日本人に多い大腸ガンですが、ステージが進行していても手術で切除することが標準治療となっています。
原発巣による症状がない場合には、手術をしてから抗ガン剤治療を行う治療法は、手術をせずに抗ガン剤治療だけを行う方法に比べて、生存期間に差がないことが日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の研究で明らかになりました。
今回の研究は患者を二つのグループに分けて治療法による生存期間や合併症を比較したもので、抗ガン剤単独治療がこれからの標準治療となることが示されました。
日本では年間15万人以上が大腸ガンに罹り、そのうち17%は肺や肝臓に転移がある最も進んだステージ4となっています。大腸の原発巣と転移したガンの両方とも手術で切除することが可能であれば、切除するのが標準治療とされています。
ところがそういったケースは20%程度に過ぎず、80%は転移したガンが切除できなようです。原発巣の大腸ガンだけを切除すべきかどうか十分な根拠がないにもかかわらず多くの手術が行われてきました。
今回の研究では2012年6月から19年4月にかけ、手術をせずに抗ガン剤治療だけを行うグループ82人と、大腸の原発巣を手術した後に抗ガン剤治療を行うグループ78人について分析しました。
その結果大腸がん以外の原因による死亡も含めた全生存期間の中央値は、抗ガン剤治療単独グループが26.7か月、手術後抗ガン剤治療を行うグループが25.9か月で、統計的に有意差は見られませんでした。
私の持論からすると、何の治療もしないグループを見てほしかったのですが、たぶんそれほど生存期間は短縮しないような気がします。
抗ガン剤治療が効いてその後に治療を目的とした手術ができた患者は、抗ガン剤治療単独グループが5人(6%)、手術をしたグループが2人(3%)でした。
抗ガン剤治療単独グループで、その後に症状緩和を目的にした手術が必要になったのは13%で、87%は最後まで手術を必要としませんでした。
また原発巣の手術を行ったグループでは、手術後の合併症で3人が死亡し、治療に伴う有害事象は原発巣の手術を併用したグループの方が頻度や重症度が高くなりました。
研究グループは無症状の患者への原発巣手術はしない方が良いことが明らかになり、手術による負荷を減らすという点で、患者にとってのメリットは大きいとしています。今回の結果は抗ガン剤の進歩も非常に大きいのではないかと述べています。
今回の研究では対象者の年齢については触れられていませんが、生存期間の中央値が2年程度と短い点からは、比較的中年層ではないかと思われます。
高齢者であれば手術をしない効果はもっと出るような気がしますが、いずれにせよ過剰な手術を避けるという結果が認められたことは、良い傾向と考えています。
原発巣による症状がない場合には、手術をしてから抗ガン剤治療を行う治療法は、手術をせずに抗ガン剤治療だけを行う方法に比べて、生存期間に差がないことが日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の研究で明らかになりました。
今回の研究は患者を二つのグループに分けて治療法による生存期間や合併症を比較したもので、抗ガン剤単独治療がこれからの標準治療となることが示されました。
日本では年間15万人以上が大腸ガンに罹り、そのうち17%は肺や肝臓に転移がある最も進んだステージ4となっています。大腸の原発巣と転移したガンの両方とも手術で切除することが可能であれば、切除するのが標準治療とされています。
ところがそういったケースは20%程度に過ぎず、80%は転移したガンが切除できなようです。原発巣の大腸ガンだけを切除すべきかどうか十分な根拠がないにもかかわらず多くの手術が行われてきました。
今回の研究では2012年6月から19年4月にかけ、手術をせずに抗ガン剤治療だけを行うグループ82人と、大腸の原発巣を手術した後に抗ガン剤治療を行うグループ78人について分析しました。
その結果大腸がん以外の原因による死亡も含めた全生存期間の中央値は、抗ガン剤治療単独グループが26.7か月、手術後抗ガン剤治療を行うグループが25.9か月で、統計的に有意差は見られませんでした。
私の持論からすると、何の治療もしないグループを見てほしかったのですが、たぶんそれほど生存期間は短縮しないような気がします。
抗ガン剤治療が効いてその後に治療を目的とした手術ができた患者は、抗ガン剤治療単独グループが5人(6%)、手術をしたグループが2人(3%)でした。
抗ガン剤治療単独グループで、その後に症状緩和を目的にした手術が必要になったのは13%で、87%は最後まで手術を必要としませんでした。
また原発巣の手術を行ったグループでは、手術後の合併症で3人が死亡し、治療に伴う有害事象は原発巣の手術を併用したグループの方が頻度や重症度が高くなりました。
研究グループは無症状の患者への原発巣手術はしない方が良いことが明らかになり、手術による負荷を減らすという点で、患者にとってのメリットは大きいとしています。今回の結果は抗ガン剤の進歩も非常に大きいのではないかと述べています。
今回の研究では対象者の年齢については触れられていませんが、生存期間の中央値が2年程度と短い点からは、比較的中年層ではないかと思われます。
高齢者であれば手術をしない効果はもっと出るような気がしますが、いずれにせよ過剰な手術を避けるという結果が認められたことは、良い傾向と考えています。