私は多くの薬の候補化合物を作ってきましたが、実際に効果が出るかは「体内動態」という概念が非常に重要でした。
薬物動態としては「吸収」「分布」「代謝」「消去」(わたしのころは「排泄」としていました)の英語の頭文字をとったADMEが重要とされています。
この内分かりやすいのはAの吸収ですが、飲み薬の場合平均吸収率が30%程度というのはよくあります。ところがこの吸収率は個人差が大きく、30%吸収で効果が出る量を配合した場合、ごく稀に100%吸収してしまう人もいます。
そうすると最適投与量の3倍投与したことになり、副作用なども出やすくなってしまいます。こういったこともあり吸収率は高い薬が望ましいことになります。
クスリを服用すると、食べ物や飲み物と同様に胃に入ります。そこで水分や消化液に触れることによりクスリが溶解します。クスリによっては胃ではなく小腸で溶解するように工夫されているものもありますが、いずれにしても吸収はまずクスリが溶解することから始まります。
吸収はクスリの成分が消化管の粘膜を通過して血液内に移動することを意味しますが、そのためには錠剤や散剤といった固体ではなく液体である必要があります。多くのクスリは溶解した後小腸で吸収されて行きますが、吸収される部位はクスリの成分ごとに異なります。
クスリの成分が血液内に吸収されると、次の過程である「分布」に移行します。吸収された後、血液に乗って成分が全身に分布した後で効果を発揮するのです。痛み止めの薬を服用した直後に「楽になった」という人もいますが、それはほとんど気のせい(プラセボ効果)です。
基本的にすべてのクスリの成分は血液を介して全身に分布しますが、体の中には分布しにくいところがありそれが脳です。脳は生命維持にとって極めて重要な部分です。そのためクスリなどの異物が簡単に脳に到達しないようにする関所のような場所があり、それを「血液脳関門」といいます。
従って脳の薬を開発する際は、この関門を通るかどうかが重要な課題となります。この試験は動物実験でしかできませんので、かなり大変な作業となります。私の同僚はこれのモデルづくりに取り組みましたが、やはり生きた動物を使わないと難しかったようです。
多くのクスリは肝臓で代謝され、より排泄しやすい形に変換されます。ごく稀にこの代謝によってより効果の高い物質に変換されたりしますが、その場合は代謝物を新たなクスリとして開発することになります。
長くなりましたので排泄は省略しますが、この体内動態であるADMEはクスリの研究で常に考慮すべき事項と言えます。
薬物動態としては「吸収」「分布」「代謝」「消去」(わたしのころは「排泄」としていました)の英語の頭文字をとったADMEが重要とされています。
この内分かりやすいのはAの吸収ですが、飲み薬の場合平均吸収率が30%程度というのはよくあります。ところがこの吸収率は個人差が大きく、30%吸収で効果が出る量を配合した場合、ごく稀に100%吸収してしまう人もいます。
そうすると最適投与量の3倍投与したことになり、副作用なども出やすくなってしまいます。こういったこともあり吸収率は高い薬が望ましいことになります。
クスリを服用すると、食べ物や飲み物と同様に胃に入ります。そこで水分や消化液に触れることによりクスリが溶解します。クスリによっては胃ではなく小腸で溶解するように工夫されているものもありますが、いずれにしても吸収はまずクスリが溶解することから始まります。
吸収はクスリの成分が消化管の粘膜を通過して血液内に移動することを意味しますが、そのためには錠剤や散剤といった固体ではなく液体である必要があります。多くのクスリは溶解した後小腸で吸収されて行きますが、吸収される部位はクスリの成分ごとに異なります。
クスリの成分が血液内に吸収されると、次の過程である「分布」に移行します。吸収された後、血液に乗って成分が全身に分布した後で効果を発揮するのです。痛み止めの薬を服用した直後に「楽になった」という人もいますが、それはほとんど気のせい(プラセボ効果)です。
基本的にすべてのクスリの成分は血液を介して全身に分布しますが、体の中には分布しにくいところがありそれが脳です。脳は生命維持にとって極めて重要な部分です。そのためクスリなどの異物が簡単に脳に到達しないようにする関所のような場所があり、それを「血液脳関門」といいます。
従って脳の薬を開発する際は、この関門を通るかどうかが重要な課題となります。この試験は動物実験でしかできませんので、かなり大変な作業となります。私の同僚はこれのモデルづくりに取り組みましたが、やはり生きた動物を使わないと難しかったようです。
多くのクスリは肝臓で代謝され、より排泄しやすい形に変換されます。ごく稀にこの代謝によってより効果の高い物質に変換されたりしますが、その場合は代謝物を新たなクスリとして開発することになります。
長くなりましたので排泄は省略しますが、この体内動態であるADMEはクスリの研究で常に考慮すべき事項と言えます。