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本当に「酒は百薬の長」といえるのか

2024-08-10 10:31:25 | 健康・医療
私は特に健康に注意しているわけではありませんが、夕食の時かみさんとビールのロング缶を半分ずつ飲んでいます。このぐらいの量だと夕食が美味しく食べられるような気がします。

その後風呂から出て、ウイスキーの水割りや自家製梅酒を少し飲んでから寝るというのが習慣となっています。別に比較したわけではありませんが、こういった寝酒を飲むことによって、寝つきが早くなったような気がしています。

カナダのビクトリア大学の研究者らは、107件の研究を対象とした分析を実施し、アルコール消費と全死因死亡率の関連性を詳細に調査した研究報告を発表しました。多くの研究が、少量のアルコール摂取が寿命を延ばす可能性があると主張しています。

適度に飲む人の方が全く飲まない人より健康だという事ですが、実際にはどんな量のアルコールも有害であることが明らかになってきています。

この矛盾を調べるため、研究チームはアルコール摂取が特定の年齢での死亡リスクに与える影響を調査した107件の研究(合計で約480万人のデータを含む)をレビューしました。従来の多くの研究では、適度な飲酒が寿命を延ばす可能性があると主張してきました。

これらの研究は、飲酒量と死亡リスクの関係が「J」字カーブを描くと示唆していました。つまり少量の飲酒は非飲酒者と比べてリスクが若干低下し、その後飲酒量が増えるとリスクが急激に上昇するというものでした。

しかし今回の分析によると、これらの研究には重大な欠陥があることが判明しました。主な問題点は、多くの研究が一度も飲酒したことのない人と飲酒している人を比較していないことです。代わりに飲酒をやめた人と、まだ止めていない人を比較しています。

飲酒を止めた人や時々飲酒する人を非飲酒者グループに含めている場合が多いようです。例えばある研究では、年間11回まで飲酒する人でも非飲酒者グループと定義していました。

特に高齢になってから健康上の理由で飲酒を止めた人が非飲酒者グループに分類されるため、現在飲酒している人が相対的に健康に見えてしまう可能性があります。つまり「これまで全く飲まない人」をどのように定義するかが重要です。

レビューした107件の研究のうち、これらのバイアスを適切に対処していたのは6件だけでした。これらの研究は若い人(55歳以下)を対象に、非飲酒者グループのバイアスを避けていました。

これら6件の研究の分析結果では、飲酒が少ない人の死亡リスクは非飲酒者と比較して有意差がありませんでした。つまり飲酒が少ない人は、リスクも少ないが明確な健康上の利益もないという事になっています。

アルコールの影響を最も適切に評価する方法は、子供のころからランダムに飲酒グループと非飲酒グループに分け、生涯にわたって健康状態と飲酒習慣を追跡調査することですが、倫理的な理由からそのような研究は実施できません。

そのため研究者は人々の飲酒習慣を聞き取り、より短期間で追跡調査を行わざるを得ないのが現状といえるようです。


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