ごっとさんのブログ

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関節リウマチの治療指針が改定

2021-08-09 10:27:47 | 健康・医療
関節リウマチは、手足の関節が腫れて痛む自己免疫疾患ですが、国内の患者は80万人以上とされています。

4分の3が女性と言われていますが、私の知人でも何人かリウマチを患っていますが、皆女性です。この関節リウマチの治療指針が7年ぶりに改訂され、高い治療効果があるものの副作用に注意が必要な「JAK阻害剤」も選択肢の一つになりました。

関節リウマチは、病原体などから身体を守る免疫が過剰に働き、関節を攻撃することで起こる病気です。関節に炎症が起き、手足の指や腕、肩、膝など全身の関節に腫れや痛みが出ます。発熱や倦怠感なども生じることがあるようです。

治療は関節の炎症を抑える効果がある抗リウマチ薬「メトトレキサート(MTX)」を服用します。半年以内に十分な効果が得られない場合には、炎症を引き起こす物質の働きを抑える「生物学的製剤」(いわゆる抗体医薬です)を併用するのが標準的です。

日本リウマチ学会が4月に公表した指針では、生物学的製剤と並び関節の炎症に関わる特定の酵素の働きを抑える「JAK阻害薬」という飲み薬も選択肢となりました。

JAKはヤヌスキナーゼという酵素で、炎症性サイトカインによる刺激が細胞内に伝達されるときに必要とされています。この酵素を阻害することで、免疫システムを抑える働きがあります。

関節リウマチに対するJAK阻害剤の効果は、生物学的製剤とほぼ同等かそれ以上とされており、現在ゼルヤンツなど5種類が承認されています。ただし帯状疱疹や肺炎、腎盂腎炎などの感染症のリスクがあるとされています。

やはりJAK阻害剤は、免疫機構を抑えてしまいますので、細菌やウイルスの感染症が副作用として出やすくなってしまうようです。

関節リウマチは簡単に全快する病気ではありませんので、同じ薬を長期間使用すると効果が下がることが多くなりますので、メカニズムの違う薬の使用が重要となってくるようです。特にJAK阻害剤は長期的な安全性が分かっていないため、使用には注意が必要です。

関節リウマチは、40〜60歳代で発症するケースが多く、近年は高齢化がさらに進んでいます。高齢者にも生物学的製剤やJAK阻害剤を使うことができるものの、若い人よりも免疫が低下しやすく重い感染症につながるリスクが高いとして、注意を呼び掛けています。

生物学的製剤は投与法が注射しかありませんが、JAK阻害剤は経口投与(飲み薬)可能という点は大きなメリットと言えます。

長期間の治療が必要になる関節リウマチに、毎回病院に行って注射が必要でなくなるというJAK阻害剤が加わったことは、治療の選択肢が広がっただけでなく、患者の負担という点でも効果は大きいと思われます。