ごっとさんのブログ

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「ガン免疫治療薬」が効く人と効かない人を予測

2021-03-10 10:47:40 | 健康・医療
新しい治療法として注目を集めている「オプジーボ」を始めとするガン免疫療法ですが、患者の2〜3割程度しか効果が出ないということが問題となっています。

特に当初は1年の治療費が3500万円ともいわれ、あまりにも高額で下がってきたといってもまだ1000万円程度かかるようです。そこで効果が出る患者を事前に予測する研究が進んでいます。

国立がんセンターなどの研究チームは、予測に活用できる指標を見つけ、実用化に向けた診断キットの開発が期待されています。ガン免疫治療薬は、異物を排除する免疫という機能を活用し、患者の持つ免疫機能によってガンを排除するという薬です。

ガン細胞を主に攻撃するのは「T細胞」と呼ばれる免疫細胞で、ガン細胞はT細胞にブレーキをかけて攻撃を免れます。この治療薬はブレーキを解除する働きがあるわけです。

私はこのブレーキがガン細胞にだけあるわけではなく、正常細胞にもありますので、副作用が出やすい薬ではないかと危惧していました。実際に使用が開始されると、重い副作用が出る患者もいるようですが、効果のある患者が2〜3割しかいないことの方が重要な課題かもしれません。

そこで国立がんセンターなどのチームは2020年にガン免疫治療薬の効果がある人を高精度で予測できる指標を見つけたと発表しました。研究チームはバイオ企業と共同で、ガン細胞に集まる微量の組織サンプルを保存・調整する技術を開発しています。

この技術を活用して、2016〜19年にオプジーボなどのガン免疫治療薬を投与された肺ガンや胃ガンなどの患者87人のガン組織を調べました。

その結果、T細胞のうち異物を攻撃する「キラーT細胞」と、攻撃を抑える「制御性T細胞」のそれぞれのPD-1と呼ばれる分子の割合がカギを握ることが分かりました。

PD-1がキラーT細胞に多く、制御性T細胞に少なければ薬が効くものの、PD-1がキラーT細胞に少なく、制御性T細胞に多いと効果が出ませんでした。

この指標をもとに薬が効く患者をみると、1000日過ぎても進行しない人がいましたが、効かない人は100日までに全員の病状が悪化しました。早い時期に薬の効く人と利かない人を見極められれば、過剰な投与や懸念される副作用を避け、別の治療に切り替えられます。

研究チームは3月にも指標の有用性を確かめる臨床研究を始めるとしています。これで確実に効果ががある人が見つけられれば、有効な治療法となります。しかし年間治療費が1000万円というのはあまりにも高すぎるような気がします。

オプジーボはPD-1を阻害する抗体というタンパク質医薬ですので高価になっているようです。もっと安価な低分子化合物でPD-1を阻害する薬の探索も急がれるのではないでしょうか。