ごっとさんのブログ

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脊髄性筋萎縮症を発症前の治療に成功

2021-08-06 10:25:30 | 健康・医療
子どもが生まれると健康に育つことがすべての親の願いですが、もし何らかの異常があるのならばなるべく早期に発見することが重要です。

私の孫は最初の次男のところはなかなかしゃべることができず、心配していましたし、長男のところはなかなか歩くことができずいろいろ検査などしたようです。それでも2人とも中学生と小学校高学年になり、全く問題なく育っておりほっとしています。

このように何か平均より遅いというだけで心配するものですが、もし異常があるようならば少しでも早く発見治療することが重要です。

熊本大学などの研究チームは、生後間もない赤ちゃんの血液を採取して先天的な病気が無いかを調べる「新生児スクリーニング」で、遺伝子の変異で筋力が低下する「脊髄性筋萎縮症(SMA)」の患者を発見し、発症前に治療することに成功したと発表しました。

SMAは運動神経を維持して筋肉を動かすのに不可欠な「SMNタンパク質」を作り出す遺伝子である「SMN1」の不足が主な原因で発症する神経疾患です。発症頻度は出生約1万人に1人と推定され、重症度や発症時期によって1〜4型に分類されています。

もっとも重症の1型は生後0〜6カ月で発症し、重症の場合は人工呼吸器が必要となり、治療を行わなければ多くが2歳までになくなるとされています。

SMAに対する遺伝子治療は2020年から国内で使えるようになりましたが、症状が進行すると効果は乏しく発症前に治療を開始することが最も効果的とされています。研究チームは遺伝子を増幅させるPCR法を用いてSMAの患者を判別する技術を新生児スクリーニングに応用しました。

今年2月から熊本県内で実施している新生児スクリーニングの対象者のうち、家族の同意を得られて新生児にSMAのスクリーニングを行ったところ、生後13日の新生児1人がSMA患者とみられることが判明し、発症前に治療を開始することに成功しました。

この新生児は生後2か月を過ぎましたが、順調に発育しているようです。新生児スクリーニング検査は、国内では1977年に公的事業として始まっています。検査や診断技術の向上で対象は拡大していますが、SMAを対象にしている地域は熊本県の他、千葉県、大阪府、兵庫県などに限られています。

この新生児スクリーニング検査については全く知りませんでしたが、なるべく多くの疾患について広げ、早期発見と早期治療に結びつくことが望ましいと思っています。

こういった公費の検査については、その実施状況や効果についての情報発信も積極的に行うべきと思われます。