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「まばたき」はなぜどのように進化したのか

2023-05-24 10:30:04 | 自然
人間は毎分15〜20回まばたきをします。ほぼ無意識のうちに上まぶたを素早く開閉させ、眼を守って清潔に保ち潤いを与える行動です。

脊椎動物の大半が共通してもつ反射運動ですが、どのように進化したかの研究がいろいろ行われているようです。研究者が注目したのがマッドスキッパーと呼ばれるトビハゼやムツゴウロウの仲間で、アフリカとアジアの干潟に暮らす水陸両性の歩く魚です。

彼らは四足動物とは別々にまばたきという行動を進化させてきました。2023年に発表された論文によると、マッドスキッパーとそれに近い仲間だがまばたきをせず水中で暮らす魚を比較しました。

するとまばたきに必要な筋肉はどちらの魚も持っており、マッドスキッパーが新しく進化させたわけではないことが分かりました。

これが示唆するのは、四足動物の祖先が乾いた陸地に上がり、周囲をよく見る必要に迫られたことがまばたきという現象が生まれるきっかけになった可能性が高いという事です。地球上の生命は最初の数十億年の間、水の中に留まっていました。

3億7500万年前ごろ、一部の魚が海を出て乾いた陸地に上がりました。エサにあふれ捕食者もいない新天地は無限の可能性を秘めていますが、周囲がよくみえないのでは話になりません。眼に酸素を送ったり目を保護するために角膜は常に濡れている必要があります。

また傷つきやすい目を守るために、ごみを取り除く方法などを必要としており、そこですべての四足動物が採用したのがまばたきです。まばたきがどのように進化したかを解明するために、高速度カメラを使い研究室内でマッドスキッパーのまばたきを撮影しました。

この魚たちは眼球を引っ込め、それを囲むように皮膚が自然に閉じることによってまばたきをしていることが分かりました。マッドスキッパーの頭蓋骨周辺のCT画像からは、眼を引っ込めるのに必要な6つの筋肉が特定され、これは水性の近縁種の魚にも存在していました。

マッドスキッパーは空気が乾燥している時の方がより頻繁にまばたきをし、眼に小さな粒子を付着させると97%は一度のまばたきで角膜から取り除かれました。これはマッドスキッパーのまばたきが、人間と同じ機能を果たしていることを示しています。

つまり人間の目のように精巧または複雑な構造を持つ必要はないと言えるようです。こういった結果は「収斂進化」という全く異なる系統の生物が似たような特徴を独自に進化せせるという点でも、進化の仕組みを理解する上で非常に面白い現象といえるようです。

私はあまり意識はしませんが、どうもまばたきは多いようで、こういった個人差も面白い現象といえるのかもしれません。


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