漫。「我国は草もさくらを咲きにけり」(小林一茶)。