ごっとさんのブログ

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脳からの「痛みを和らげなさい」の命令を助ける薬

2020-12-21 10:22:51 | 
痛みは身体が発する危険信号とされていますが、慢性腰痛症や変形性関節症など長期間痛みが続く病気もあります。

先月麻雀を予定していたのですが、メンバーの一人が直前にぎっくり腰になってしまい中止になってしまいました。

この痛みを止める薬としては、非ステロイド性の抗炎症薬や医療用麻薬(オピオイド)などがありますが、慢性期の痛みには抗うつ薬や抗てんかん薬などの「鎮痛補助薬」といわれる薬が効果があるようです。

痛みの治療に使用されている抗うつ薬は、大きく分けて、三環系(アミノトリブチリンなど)、四環系(セチブリン)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(パロキセチン)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(ヂュロキセチン)などがあります。

このうち痛みに対する保険適用が認められているものに、アミノトリブチリンとヂュロキセチンがあります。国際疼痛学会や日本ペインクリニック学会は、神経障害性疼痛の治療を行う場合、これら二つの薬が第1選択薬であると推奨しています。

ヂュロキセチンは一風変わった薬で、当初から抗うつ薬かつ痛みの治療薬として開発されました。日本では2010年にうつ病の薬として発売され、2012年には抗うつ薬としては初めて、痛み(糖尿病性神経障害に伴う疼痛)に対する適応を取得し、線維筋痛症や慢性腰痛症、変形性関節炎による痛みでの使用が可能となりました。

さらにはガンでの化学療法によって生じた末梢神経障害による痛みに対する治療効果も確認されています。

このヂュロキセチンの作用機構としては、「下行性抑制系」が関与しています。下行性抑制系とは、人の身体に備わっている鎮痛機構です。

通常痛みの情報は末梢から脊髄を通って脳に伝えられますが、逆に脳の痛み中枢から末梢に向かって脊髄を下って行く経路があり、「痛みを和らげなさい」という命令を出しています。

この下行性抑制系での情報伝達を担っている物質がセロトニンとノルアドレナリンであり、これは人間が元来持ち合わせている痛みへの対抗手段といえます。ヂュロキセチンは、この二つの神経伝達物質が吸収されてしまわないように、濃度を上げるように働くことで鎮痛効果を発揮しています。

痛みが引き起こす三つの大きな問題、「痛みそれ自体」「うつを始めとする心因性の症状」「睡眠障害」に対し、バランスよく効く薬でもあるようです。

痛みに対してこういった薬を処方する医師は少ないようですが、痛みにかかわる全般を改善するという点では、通常の鎮痛薬よりも良い効果が期待できるのかもしれません。

私は今のところ慢性疼痛などありませんが、たまに関節が痛くなることがありますので、かかりつけのクリニックで「鎮痛補助薬」について聞いてみようかと思っています。


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