ごっとさんのブログ

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認知症の進行を抑える2例目の新薬

2024-09-12 10:37:24 | 
認知症はアミロイドβの蓄積によって、脳細胞が死滅する病気ですので、どんな薬を使っても死滅した細胞を復活させることはできませんので、進行を抑えることしかできないのが宿命のようなものです。

昔からの友人のS君は数年前から認知症を発症してしまいましたが、奥さんによると最近は昔すんでいた家に行ってしまい(もう20年ぐらい前に引っ越しています)、そこで保護されることが増えたと嘆いていました。やはりかなり進行しているようです。

今回厚生労働省の専門家部会が認知症の新しい薬「ドナネマブ」の製造販売承認を了承しました。これも抗体医薬のようですが、クスリの研究をしていたものとしては、年間の薬代が数百万円になるようなものは薬ではないと思っています。

日本には健康保険をはじめとして色々な補助制度がありますので、患者の負担はそれほど大きくないかもしれませんが、それでも数千円に抑えるべきだと思っています。昨年9月にはエーザイなどが開発したレカネマブが承認されましたが、ドナネマブは2例目の治療薬となります。

レカネマブは、アルツハイマー病の原因物質アミロイドβを除去する働きがあり、認知症の進行を抑制する初のクスリとなります。ドナネマブもアミロイドβを除去する薬で、イーライリリーが開発したクスリです。

レカネマブもドナネマブもアミロイドβを除去する薬ですが、作用する対象が異なります。認知症はアミロイドβが蓄積することで認知機能が低下します。レカネマブの場合、アミロイドβが蓄積して大きな塊になる前、特に神経毒性が強いとされるプロトフィブリルに作用すると考えられています。

一方ドナネマブはアミロイドβが凝集した大きな塊に作用するとされています。臨床試験では、レカネマブは薬を投与して1年半後、認知機能低下を27%抑制するとの結果が出ています。ドナネマブは1年半後で29%抑制との結果でした。

副作用に関しては、ドナネマブはレカネマブよりも脳の出血や腫れが高い頻度で出ていたようです。効果、副作用どちらに関しても、同じ患者で比較したわけではありませんので、どちらが良い悪いは言えないとしています。

私の感覚としてはどちらも30%程度の抑制ですので、あまり良く効く薬とは言えないような気がします。費用はアメリカでドナネマブが年間500万円台で、日本では保険適用で処方されるわけですが、レカネマブより少し高くなるとされています。

処方としてはレカネマブは月2回、2週間に1回の点滴で、ドナネマブは月1回となります。これだけ高価でやや面倒なクスリをどんな人が使うのか分かりませんが、多分私は認知症になってもこんな治療は受けないと感じています。